再構築するために道を行くと言うこと 2014北海道旅行編① 〜ついに来た!カムイミンタラ桂月岳と黒岳へ〜

 
 





 石巻の近況報告です。と言っても、この辺りはもう2週間前。

 お母さん猫(日和山で生まれた子猫4匹の母親です)は相変わらず難しい顔。

 まだまだ触らせてくれません。





 こちらは4兄弟の一匹、黒猫。この子が一番発育が遅いような。



 キジトラ二匹のうちの一匹。精悍な顔立ち。



 こちらが一番お気に入りの茶トラ。大人しく優しそうな気性。

 我が家の猫と相性が良さそうなので、引き取りたいと思っています。

 ところが、つい昨日の朝のこと、茶トラが突然消えてしまいました。

 そう言えば、一昨日の夜も見なかったようです。もらわれてしまったのか、

 それとも、親猫が違う縄張りに放したのか。

 数日前から母親猫と子猫は散歩を始めていて、

 子猫達の独り立ちの時期はもう近いような気配はありました。

 神奈川から戻って来たとき、茶トラにまた会えるか・・・
 
 もしも、また会うことができたなら、その時こそはもうのんびり構えず、

 ちゃんと意思を発信していこう、と思っています。

 




 いつもの日和山への30度の坂の辺りを縄張りにしている猫。

 なつっこくて、通りかかるとすぐによって来ておねだりする。可愛い猫。

 私にだけかと思ったら、通りかかるすべての人に、にゃあにゃあ鳴いて

 すり寄るところを一度見かけてしまいました。

 当たり前だ、と思いつつ、その時はちょっとへこみました。

 




 月曜の夜は日和山の夕焼けがいい感じ。


 がーこも夕日を見て?まったり。


 
 火曜日。霞がかってきれいな朝。



 日和山の土砂崩れを守る紫陽花たちもまだまだ元気。




 北上川の周りの工事もだいぶ進んで来ました。

 あまり高い防潮堤ができないといいのですが。



 この日は愛知県からお客様。年に一度東北を回られていると言う信用金庫の仲間たち。

 はじまめして! 「どっから来たの?」とまた隊長が声をかけて、

 すぐに友達になりました。
 


 かっこいいですね! 職場が同じで、バイクが好きで一緒に旅をする仲間、

 そういうのもいいなぁと憧れます。私はバイクは乗れませんが・・



 
 こちらはOBの先輩。実は足が悪いのだと聞きました。

 全く見えません! お元気そうです。

 ハーレーに集まってみんなで記念撮影をしました。




 私たちも撮っていただきました。

丹羽さん、ありがとうございました!



こちらが丹羽さん


 写真上は、仲間たちの写真班の丹羽さん。

 信用金庫の社員たちのデータベースのお写真もすべて彼が撮られているのだそう。

 その節はありがとうございました。石巻のすてきな写真は撮れましたか?

 楽しい旅だったでしょうか。よかったらぜひご寄稿くださると嬉しいです!




 さて、しばしがーこと遊んで、ホテル方向へ戻ると、また丹羽さんに遭遇しました。

 こちらに気がついていないようです、お寺を撮って颯爽と走られていきました。




 宮城県は海の見える素敵なツーリングの道がいろいろあるので、

 またぜひお越し下さい!




 水曜日、いつも自転車を置く場所(旧市役所の裏手)に粗大ゴミが

 たまっていました。そろそろ本格的に解体工事を進めるようです。





 「昔はここから登って日和山に来たものだよ。ちゃんとね、河岸から道が通じていたんだ」(体操仲間のH氏談)





 日和山体操の初期メンバーで漁師のH氏、今回は8月までいられるそう。

 「初めて船に乗って沖に出た時は?」

 「そりゃー怖かったね。もう慣れたけどね、それは怖かったさ」



 写真は日和山(海門寺公園)の仮設住宅に住む雄勝地方出身の杉山さん。

 震災で奥様をなくされて、単身でこちらに引っ越して来たとのこと。

 様々なメディアで体験談をお話しされたそうです。

 私もゆっくりとお話を伺いたかったのですが、出勤前で遅刻しそうでした。

 今度ぜひお話を伺わせていただければと思っています。



 「ブログやってるの? 頼みがあるんだけど、それをプリントして仮設住宅に配ってくれないかな」(杉山さん談)

 今度ぜひ伺わせていただきたいと思います。



 隊長登場。

 副隊長も元気いっぱい。



 今日もがーこにタンポポをあげて。




 桜坂高校も建設が進んで来たようだ。白く見えているのは体育館。





 いつもお散歩途中で出会うわんこ。人間で言うと80歳は過ぎている老犬だとか。



 おじいさんと仲が良さそう。




 茶トラ。少しおびえながら、こちらを見やって。

 エサを持っていそうだとそろりそろりと近付いてきます。

 猫でさえ、エサなしには用なし。何かしらこちらから提供するものがないと

 お友達になってくれません。

 最近、だから、人間ならなおさらだなぁ、とよく感じます。

 ギブアンドギブ、でやっとお友達。猫でさえそうなんだから。

 そう思うと、たとえ人間が猫よりもっとわがままでも、気にならなくなりました。
 





 キジトラ2匹は片方がちょっとぽっちゃり。片方はやせっぽい。

 頬のラインが全然違います。






 旧市役所の建物がなくなると、ぐっと寂しくなりそうな。

 見慣れた景色が一変しそうな。

 解体工事の準備が着々と進んでいるようです。

 


 紫明神社の向こうでもトカトントン。

 
 午後から雨が降りました。



 がーこも濡れそぼって。



 
 日和大橋と太平洋方面。

 足の間を何度もすり抜けておねだりをする猫。





 大幅に遅れて向かったのは、石巻駅から250メートル、

 震災後、殻町に移転した割烹料理の「ふなや」さん。
 



 
 地元のリピーターに、漁業関係者も多く訪れるというふなやさん。

 明るい親方と女将に清潔感のある店内、たまたま団体のお客様がお食事会をしていて、

 笑い声が響いていました。しょっぱなから良い印象です。

 お料理は、まずはつきだしが2点。うにと卵豆腐です。

う〜ん、美味しい!

