夢路のドライブ 北海道旅行編⑥ ~白水沢の最後の散歩~




 エゾスジグロ シロチョウがまたひらひらと飛んでいった。白水沢の林道から何度も見かけた蝶である。初め私はただのモンシロチョウかと思っていたが、あとで調べたところ、れっきとした北海道産の個体だそうだ。
 藪が生い茂る沢道を行くときは、このエゾスジグロシロチョウが、そして沢から外れて藪漕ぎをしているときは、エゾナキウサギが、それぞれ道案内をしてくれた。
 エゾナキウサギは「生きた化石」、もしくは「氷河期の生き残り」と呼ばれている、かつてユーラシア大陸が地続きだった時代に渡ってきた15センチほどの耳の丸いうさぎである。
 沢の流れや大滝の沢の音が聞こえないかと、耳を澄ましながら歩いていると、必ずと言っていいほど、このエゾナキウサギが、ピィーと甲高く鳴くのである。ちょっとやかましい。しかし、勇気づけられる。姿を想像すると思わず笑みがこぼれた。



エゾナキウサギの鳴き声はこちら↓



 水蒸気井(昭和時代の試掘井)の横を通り過ぎると、湧き上がる水蒸気の音も、丸紅の現地調査の音 ー地磁気地電流法探査か、微動アレー探査か知らないが、歯医者の電気ドリルのような音ー もすっかり止んだ。辺りは静かである。熊鈴を握って鈴の音を消し、耳を澄ますが、やはりナキウサギの声ばかりがした。
 このまま高巻いて大滝に戻りたいが、もしダメならどこでもいいから広い大雪山の頂に辿り着きたいと思っていた。時計を見ると、11時を回っている。頂は遥か上である。これは無理そうだな、コルトに戻って、層雲峡からロープウェイで黒岳に登ろうか、と思い始めた時、思いがけず藪が開けて、小さな沢の流れが現れた。さらさらと静かに鳴る。さすがに少し驚いた。まるでオアシスの流れのように、輝かしく見えたものだった。


 
  エゾスジグロ シロチョウ、エゾナキウサギ。
  植生はアカエゾマツ林、ダケカンバ林、ミヤマハンノキ林、オオイタドリ群落、ススキ群落・・・


突然現れた渓流

層雲峡に行くのはやめて、また登っていく

しかしほどなくまた途切れ、薮ばかりに

 
 「(私の懸念に対して)地熱発電と国立公園が共存している事例は多くありますよ」と旭岳の青年は言った。

 「(地元の人の反対は)・・どうでしょう。でも、エネルギーの問題はどうにかしないといけないと思いますよ」と嘉助老人は物憂げに漏らした。


 私は層雲峡に戻ってリフトに乗ろう、と思っていたにも関わらず、渓流を発見した途端、当たり前のように、沢を登り始めた。もう地図を見ても、ここがどこだかわからなかった。ー昨日旭岳の青年に勧められた山と高原地図のアプリ ーアイフォンは電池がもたないから使えないと思っていたGPSのアプリー をダウンロードしておけば良かった。まさか、あれだけ予習していた沢のルートを行けない状況でまだ自分が登り続けている、という事態を想定していなかった。別のルートなど考えていなかった。もうここがどこだかわからない。このまま進んでも無駄かも知れない。大滝は現れないし、黒岳の山頂の写真も撮れないかもしれない。
 それでも、道が現れたからには憑かれたように進んでいく。自分が白水沢から黒岳まで登頂できれば、白水沢地区の開発事業が消えてなくなるかのように考えているのである。エゾスジグロ シロチョウがまた現れた。ひらりと舞って、私の前を飛んでいった。


 オアシスに見えた透明の小さな沢も、またすぐに消えてしまった。ところが今度はもう引き返してロープウェイで黒岳に登ろうとは思わなかった。このままタイムアウトまで行けるところまで行こう。黒岳に登頂するとしたなら、ここから登らなければ意味がないのだ。