  
天然あじ刺 目が澄んでいました


 お魚は天然あじ刺をいただきました。

 とろっとろです。口の中で溶けるような食感。魚の臭みも全くありません。

 


 本当のお刺身というのはこういうもののことを言うのか。

 と恥ずかしながらこの年になって気がつきました。

 おそらくいったん冷凍した、こりっとした食感のお刺身を

 美味しいお刺身だと思い込んでいたのだと思います。

ミンク鯨刺 赤い身と脂肪分の白い部分を一緒に食べるそうです こちらも全く臭みがありません


 こちらはミンク鯨刺。

 実は、私、鯨のお刺身というものが正直苦手でした。

 あの溶けてお皿の底に血が広がるところがグロテスクです。

 ところが、ふなやさんの鯨は美味しかった! 天然あじと同じように、

 今までに食べたことがない味(食感)でした。

 素材のうま味や食べ方(切り方)、タイミングというものをよくよく考えて、

 一番それが活きるように、考え抜かれて、

 丁寧に慎重に盛られた一品、という印象です。

 ただのお刺身とはちょっと違うようです。

 こういうお刺身を食べると、お魚王国の石巻にいるのだなぁ、という実感が

 ひしひし湧いてきます。と言っても、もうやって来てから半年ほど経ちますが、

 やっと本物の実感を得られたような・・ 

 ふなやさんのおかげで、大げさなような心底ありがたいような、

 少し不思議な、しみじみとした想いを感じることができました。





 こちらは珍味のバクライです。

 シャーベット状に凍っていました。お酒を飲む人はすすんじゃうんだろうなぁ。


だし茶漬け めちゃくちゃ美味しいです


 最後に、お茶漬け(鮭)と焼きおにぎりをいただきました。

 だし茶漬けの繊細なお味、キュウリと茄子のお新香も新鮮で美味しかった!
 
 

おにぎりは表面を味噌で味付けてから海苔でくるんでいます

 お刺身もサラダも、意外とボリュームがあるので、

 団体で利用してシェアし合って食べると良いそうです。


 個人的な感想としては、

 自分がいかにこの国の大きな流通の流れに沿った、規格品としての

 食べ物しか食べてこなかったのか、と言うことを、

 しみじみと実感させられたお店でした。


 石巻でこういうお魚料理のお店と出会えたことは大きな意味があります。
 




 ふなやさんの後は、先週ご紹介した立町1丁目のTHE BAR Kさんへ。

 ふなやさんと通じるところは、やはり自分が提供するものに対する

 徹底したこだわりと、丁寧さ(繊細さ)でしょうか。

 プロの誇りを(しかもその高みを殆ど信じられないほどの軽さで)

 見せつけられるところがたまりません。

 これは愛情がないとできないのか、それとも卓越した技術なのか。

 両方なんでしょうかね。ちょっと自分のことを顧みて、恥ずかしくなりました。

 写真とか文章とか、もっと頑張りたいものです。

 

本物のジンジャーをたっぷりと使ったモスコミュール

 大変美味しかったです。一級品のプロのサービスをありがとうございました。

 石巻にこういう店があって、まるで自分のことのように、誇らしいです。


 ・ふなや
 ・THE BAR K



 木曜日。朝から雨がぱらぱら降っています。




 体操メンバーはみんなお休み。

 かろうじて集まった4人で、なんちゃって日和山体操をしました。

 (隊長がいないと順番がよくわからないので)


今日の隊長はT氏です

体操後、鹿嶋御児神社でお参りして

がーこのところへ



 初期メンバーで料理のH氏、がーこにタンポポ体験。初めてだった?




 夕方、傘を忘れたのでふなやさんに取りに伺いました。


 おや、解体工事の準備がまた進んでるようです。寂しくなります。





 最近のがーこの定位置。動物舎の端っこ。(こちらを見つけると立ち上がります)

 まるでエサを待ち構えているようで、切なくなりますが。

 昨日出会った雄勝の杉山さんによると、最近のがーこはずいぶん大人しくなった

 (鳴かなくなった)そうです。

 以前は人が通りかかると、狂ったように大きな声で鳴き叫んでいたとか。

 




 さて、そうして、北海道に旅立つ金曜日の朝を迎えて。

 そうそう、この日の朝に、ingressを始めました。

 以前、石巻イベントを紹介したグーグルの陣取りゲームです。ついに、iOS版が
 
 登場したのですね。

 【攻略】Ingress初心者が早く知っておいた方が良い事まとめ【イングレス】
 イングレス初心者におすすめ!レベルごとの行動指針


 日和山はいま敵チームに陣取られて、敵色に染まっています。

 再構築とやらをしなくてはいけないそうですが、

 まだ遊び方がよくわかっておらず、奪還することができません。

 これから少しずつ勉強して、楽しんでいきたいと思います。



 仮想世界と同じように、私には奪還したい事柄がたくさんあります。

 集団的自衛権の話とか、TPP参加の話とか。守りたい事柄がいっぱいあります。

 (私は意外と保守的な性格です)


 で、白水沢もその一つでしょうか。

 白水沢というのは北海道の上川町の沢で、

 沢をつめると大雪山の山頂(というより山々が連なるお鉢周りの稜線)に

 たどり着くことが出来ます。

 白水沢の源頭は、大雪山の凌雲岳と桂月岳の間の尾根まで続いているのです。


 白水沢遡行は沢好きの方の間では知られていたようですが、

 平成24年、上川町が環境省と話し合いをして、

 上川町の悲願であった白水沢の地熱発電開発を決めました。

(正確には、環境省の国立・国定公園内における地熱発電事業の規制緩和を受けて、

 上川町は温泉事業者や関係団体等と地熱発電開発に向けての、

 合意形成をすすめていく方針を決めました)