 私は高度を稼ごうと、山の斜面を斜めに登り始めた。10m程上に白樺、いや、ダケカンバかハンノキかもしれない、木々の林が見えている。もしかしたら尾根だろうか。あそこまで行けば、普通に歩けるのではないか? 薮の茂る斜面を伝って行く。時折、濡れて腐った白樺(ダケカンバ?)が横たわっていた。登る手掛かりとするために、その白い枝を掴むとずるりともげた。ホラー映画みたいだ。ここは藪ばかりだ。沢道で散々人の邪魔をした藪は、山道のトラバースでもあいかわらず邪魔をする。体一つを通して進むのがやっとである。それでも這い上がるには藪を掴むしかない。憎き藪を頼りにして何とか登り続けたが、雨で濡れた土砂で滑って、一気に転がり落ちる。そういう時に限って・・、いや限らないか、そういう時も、藪は助けてくれなかった。谷方面に撓って滑りやすくしてくれたくらいである。

 こんな話ばかりを書いていると、白水沢などうんざりだと思われそうだが、いや、朝早く出て、丸紅のいない時間に正規ルートで登れば、白水沢はごく普通に登れる沢だと思う。大滝にさえ出会えれば、それを左から巻けば、2時間で源頭である。私も来年また是非チャレンジしようと思う。
 とは言っても、丸紅の地表調査は来年2月までである。調査によって地熱資源の存在を裏付ける結果が得られれば、上川町と関係者と引き続き協議し、更なる調査の上で、地熱発電という再生エネルギーの事業化に向けて前向きに取り組んでいくそうだ。9月11日付けで公式発表している。言葉は濁しているが、決まったも同然である。
 行けるかどうかわからないが。それこそあの白水沢林道も、この小さな地熱地帯のすぐ傍の沢道も、立派な「作業道」に変貌して、蝶やナキウサギどころか、人さえ歩けない状態になっているかもしれないが。
 

 14時30分。尾根ではないが、多少開けた斜面にたどり着いた。ちゃんと木も生えている。相変わらず白樺によく似ているが、ダケカンバだろうか。その林に座り込んで休憩した。葉の間の遥か先に黒岳の特徴的な厳つい峰が見えた。
 ここで終わりだ。自分でけじめをつけて、記念撮影。武田軍に大敗した三方ヶ原戦いの時の家康のように、今の顔を覚えておこう。



最後の携帯の電池を使って黒岳の頂方面を撮る
どうにも遠すぎる


沢を下り始める 大した距離登っていないはずだが、
いざ下りとなるとこれが長く感じる。

滑りやすいので要注意

黒岳の峯が見える



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 メールありがとうございます。
ご質問等につきまして、ご希望の当日は会議や別件打合せで担当スタッフのスケジュールが詰まっており、直接応対させていただくことができませんので、メールにてご回答いたします。

1.環境省の規制緩和により、開発工事の届出が不要になるということはありません。  自然公園法(昭和32年施行法律第161号)により、自然公園内で行う行為については、環境大臣の許可が必要となっています。(ただし、その規模が軽微であるものや、他法令による規制を既に受けているもの、人身への災害を回避するために必要最低限必要なものは、その内容により許可が不要になる場合もあります)。
 今回のような地熱開発など、行為規模の大きなものについては、許可(届出)が不要になると言うことはあり得ません。(むしろ、環境影響評価の義務づけなど、より厳しい手続きになります。)  平成24年3月の通知により国立公園内での地熱開発行為が一部緩和されたのは事実ですが、これは地熱開発に係る手続きが不要になると言うことではなく、開発を許可しうる具体的な条件を一部緩和し示したというものです。

2.地熱開発に対する問題点については、第3回資料で申し述べたとおりです。
 地熱開発に対する問題点として環境省資料により何点か記載しておりますが、この資料の主旨は、自然環境保全の観点から実際に開発が行われようとする際の問題点を予め指摘するものであり、全ての地熱開発行為がここに挙げた問題点を内在しているという意味ではありません。(また、白水沢地区に特化した課題という意味でもありません。)
 環境省としては、上記に掲げたような課題に対し、開発する側が丁寧に対応・解決していくことで地元の理解と合意形成を進めていくべきであると考えます。

 国立公園は国民の貴重な宝であり、その貴重な自然環境を適切に保全し利用するため、自然公園法により適切に管理されています。一方、日本国憲法で保障されているもの、例えば国民の生存のために必要な行為に等については、国立公園内といえども『現行法に照らして適合できる形であれば許可していく』必要もあると考えます。そのため、環境省ではその調整と審査担い、保全への対応を進めているところです。