 白水沢は、大雪山同様、ほぼ全域が国立公園に位置しています。

 だから今までは、温泉資源を地熱発電に活用したいと思っても、

 なかなか思うように出来なかったのです。


 国立公園の規制緩和の背景には、震災と福島の原発事故が大きく影響しています。

 原子力発電の安全神話が崩れました。将来的に、今まで通りに継続することは

 できません。原子力村の恩恵に授かっていた人たちは、

 日本のエネルギー政策と同様に、変換を迫られてしまいました。

 原子力に変わる、例えば自然エネルギー等の早急な開発と、

 関連産業の構築が必要とされています。


 上川町に大きなお金が落ちるチャンスです。

 国立公園大雪山の美しい景観が壊れる、終わりの始まりのピンチです。


 写真下は白水沢の沢登りの登山口です。

 去年登った時は、それまで通り「立ち入り禁止」の札だけだったのに、

 今年行ってみたら、「現地調査」のために「ハンター」が入山している、

 と言う警告文がぶら下がっていました。

 動物駆除のためハンターが入山している、という文章はよく見かけるのですが・・

 違和感です。現地調査とは、動物の調査ではなくて、地熱発電の調査のこと

 だと思います。(上川町の白水沢地熱発電開発の状況からして)

 なのに、どうしてハンターが必要なのでしょうか。
 

 う〜ん、これは「入ったら、打つぞ」という脅しでしょうか。やはり。

 地熱発電開発を邪魔するな、と言う暗黙の・・・
 



昨年は立ち入り禁止だけでしたが・・今年はハンター登場です


 ところで、私はとっくに高速バスを降りてしまいました。

 現在実家で猫のそばに座ってこれを書いています。

 朝までに書き上げたいと思いますが、欲を言えば、今日中までに。

 読む方も大変だろうと思います。私のブログ、長いですよね?

 いつもお付き合いありがとうございます。大変だったら、少し休んでくださいね。



 白水沢遡行の登山口は、層雲峡ロープウェイから大雪国道を

 2.5KMほど下った地点です。真ん前に駐車場があります。

 苫小牧から富良野、旭川と北上した私は(そのお話は来週したいと思います)

 2時間ほど仮眠をしてから、夜中の2時過ぎに白水沢登山口に到着しました。

 そして駐車場に車を止め、3時を待ってから登り始めました。

 4時には太陽が昇ります。登山口から白水沢に入渓するポイントまで、

 1時間ほどの林道ですので、暗いうちに林道を歩いて、

 朝日が昇ってから沢に入ろうと思ったのです。

 さすがに沢登りが夜だと怖いですから。

 




 と、思っていたら、あっけなく夜が明けたような明るさになりました。

 私がトトロの森と読んでいる白水沢の林道がよく見えます。

 ヘッドライトいらなかったかな?

 もっと早くスタートしても良かったかもしれません。



 林道の脇は層雲峡らしい岩肌が見えています。


 


 上川岳と凌雲岳の山頂がちらり。遠そうです!

 ヤマレコで登った方の記録を見ると、大雪山の尾根まで6、7時間です。

 私は、自分の体力と過去のタイムを鑑みて11時間ほどの行程を組みました。

 午後には山を降りないと、帰りのフェリーに間に合いません。


 ハンターといい、タイムリミットといい、少々不安ですが、

 行かねばならぬ。なぜならば。

 去年のリベンジだからというのが一つ。


 リフトとロープウェイを使わずに、沢からつめて、大雪山の山頂に行くというのは、

 敬愛する大町桂月が成し遂げた偉業でもあります。

 層雲峡より大雪山へという紀行文を、私は何度も読みました。

 層雲峡より大雪山へ (青空文庫) 

 (※文章力が素晴らしいです。ふなやさん、THE BAR Kと同じですね?)


 出来れば同じように、登りたいと言うこと。

 去年成し遂げられなかったから、今年はどうしても登りたいと思います。


 もう一つは、これは最初の一つめの理由ともつながりますが、

 再構築したい、ということです。


 例の ingress の奪還ですね。私はまるで敵に陣地を取られてしまったような

 (もしくはこれから取られてしまうかのような)気持ちでいるのだと思います。

 桂月の愛した大雪山の自然を、私たちの手に取り戻したいと思っています。

 守りたいと思っています。

 そのために、徴を付けにいくのです。





 ここが去年、◯紅の車が止まっていた地点です。

 (地熱発電は、環境省と◯紅という商社がご執心です)



 赤い橋が見えました。入渓ポイントが近いです。





 去年この辺りから白い蝶(エゾシロチョウ)を見かけました。

 まるで道案内をするように、前をひらりひらりと飛んでいってくれたものです。

 今年はいないようですね。そんな些細なことがまた不安に感じます。




 振り返ると、白水沢の流れが見えます。
 
 でも、今日はあまり流れが速くないようです。前回は雨の後で水が増していました。


 ついているかな? 黒岳の頂も見えました。あそこまで絶対行ってやろうと

 思います。それにしても遠いです。本当に11時間で行けるでしょうか。






 メロンの滝です。登山口からここまで、参考にしていたヤマレコの方のタイムの

 倍もかかってしまいました。

 北大雪のニセイカウシュッペ。(振り返って来た方向を見たところです)





 わたくし、白水沢に立つ。(真似)

 この台詞が好きで、前回も書きました。

 で、入渓しました! この辺りは、今回は楽勝じゃん? と余裕をかますほどの

 流れの緩やかさ。水の少なさでした。




 が・・・


 徐々に沢の岩の段差が高さを増して、




 レンズが飛沫で曇ってしまいました。

 流れも速くなるし、深い部分は腰近くまで水深があるので、注意が必要です。

 端の方からそろりそろりと登っていきます。時々岩場を巻きます。




 確か去年この辺りで◯紅の調査員と出くわして、支流に逃げました。



 ここだったかな?