 北海道地方環境事務所 国立公園・保全整備課 太〇


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 お世話になっております。私 層雲峡観光協会の中〇と申します。
 メールの返信が遅くなりましたことお詫び申し上げます。
 先般お送りいただいたメールを拝見し、当協会の会長並びに上川町の地熱担当者にスケジュールを聞いてみましたが、皆それぞれに予定が入っているとの事で、残念ながらお会いする時間が取れませんでした。
 遠い所からお越しいただきながら調整が出来ず申し訳ございません。
 何卒ご了承下さいます様お願い申し上げます。

 層雲峡観光協会 中〇


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 元来た道を戻るのは容易かった。散々藪の中を歩いたので、迷子になるかと思ったが、私は来た道の地形をしっかりと覚えていた。さっき登ろうとして転がり落ちた斜面は、雪ぞりのように楽しみながら滑り落ちた。

 白水沢の地熱発電事業は、決まったも同然だった。
 事業の障害となるはずの二つの組織が、異を唱える気力が無い。
 生存権が危ぶまれているのは、彼らの方かもしれなかった。
 結局私は何もできなかった。白水沢から黒岳へ登ることも、白水沢地区の良さを一つでも伝えることも叶わなかった。それでも試みたことに意義があるとさえ言えない。私が懸命に登ったことは、誰からも必要とされていないことである。ほんの2日前に、地元の理解と合意形成を得ての、丸紅による公式発表が終わっていた。

 元来た道をどんどん下る。登った時は大した距離とも思えなかったが、いざ下るとなると、長く感じられた。出合までまだまだ着きそうもない。時間的に、ちょうど一日の作業を終えた丸紅の作業員と出くわしそうである。声を掛けられたら何というか。何をしているんですか?

 あなたたちこそ何をしているんですか。ここは国立公園内ですよ。誰の許可を得ているんですか。なぜ、上川町は規制をしているんですか。国民は納得しているんですか。

 自分を正当化する理屈を考えるが、丸紅は言うだろう、「地元の理解と合計形成」を経ています。あなたは?


 私は? 
 ここまで来るのに、たくさんの植物を踏み、たくさんの藪を倒した。

 丸紅のことなど言えなかった。自分の願いを遂げるために、何かを傷つけ、倒し、犠牲にする。規模の違いこそあれ、やっていることは同じである。自分は丸紅と同じだなぁ、理解と合意形成を得ていないからもっとひどいのかもしれないなぁ。確かに私は上川町の入林許可証をもらえなかった。それでも、ここにいる植物と藪と、自然の全てに理解を求めたはずであった。ごめんな、道を行かせてくれよ、そうしないとこの道がなくなってしまうんだ。お前らの住む場所が消えてしまうかもしれないんだ・・ そう何度も語りかけたと思う。それでも、結局何もしてあげられなかった。傷つけただけであった。自分が非難しているものと、自分は変わらない、最低なものである、という思いがなかなか拭いきれない。

 不意に、温泉が現れた。渓流の隅からかすかな湯気が立っている。近付くと、岩の下からぬるいお湯が湧き出ているようだ。試しに掘ってみた。白く濁る。しかし、またすぐに、新しい湯が湧き出て透明になる。20度から30度位の温度だろうか。
 昨日の中岳温泉を思い出した。あれは随分いい湯だった。浸ったあとに嘘のように疲れが取れたんだっけ・・ 笑みがこぼれた。やっと口角が持ち上がった。靴を脱いで浸ってみる。中岳温泉よりだいぶぬるい。深さも5センチ程なので、かろうじて足の裏が浸るくらいだ。冷えて、疲れ切った足には、何の効果も感じられなかった。
 
 ここで初めて泣きたくなった。これっぽっちで、どうしろというのだ。ふとすべてが情けなく感じられた時、その時、歌が聞こえた。そんなことは初めてだった。頭の奥から、移植されたように、聞き覚えのある歌が降りてきたのだった。

 「歩こう 歩こう 私は元気」

 「歩くの大好き どんどん行こう」

 鮮明に聞こえる。聞き慣れた女性の高い歌声が鳴り響く。ところが何の曲かわからない。子供の頃に聞いた唱歌に違いないと想像した。なぜ突然今聞こえて来るのだろうか。

 後で帰宅してから「歩くの大好き」という歌詞をググって調べたところ、(私は上に書いた2節しか聞くことはできなかったのだ)それは、「となりのトトロ」の「さんぽ」という挿入歌だった。それを知ったときは死ぬほど驚いた。白水沢の森を歩いている時、フェイスブックで「トトロの森だ」とコメントをもらったと書いたが、実は私はトトロの映画を見たことがないのだ。テレビで2回ほど流し見しただけである。大体のストーリーはわかっているし、感動させてもらったが、挿入歌を覚える程のファンではなかった。



渓流の岩場の隅に湯気が?温泉っぽい

掘って濁ったところ

足湯をしてみる



トトロの「さんぽ」 秋山カズさんが歌っています



 私は靴を履いて、立ち上がった。出合に向かって歩き始めた。
 「さんぽ」の2節を大きな声で歌いながら。

 「歩こう 歩こう 私は元気」

 「歩くの大好き どんどん行こう」

 出合いの傍で、ウィィーン・・という歯医者のドリルのような音を聞いた。まだ丸紅がいるんだな、と思ったが、気にしないことにした。歌いながら白水沢の本流をどんどん下る。入渓ポイントに到着した。靴を変えて、レインウェアの下に斜めがけにしていた荷物を背負い直す。今朝方、このあたりと林道で散々見かけた白い蝶・・ ーエゾスジグロシロチョウは、もういないようだ。メロンの滝から程ない林道の駐車スペースに出て、朝止まっていた3台の車がすっかりないことに気がついた。17時半だ。そうか、蝶も草葉や枝の下に消えた。丸紅もとっくに帰っていたのか。歯医者のドリルのような調査音を確かに聞いたように思ったが、あれは無人でも音を鳴らす機械だったのかもしれない。

 ということは、今この森にいるのは、私一人だった。私と彼らだけだった。私は白水沢林道をどんどん歩いていく。相変わらず、大きな声で、わずか2節の歌を歌いながら。
 繰り返す中で、ひとつだけ、最後の歌詞をこう変えてみた。

 「歩こう 歩こう 私は元気」

 「歩くの大好き 一緒に行こう」

 林道は次第に暗くなった。あっという間に日が暮れた。私はLEDライトを取り出して、小さな灯りをぶんぶん振り回しながら歩き続けた。灯りの中に時々小さな虫が飛び込んできた。林道の豊かな緑の葉を照らす。枝を、幹を、照らしていく。前方に赤い橋が見えた。林道途中の橋である。それを林道終点の白水川第1号橋だと勘違いした私は、もう別れが来たかと思って歌声を悲痛に歪ませた。この時初めて、この林道と離れがたい気持ちになっていることに気がついた。1号橋ではなかった。安堵の息を漏らす。あと、ものの10分か、5分で、私の白水沢紀行は終わりを遂げるだろう。結局何も成し遂げられなかった。しかし、何と、その僅かな時間が、貴重なものと思えたことか。抑えられない感情の高まりに襲われた。

 ありがとう。さようなら。白水沢林道。また必ず会える日を夢見て。
 
 白い蝶が丸い光の中を横切って、消えていった。
 私は高らかに歌いながら、最後の散歩を続けるのだった。
  



支流をどんどん下る

入渓スポットから陸に降りたところ

左が林道(メロンの滝方面)、右手に白水沢

ここから白水沢林道を約30分の散歩
沢から上がったらレンズがすっかり曇ってしまった

林道を歩いているうちに日が暮れて
こちらは白水沢と合流した石狩川

上流(層雲峡)方面

さようなら 白水沢林道 ありがとう



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 メールのご返答をどうもありがとうございます。
 地熱開発の許可が不要になると言うことはなく、むしろより厳しい手続きになるとのこと、安心いたしました。
 また、地熱発電の問題点が、すべての地熱開発に内在する問題ではなく、白水沢地区等の地熱開発に特化した課題ではない、というお話も理解したつもりでおります。

 が、それでもなお懸念が拭いきれいないのは、『次に示す4点については大きく改善されておらず、影響が十分に軽減されたとは言えない』という環境省吉松氏の資料の言葉からきております。
(以下、4点を抜粋します)