 前方に蒸気井の噴煙が。

 前回は支流に逃げて、あの煙のほどなく先までしか行けなかったのです。




 去年支流に逃げた場所も超えました。
 
 去年そこまでしか行けなかった蒸気井も超えました。

 下っていく沢の流れを見ながら休憩します。ちょっとしたいい気分です。天気も

 晴れて来ました。



 心弾ませてどんどん進むと、不意に太陽が消えました。

 突然、光が消え、辺りが暗くなって、驚いて顔を上げると、

 二つ目の蒸気井の噴煙が見えました。あれが太陽を隠したのですね。



 太陽が
隠れて



 また顔を出して 辺りを照らして


 また隠れて 辺りを闇にして



 それにしても、写真はわかりづらいですが、ずいぶん大きな煙です。

 おそらくこれは地球上の熱エネルギーを取り出す方の坑井の方の煙です。

 ところで、地熱発電の問題点は以下の4点です。(環境省資料より)


1、発電所の建設について、大規模な造成を伴うほか、個々に、または施設群としての存在によって風致景観等に与える影響が大きい。
2. 操業段階においても継続的な坑井の再掘削が必要であり、その都度、工事に伴う支障が生じるほか、新たな敷地の造成等も必要。
3. 汲み上げられた熱水は地中に還元されるが、還元熱水の地中内部での詳細な動向や、スケール付着防止を目的として混入される硫酸の影響など、地下の環境に与える影響は必ずしも解明されていない。
4. 資源調査段階での有毒ガスによる作業員の中毒や、鬼首地熱発電所の敷地内での噴気事故などがあり、事故の発生による周辺地域住民や公園利用者等への影響が懸念される。


 地熱発電には熱を戻す方の冷却塔の水蒸気も発生します。
 
 冷却塔の水蒸気によって、周辺の植生に着氷被害の恐れがあり、

 それが周辺の植物の生態に影響を及ぼすのではないかとも懸念されています。

 これは、生物の多様性を損なう危険性あるということです。

 大雪山の貴重な植物、動物の生態系が壊され、多様性が損なわれる。

 そのようなことにでもなれば、私たちは、

 地熱発電の、全エネルギー中の僅か数パーセントの発電には代え難い、

 大きな犠牲を強いられることになります。

 また坑井は、(上記の問題点2にもあるように)

 地熱発電事業の操業を続ける限り、掘り続ける必要があります。

 それが将来的に、国立公園大雪山の景観にどういう影響を与えるのか、

 未来を想像すると、あまりにも安易に地熱発電事業を考えすぎているような

 気がしてなりません。



わき上がる白い煙


 白水沢には所々温泉が湧いています。湯気が出ている沢の脇で休憩しました。

 足の裏だけ温泉に付けて、疲れを癒します。






 大きい滝が現れました。後で考えると、わかりそうなものですが、

 私はこのとき、タイムから考えて、これが大滝だと思い込んでしまうのです。

 大滝というのは、白水沢の核心的部分です。一番大きな沢の滝であり、

 大滝さえ超えられれば、後は登頂に成功したも同然だと私が思っている目印です。






 難関の大滝を巻き終わって、ご機嫌の私。




 この辺りから足下の花が増え始めました。これはエゾノリュウキンカかな?



 
 と思ったら、雪渓、スノーブリッジが登場しました。

 この上を歩いたり、この下をくぐったり。

 いつ崩れるんじゃないか、とヒヤヒヤものです。

 北海道出発前日に、やはり軽アイゼンを買おう、と思ったが間に合わず、

 持ってこなかったことが悔やまれます。






 スノーブリッジの上を歩くのがほどほど恐ろしくて、支流に逃げます。

 大滝も超えたことだし、白水沢はもう源頭近くまで来ました。

 もう十分です。トトロの森も、温泉の状況も、坑井の煙も見ました。

 現状がわかりました。後は白水沢から桂月岳、黒岳(石室)を目指すのみです。

 大雪山頂はお鉢状につながっているので、後はもうどこから登ろうが、すぐに

 大雪山頂の稜線に出るだろう、と甘く見ていました。

 ところが、やっとの思いでチョロチョロと水の流れるほぼガレ場をよじ登れば、

 そこに待ち受けていたのは、山頂どころか道の見えない薮(森)の中です。

 根拠は希望的観測。頂にたどり着く確証もないのに、

 勝手に楽そうな道に乗り換えて、正規のルートから外れてしまいました。
 

 すぐに、今登ったところを終いまで降りました。

 やり直しです。1時間近くの時間も体力も無駄にしました。

 
 人生には近道などありません。

 自分はずいぶんな人間だとつくづくがっかりしました。
 
 この道の選択は、私の人生を良く表していると思ったのです。



ガレ場の上から振り向いて見た白水沢とスノーブリッジ

やっとのことでたどり着いた山頂・・・ではなくて、ただの森の中(しかも山頂へ続く道なし)
中央に見えているのが白水沢 あそこに戻らなくてはなりません


 これでよく再構築だの、奪還だのと思ったものです。

 そして、へこみにへこみ、

 気力も体力もすっかり失った私を待ち受けていたのは、大滝でした。


迫力の轟音でした ちなみに滝壺は雪渓の中(下)です


 あの白水沢の核心的部分の滝です。25mから30mの立派な滝でした。


 ど、ど、ど、ど、ど・・ と宮沢賢治の擬音が聞こえてきそう。

 ものすごい迫力で耳元で轟音を鳴らして立ちはだかります。


 大滝があるのは標高1200m〜1300mです。そうです。もうすぐ山頂どころか、

 とっくに超えたと思った大滝さえ、まだ超えていなかった。


 森の中に迷い込んで、やり直しを余儀なくされて、あらためて地図を

 よく見たのです。

 (それまで偶然スマホの電源が落ちていました。充電が完了したのです)
 
 そうしたら、どうも見ても、私が今いる地形は、大滝のある場所ではないですか。


 スマホのマップと持参した地形図を何度も見比べます。

 嘘であってほしいと願いましたが、やはり何度見比べても疑いようもなく、

 今はまだ標高1200m 前後。目の前にあるのは、源頭どころか、

 全行程の半分程にあたる白水沢の核心的部分の、大滝です。


 時計を見ました。昼の12時を回っています。

 11時間予定の行程のうち、すでに9時間を費やしています。

 帰りのフェリーに乗るには、登山口まで遅くても

 14時半には戻らないと行けません。



まだここです・・・途方に暮れました

 これは間に合わないという判断が頭をよぎりました。

 いや、でも、大滝を急いで巻けば、あとは源頭に近付けば滝は細くなるはずだから、

 登りやすいだろうし、スピードもあげられる。諦めることはない、
 
 急げば間に合う、という希望的観測(またです)が頭をよぎりました。

 それとも山頂は諦めて沢を下るか。もと来た道を帰るか、

 そう、去年と同じようにー という選択肢もよぎりました。

 いえいえ、それだけは出来ません。


 もう二重にも三重にもショックを受けて、僅かに残った気力をも失いそうな

 状況ではありましたが、戻ることだけはしたくありませんでした。

 おまけにどうせ戻っても、フェリーには間に合わない。

 9時間かけて登って来た行程をまた繰り返しても

 いくら今度は下りとはいえ、間に合うはずがありません。


 タイムリミットのフェリーの乗船に、間に合う可能性があるとしたなら、

 それはやはり黒岳まで行って、リフトとロープウェイを使って降りるしかありません。


 
 私は覚悟を決めて大滝と対峙しました。

 この滝を巻いて超えなくてはなりません。

 スノーブリッジの上から沢に戻り、スノーブリッジの今度は下から

 大滝の滝壺の脇に近付きました。そこから左側の斜面を、僅かな岩場と、

 ダケカンバの灌木とを頼りに、よじ上り始めました。




 必死に登っている最中、勝手にシャッターが切れてしまった写真です。

 とにかく道もありません。捕まる笹の薮もありません。

 右手にちらりと大滝が見えています。ちなみに滝を巻くというのは、

 滝を脇の山の斜面を滝より高い位置まで登って、滝を超えてから、

 沢岸まで降りるというものです。


僅かな足場で灌木を頼りに腕の力のみで斜面を登っていく ちなみに真下は大滝の滝壺とスノーブリッジ


 写真上は自分の足下を撮りました。急斜面で降りられず、力尽きて登れず

 という状況の時です。

 
 一度巻いたつもりで降りてみたら、大滝の真ん前に戻って来るという目に遭いました。

 この時は、さすがにもうだめだと、弱気になりました。もう登れません。

 自分は遭難者だと自覚した程です。


 思わず笛を吹きました。が、山中に鳴り響くのみ。返事は滝の轟音だけです。

 仕方なくもう一度よじ上り始めます。登る角度はほぼ90度。

 上から下を見ると、90度どころかさらにせり出しているようにも感じられます。

 
 希望的観測を ・・・またしても、希望的観測を見事に裏切られる程の時間をかけて

 体力の限界を押して、大滝を乗り越えようと試みます。

 









 一瞬、死がよぎりました。

 もうここで、大滝を超えられないまま、死んでしまうのかもしれない

 そう思いました。


 いや、大げさですが、灌木をつかんでいる手を、一瞬力尽きて放せば、

 即座に、90度の斜面を転落して、滝壺まで真っ逆さまの状況でしたので。

 
 間に合う、間に合わないの、タイムリミットに関する希望的観測云々から、

 生死をかけた希望的観測、・・・もとい、決心に変わりました。


 ここで、やめたら、もう道がないんだ。後は死ぬしかないんだ。


 そう言う強い気持ちで、想いで、ダケカンバを掴み、踏み付けにしました。

 
 (大滝を超えられなかったら)後は死ぬしかないんだ。
 (大滝を超えられなかったら)後は死ぬしかないんだ。


 暗転の後、下の景色が見えました。

 恐る恐る巻いて降りた私の前に現れた景色。見事に大滝を超えた景色です。

 







 この時の歓喜の想いを、どうやって伝えたらいいかわかりません。

 これもおそらく、私の人生とリンクしたのでしょう。


 ついに、私は大滝を超えました。時刻は14時45分です。

 フェリー乗船のタイムリミットは逃しましたが、

 なんとか生きて戻りました。


 あまり威張れるものではないですね。おまけに、今度は雪渓の続く道です、

 これを(ストックを落としましたので)ストックなし、軽アイゼンなしで、

 写真の天辺まで登って行かなくてはなりません。


 大滝を超えても、まだまだ道程は長そうです。難関も続きそうですが。

これぞ、ザ・北海道だ、とその時は確信したのですが・・
帰ってから見ると微妙でした
おまけに滝に濡れて景色が曇っています


 ところで私は、冒頭のまっちゃ青年と、出発前に約束をしていました。

 今回の北海道旅行で、「ザ・北海道」ともいうべき、北海道らしい景色を

 撮って来るというものです。


 (まっちゃ青年は海外に住む恩人の方のために、日本のガイドブックのようなものを

 作ろうとしているそうです。それに私も協力しようと思いました)


 大滝を超えた後、振り返って、北大雪の山岳を見やりました。

 これぞ北海道だ! と思わず思いました。感動に心をふるわせてぱちり。

 次の瞬間、一眼レフカメラは電源を落として、二度と動かなくなりました。


 