1、発電所の建設について、大規模な造成を伴うほか、個々に、または施設群としての存在によって風致景観等に与える影響が大きい。

2. 操業段階においても継続的な坑井の再掘削が必要であり、その都度、工事に伴う支障が生じるほか、新たな敷地の造成等も必要。

3. 汲み上げられた熱水は地中に還元されるが、還元熱水の地中内部での詳細な動向や、スケール付着防止を目的として混入される硫酸の影響など、地下の環境に与える影響は必ずしも解明されていない。

4. 資源調査段階での有毒ガスによる作業員の中毒や、鬼首地熱発電所の敷地内での噴気事故などがあり、事故の発生による周辺地域住民や公園利用者等への影響が懸念される。

 今回の丸紅の地熱発電調査の対象地区は、黒岳と桂月岳のすぐ隣に及びます。
 また、層雲峡白水沢地区の過去の地熱調査によれば、優勢な地熱資源を確認出来たのは、やはり黒岳と桂月岳のすぐ隣(※注)となっております。
 黒岳と桂月岳は、我が国の自然環境保護の中核的存在です。
 たとえ、調査開発地域から多少のズレがあったとしても、もしも白水沢地区等で地熱発電事業が操業されれば、継続的な補充井の再掘削により、自然改変面積が拡大して、黒岳と桂月岳の景観と自然環境に大きく影響が出るのではないかと考えます。
 (また、上にあげた4点の他にも、『冷却塔からの水蒸気により周辺植生に着氷被害のおそれ』があるという地熱発電の問題点も気になるところであります)

 私が、黒岳と桂月岳、と何度もその二つの場所の懸念を繰り返す理由は、黒岳と桂月岳が大雪山の中でも特別な存在であると考えているからです。
 我が国の自然環境保護の中核的存在、というだけではなく、黒岳は層雲峡の観光業にも大きく影響を与える場所であります。(黒岳を守ることは層雲峡の人々を守ることだと思います)
 そして、桂月岳は、その名が「大町桂月」から名付けられたものであるからです。

 桂月の「層雲峡より大雪山へ」という小説(紀行文)を読みました。
 大雪山、層雲峡の素晴らしさ、北海道の山岳の豊かさが、詳細に描かれている物語でした。
 その桂月の名を持った山の自然を開発し、事業により破壊することは、何重にも残酷な行為だと思います。
 人間の生存権のためという理由もわかります。 しかし、今切羽詰って、地熱発電事業を開発しなければ人々の生存権が脅かされているとはどうしても思えません。 もっと自然を犠牲にしないエネルギー開発はあると信じています。
 人間の生活のために、自然をないがしろにし、犠牲にする。何度も繰り返されてきたことです。福島では今、汚染水の問題が世界を脅かしています。海と生態系を、傷付けようとしています。
 人間の都合により、人間の利のために、自然が犠牲にされるのはもう見たくありません。桂月があれほど美しく描いた大雪山をどうか守ってください。
  地熱発電が原子力発電と同じ轍を踏まないことを切に願います。


 追記
 桂月の小説はキンドル版が無料で読めます。スマートフォンでもキンドルアプリで読めますので、どうか今一度、目を通していただけると嬉しく思います。

http://www.amazon.co.jp/%E5%B1%A4%E9%9B%B2%E5%B3%A1%E3%82%88%E3%82%8A%E5%A4%A7%E9%9B%AA%E5%B1%B1%E3%81%B8-ebook/dp/B009MDDCEM/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1378825789&sr=8-1&keywords=%E5%B1%A4%E9%9B%B2%E5%B3%A1%E3%82%88%E3%82%8A%E5%A4%A7%E9%9B%AA%E5%B1%B1%E3%81%B8



(注)昭和時代に優勢な地熱資源を確認出来たのは、白水沢の水蒸気井辺りの地熱地帯。

お腹がすいた コルトでお寿司を食べに行く

五臓六腑が温まる


北海道産のさんまとほたて

デザートも頂きます!

さて、旭川に帰りますか

戦いの跡

最後の夜を、残った大雪山源水で乾杯




 その⑦最終回へ続く



✩参考資料✩
 エコの名の下の環境破壊
 層雲閣(層雲閣グランドホテル)でわかる層雲峡史
 桂月岳・北鎮岳白水沢
 層雲峡から大雪山へ(大町桂月・青空文庫)
 


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