 ここからは雪渓をひたすら歩きました。

 いつか「剱岳」という映画を見て、主人公たちが難関の劔岳登頂に成功したのは、

 雪の時期を選んだからというエピソードを思い出したほどです。

 そう、雪渓の上を歩けるほんの僅かな時期だけが、劔岳を登れる唯一の時期、

 唯一の山頂への道だった、という結末。

 そうか、私もこの雪渓をどこまでも行けば桂月岳と黒岳にたどり着くのかな、

 とまた希望的観測を固めます。それでも、この頃になると、

 もしかしたら黒岳のロープウェイの最終に間に合わないのではないか、

 とうすうす感じています。最悪は、黒岳のそばの石室、=山小屋に

 泊まろうと決めていました。


 ※誤解のないように書いておくと、白水沢遡行はそれほど大変ではないようです。
 沢登りの難易度も低い方です。インターネットで画像検索すると、(たとえば、「白水沢 大滝」 などのワードで・・)白水沢遡行の楽しそうな写真がたくさん出てきます。皆さん簡単そうにサクサク登られているので、興味のある方はチャレンジしていただきたいと思います。死にそうになったのは多分私くらいだと思います、笑


山頂に着いて、初めて見た景色
レンズのフィルターが、泥と曇りで汚れてしまいました

 雪渓が終わって、また沢の流れ(しかも早くて水の量も多い)が現れた時は

 心底うんざりしました。泣きが入りました。すぐ横を沢(水)が流れているので、

 スノーブリッジの上を歩くのも危険に感じられてきます。

 おまけに、白水沢は大きな枝沢がなく、本流がわかりやすいと聞いていたのに、
 
 どちらが本流かわからないような分岐に何度か遭遇しました。

 こういう時こそとコンパスを取り出したら、ちょうど沢と沢のど真ん中を示します。

 18時を過ぎて、日暮れも近くなりました。もうロープウェイは諦めています。

 石室さえも難しいかもしれません。ここで私は選択を迫られました。

 どちらの沢(方角)に行くか。夜をどこで迎えるのか。
 
 どこからならば登頂できるか、周囲を注意深く見回しました。

 私は熊の存在も恐れていました。熊鈴が(効果があるかわかりませんが)

 いつの間にか落ちてなくなっていました。それで、可能性がある限り、

 黒岳石室に向かうことを第一として考えました。

 どこからなら、今の私の状況でたどり着けるでしょうか。


 そのとき、大雪山の山頂(方向)に繋がっているガレ場が

 一筋の道になって現れました。

 まるで天辺から誘うように、左右にくねりながら降りてくる道が

 一筋、くっきりと見えたのです。


 私ははっとしました。ここしかない、という想いが強く閃きました。

 本来の目的である白水沢からは逸れてしまいます。大滝の前に失敗した時と

 同じではないか、という想いもよぎりました。あの自分は散々だなぁ、と

 思った時の選択と。大変そうな沢から逃げて、希望的観測に基づいて、

 また楽そうな道を行くのか、と。一瞬自分を責め、疑いました。

 また失敗するぞという恐怖も感じました。


 それでも、今度は、前回と違う点が一点だけありました。

 今の状況と私の体力からすると、私が無事に、山頂にたどり着く可能性は

 この道しか残されていない、と私が冷静に判断したということです。

 大滝と同じように。ここがだめなら死ぬしかない、とまでいうような。

 切羽詰まった決断です。あわよくば、ではなくて、

 もうどうしてもここしかない、

 どうしてもここから登るんだ、

 と言う強い意志がわき上がったということです。

 

 私はガレ場登り始めました。

 
 今思うと、何重にも偶然が重なりました。
 
 もしも軽アイゼンを持っていたら、雪渓と沢の道を選んでいたと思います。

 もしも鈴とヘッドランプを落としていなければ、装備をきちんとしていれば、

 身を隠す岩場やハイマツを考慮せず、どんどん進んでいました。

 もしも風が強かったら。雨が降っていたならば。

 ・・・


 

 結局、石室にもたどり着かず、ハイマツの中で一夜を過ごしました。

 ガレ場をすぎて、その時は奇石がごろごろあるハイマツの中を進んでいました。

 あと少しで山頂だと思われるのに、上を見上げると、遠かった!

 大雪山は大きいなぁ、と今さらながらしみじみと感じさせられました。


 白水沢の沢の音を聞きながら眠りました。源頭まで来ているというのに

 あの大きな沢の流れの轟音と言ったら、不思議でした。大滝と同じ、

 広大な山中に響き渡るような音です。

 雨も降らず、風もない夜でした。それで救われました。想定外の事態でしたので、

 フェリーも乗り過ごしてしまいましたし。(明日山を下りて、飛行機で帰ろうと

 思いました)

 月が出ていたら夜の間も登ろうと思ったのですが、

 東の空が大雪山の斜面(断崖絶壁)に隠されているせいか

 あいにく確認できません。前夜は大きな三日月が出ていたのですが・・?

 それにしても、あの日が沈んだ後の残照が大雪山の雲の上の空を染めた時の

 それは美しかったこと。それから見上げた時の星の空の美しかったこと。

 写真を撮れなくて、この時程残念だと思ったことはありませんでした。

 
 
 朝を迎えた私が初めて撮った写真。それが上です。

 切れたはずの一眼レフ、あまりに美しく感じられた朝日に心を奪われて、

 だめもとでシャッターを切ったら、普通に撮れました。

 その後、一眼レフの電池は、朝日で暖まったせいか、

 「(電池切れまで)バッテリー残量30%」位まで回復しました。


 良かったです。が、それにしても、もう少し早く登り始めれば、

 もしくはもう少し早いペースで登っていたら、

 朝日が登る瞬間が見れた(撮れた)ものを・・・・
 






 ガレ場を登っている時、私を励まし、癒してくれたのは、小さな高山植物たちでした。

 イワブクロ、イワウメ、コマクサ、ツガザクラ、イワヒゲ。

 見た花を覚えておこうと、(私は花の名前を知らないので)

 懸命に目に焼き付けましたが、残念ながら今ネットで探してもわからないものが

 多かったです。岩場であの小さな花を見つけた時の心が救われる感じ。

 わぁ、と高揚する、あのぽっと心に灯がともる感じ。

 たまりませんでした。

 山頂について、おそらくやっと山頂について、視界が開けたときに、

 まず、朝日と雲海、それから足下に輝く花々が目に入りました。

 少なからず感動して、懸命に撮ったつもりです。バッテリー切れるな、と願いながら。

 ところが帰って来てから見てみると、レンズは曇ってるし、何をどう撮ったのだか・・

 まぁ、バッテリーが復活して、撮れただけで奇跡ではありますが。


 


 写真上は今回の山行で一番お世話になったハイマツ。ふかふかで柔らかい。

 なのに、根がしっかり張っているので、掴んでもびくりともしません。

 標高の低い部分ではダケカンバの灌木が、高い部分ではハイマツが。
 
 登るのをどれほど助けてくれたことか。おそらく、これがなかったら登れなかった。

 夜の寒さもしのげなかったと思います。命の恩人のハイマツ。





 それにしてもどこにたどり着いたのだろう。本当に御鉢回りでしょうか。

 眼下の景色が見えるところまで行って、見ると、驚きました。人間がいる!

 数々の色とりどりのテントを目にしました。おそらくあれが黒岳石室(山小屋)でしょう。

 やっと、着いたのです。

 それにしても、人間たちの懐かしく感じたこと! そこにいることが奇跡のように

 思われたこと!

 そしてもう一つ驚かされたのは、私がたどり着いて、黒岳石室を見下ろしていたところが、

 桂月岳だったということです。

 
 私は下まで降りて、石室に近付きました。降りて来た山の下の標識に気がついて、

 何気なく覗き込むと、「桂月岳」と書いてあるではありませんか。




 遠くからでは自分のいる場所の形が見えないものです。

 おまけに私はすぐ隣の凌雲岳が桂月岳だと思い込んでいました。それで昨夜、

 夜中じゅう、凌雲岳のこんもりしたシルエットを見ては、

(見たくなくても目に入ってくるのです)悔しい想いをしたものです。

 自分が行きたかった桂月岳、敬愛する桂月がたどり着いた場所。

 その楽園は、まだあれだけ高く、遠くて、

 自分のいる場所とは、これだけの距離が離れている、

 まるで歯ぎしりするように、そんなふうに思っていたものですから。


 今思えば、何重にも偶然が重なりました。

 もしも軽アイゼンを持っていたら、月が出ていたら・・

 ストックにヘッドライトを落とさなければ。

 私は今ここにいないでしょう。
 
 ここは神々が遊ぶ庭と言われています。カムイミンタラ。神々の遊ぶ場所。

 私はこの地の神々に感謝の気持ちを伝えました。

 白水沢遡行がどうだったか、と訊かれれば、もしかしたら大失敗かもしれません。

 沢の源頭まで行けませんでしたから。

 それでも、白水沢から登り、自らの意志を持って、たどり着いた場所が、

 桂月岳だった、しかも桂月岳の頂であったということは、

 本当に奇跡としか思えない偶然です。

 神々に。どうもありがとうございました。

 




 写真上は、桂月岳をバックで。久しぶりの人間様に撮っていただきました。

 「いいカメラですね」(ええ、全力で守って登ってきました)

 「朝、桂月岳の上にいたでしょう」(ええ、桂月岳で夜を明かしたのですよ)


 びっくりするような、大げさな表情の人間様に、満面の笑顔。

 写真を撮ってくれる人がいるというのは、なんと素晴らしいことか。

 私以外の人がいて、こうやって普通に話せるというのは、

 なんと素晴らしく嬉しいことか。

 喜びをかみしめながら黒岳石室から今度は黒岳へ向かいました。





 黒岳バックにまた人間様に撮っていただきました。

 今度は若い青年です。「友人に置いていかれました」と苦笑い。

 山頂でまた彼(と友人)に出会いました。





 黒岳からの眺めです。この美しい景色に、いつか白い噴煙の昇りが、

 いくつも、いくつも、筋になって現れることがないよう、心から祈ります。


 ここは楽園、カミイミンタラです。神々が遊ぶ場所と言われているところです。

 桂月が登り、愛して、その大きさを讃えた場所です。そんな私たちの国立公園に、

 一部の上川町の方々と、一部の官僚(もしくは政治家)たちが、

 貴重な生態系や美しい景観を壊すリスクの高い決定を、
 
 談合で決める権利はないはずです。





 山頂で青年たちと記念撮影です。

 このあとご挨拶をしてすぐに分かれましたが、下りの道でまたばったり会いました。

 私の歩くスピードがかなり遅くなっていたようです。

 その節はありがとうございました。




 北大雪の景色です。これぞ北海道「ザ・北海道」は撮れたでしょうか?





 大雪山の神々からの最後のプレゼント、白い蝶(エゾシロチョウ)が現れました。

 昨年登ったときに、道案内をしてくれたように私が思ったという例の蝶です。

 可愛いですね! 



 私を追い越していく青年たち。





 が、またリフト乗り場で偶然会って、記念撮影モードに。明るいです!

 左が「友人に置いていかれた」のI氏。優しい青年でした。

 右がケーブルカーの中で、おばちゃんたちに、

 「あなた(政治家に向いているから)総理大臣になってよ」

 と半ば本気で懇願されていたT氏。

 奇しくも、歴代の名物総理と同じ名字です。






 リフトとロープウェイで黒岳を下ります。

 これを登って来たのだなぁ、と深い感慨です。






 五合目からロープウェーに乗り換えます。





 ロープウェーから見下ろすと、沢にはユンボが。

 何やら工事をしているようです。トトロの森(白水沢の林道)も時間の問題か。

 「何だあれ、ユンボあるし」

 とT青年(総理候補)が食いついてくれていたのが、唯一の希望と言えば希望でした。

 本当に総理になってくれないでしょうか。






 写真上、黒岳ロープウェーの前で。去年この絵が撮れなかったので、

 嬉しかったです! ついに来ました(乗りました)。層雲峡ロープウェイ。

 
 さて、このあと、「ザ・北海道」を求めて、層雲峡名物の銀河、流星の滝を

 見に行きました。流星・銀河の滝は、石狩川沿いに24kmにわたって続く

 断崖絶壁の崖を流れ落ちる滝で、よく北海道旅行のパンフレット(紅葉時)に

 登場するとても人気のスポットです。




 右が流星の滝(雄滝)で、左が銀河の滝(雌滝)ですが、木々に阻まれて、

 両方がよく見えません。

これが紅葉に染まったところ よく旅行パンフレットで見ていました ついに目の前に!


 両方の滝がよく見える展望台(双瀑台)というものがあるそうです。青年たちが
 
 行きましょうと乗り気で言ってくれますが、残念ながら気力体力使い果たしていて、

 もう一寸でも山道を登る気持ちになりません。

 急な山道を450m登るとのこと、

 「若いから10分で(双瀑台まで)着くわよ」と売店のご夫人が笑いますが、

 いや、私は若くないので、と思わず突っ込みくなりました。

 T青年はご自慢のサンダルで林の階段を駆け上っていきました。I青年の方は

 私の後ろから、「いや〜もう疲れましたよね〜」とのんびり登ります。

 友人でもこれだけ性格が違うのかと驚かされます。

 で、中間の展望台で撮ったのがこちら。↓ 



 中央の木が邪魔です。その上にもう一つ展望台があり、そちからだと黒岳が

 (中央の岩の間から)見えるそうです。

 「行くしかないでしょう」と駆け上がるT青年。私のために付き合いで

 登っているはずですが、その私がもういい(登りたくない)と言っているのに。

 初志貫徹。すごい信念です。本当に総理大臣に向いているかもしれません。

 「いや〜疲れましたよね〜」とI青年。こちらは相変わらず

 私の後ろからのんびり着いて来てくれます。

 そんな二人に励まされて、渋々、やっとこさっとこで、

 双瀑台の上までやって来た私。 




 やっと撮れました。高いところまで来たので、もう木々も邪魔しません。

 残念ながら黒岳は曇って見えませんでしたが、流星・銀河の滝の両方が見えて

 大満足でした。


 そして、お礼のラーメンに突入。

 上川町のお食事処さつきさんで、新発売のおすすめラーメンをいただきました。


美味しいです! 今年新発売の、たしか黒塩ラーメンだったと思います 黒酢を入れていただきました

こちらは天ざる蕎麦 天ぷらのボリュームがすごい!

 こちらは青年らが食べた天ざるそば。T氏のお母様も合流して、

 楽しい食事会になりました! その節はありがとうございました。


お食事処さつきさん 美味しかったです! ごちそうさまでした


 ・お食事処さつき ※さつきさんのHPです。



 そして、夜は青年らのおすすめの、北海道と言えばのジンギスカン!




うまあーーー!!


 新千歳空港まで高速をかっ飛ばして、なんとか時間内にレンタカーを返した私。

 ところが、仙台行きの飛行機が取れません! 三連休の最後なので、

 空港は旅行者の人でごった返し、人をかき分け、あちらこちらの

 航空会社カウンターで聴いて、スマホで調べて、それでもどうしても取れないので、

 仕方なく、翌朝の一番早い便の航空券を購入しました。

 会社は遅刻決定です。がーん。


 というわけで、千歳空港そばのゲストハウスで一晩お世話になりました。

 そのゲストハウスのフリーダムさんの夕飯がジンギスカンだった、という訳です。



朝食が最高でした ゲストハウスにはバーカウンターもあります!

 ちなみに、このフリーダムさん、お安いのに、とてもオシャレできれいな

 宿泊施設でした。お料理もジンギスカンも朝食も美味しかった。

 特に朝食の手作りのベーグルは必見です。北海道小麦100パーセント、

 天然酵母使用のもちもちのベーグルはぜひ食べていただきたい一級品、

 素敵なプロのお味でした。


こちらご自慢のお手製ベーグル
早朝。電源切れで撮り逃しました
(ご主人よりHPの写真を使っていいとのこと)



 ご主人はバイク好きが高じて、FREEDOM!! というバイクのBAR(クラブ)を
 
 作ったそうです。ゲストハウスは、なのでFREEDOM!! の二代目。

 ご主人のバイクと自由への熱い想いが込められた素敵な居場所です。

 この日は女子二人と同じドミトリーになって、夜遅くまでお話をして過ごしました。

 ジンギスカンと朝食も、彼女たちとお喋りをしながら食べました。

 楽しかったです! 夢を語ってしまいました。

 ふと浅草のホテルニュー紅陽という旅館を思い出しました。外国の方に人気の

 宿泊者に出会いの場を提供するホテルです。

 FREEDOM!! さんもそんな素敵な出会いがいっぱい味わえるゲストハウスでした。

 旅をする人と人とがほんの少しの時間、交差する場所、プラットホーム。

 まだ昨年オープンしたばかり、これから予約がいっぱい入って

 簡単に泊まれなくなってしまいそうな予感もしますが、またぜひ

 よろしくお願いします! 


 ・FREEDOM!!


ご主人とタイから来た青年ラサミさんと、どうもありがとうございました!




 ※地熱発電、前回の北海道旅行の件をもう少し知りたいと言う方は、
 こちらをご覧いただけると幸いです。↓

 
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