御用山(五葉山)の巨石は誰のため?




巨石フェチである。日本には巨石の遺跡が多く、またその多くは、かつて山伏たちが修験を行った「霊山」の祠の近くにひっそりと置いてある(もしくは生えている)。環状に配置された環状列石=ストーンサークル。支石墓(しせきぼ)と呼ばれる墓=ドルメン。天柱石=メンヒル。などなど。もどきのオブジェも含めて、人口系か天然系か? どちらにせよ、どうも宇宙的に感じられて仕方がない。正確には、宇宙人的、というのか。高野山に行った時の記事にも書いたが、(日本の遺跡の配置はミステリアスすぎて)密教や山岳信仰の、その道に通じていた人・・・例えば空海のような高層や、山で修行に高じていた行者たち・・・ というのは、異世界(宇宙人)とコンタクト出来る人たちだったのではないか? とぶっちゃけ常々思っているのである。いやいやいや、そりゃ、ありえない、と笑うかもしれないが、例えばこんなミステリはどうだろう?

神秘の山、五葉山。

岩手県南西部(釜石と大船渡の間)、北上高地に位置する、三陸沿岸最高峰の山。古くは伊達藩が山の木々を軍需資源として用立てたので、「御用山」=「五葉山」と呼ばれたそうだ。もしくは、五つの仏を祀ることからそう呼ばれたとも。

阿弥陀如来。薬師如来。観世音菩薩。虚空蔵菩薩。愛染明王。

なかなか欲張り過ぎるほど祀っている。ところが、この御用山、藩管轄の林産資源・・・というわりに、樹木がないのである。森林限界が低くて、山頂近くは高山帯の面持ちだ。森林限界(=気候が寒冷になって樹木が森林として生育分布できない限界点)というのは気候によって変るが、それにしても、1341メートルのそう高くない山で、山頂近くは準平原のゆるやかな地平が広がり、視界を遮る木々もなく、低木のハイマツ、ガンコウラン、コケモモ、ヨウラクなどが高らかに茂るというのは、若干奇妙ではあった。北海道の大雪山のような面持ちなのだ。そう、あんな感じに、まるで「神々が遊ぶ庭」といった風情の、気持ち良さがあるのである。

実用的ではない。祠と巨石だらけだ。どちらかといえば、典型的な霊山である。神々の遊ぶ庭ふうに、稜線がつづいている。稜線をたどり、山頂にたどり着いて庭は終わり、ということはなく、東方面の稜線をまた少し行くと、日の出岩という五葉山最大モニュメントの巨石群が現れる。そして、この巨石群と、遠野の続石(天然ドルメン)と、姫神山(天然メンヒル)を西北に結んだライン上に、秋田県の大湯環状列石(国の特別史跡のストーンサークル)が鎮座しているのである。
そんなミステリ・・いや、神秘の山、御用山に行ってきた。ただ写真を紹介するだけではもったいないから、ぜひ全国から五葉山に遊びに来て欲しいものだ・・、と、つい長い前置きになってしまった。世間を見れば、英国のEU離脱が確定的になり、世界経済はまだまだどんでん返し的不安定な要素が山積みである。ぜひ、かつて山伏たち行者が目指したように、山岳という異世界の神秘とのふれあいを通して、現代を生き抜くパワー(エネルギー)を身につけていただきたいものである。五葉山はうってつけであるから。

五葉山。かつて御用山と呼ばれた五葉の仏が座る山。
誰が、その山を、御用としたのやら?



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登山口の赤坂峠。




案内図。




登山道より南に展望が開け、太平洋、氷上山、鷹生ダムが見渡せる。


1合目。



30〜40分で3合目の「賽の河原」に到着。ケルンがたくさん積まれている。名前の通り、荒涼とした雰囲気。下は帰りの写真、霧が出てきてなおさら味のある雰囲気に。


奥羽からいらした山仲間という皆さんと出あった。ゆったり登山(のんびりと登る登山)を楽しまれているそうだ。その節はありがとうございます。




すれ違う登山者は意外と多い。朝の4時から登り、山頂で雲海を見たという単独登山者の方もいらした。




4合目の畳石。ベンチがあり、休憩スポットになっている。奥にあるのが巨石の畳石。





でかい。3畳くらいかな?と思ったら、6畳はゆうにある、と書いている方もいた。



5合目。ダケカンバにミズナラ、ケヤキ、多様な(200以上と言われている)樹木の混生林を粛々と登って行く。急登りはほとんどなく、女性には登りやすい山だ。




緑が気持ちがいい。癒される。道脇の所々に大きな石がある。





6合目。





7合目を過ぎると祠がふたつ現れる。ケルンが積まれ、ふたつ目は岩の裂け目の正面に祠があり、天の岩戸の雰囲気。




ビブラムソールファイブフィンガーズ。最近お気に入りの靴。この靴を履いていると、どこで買ったの?(私も欲しい)としょっちゅう声をかけられる。販売店が少ないそうなので、アマゾンで買っています。(ビブラムファイブフィンガーズと検索すると、様々な種類が出てくる)



五葉山の特色とされている頂綾手前からの豪華なハクサンシャクナゲの群生にはまだ出会えなかったが、ヤマツツジ、レンゲツツジの花回廊は楽しむことができた。(若干時期が過ぎて枯れかかっていたが)山頂近くの登山道を華やかに彩っていて、変化に富んだ登山を楽しむことができた。







9合目を過ぎると、避難小屋石楠花荘が現れる。トイレと水場もここにある。



石楠花荘から10分ほどで、日枝神社に到着。祠が石造りだ。石垣に囲まれている。どこまで石好きなのか。石ミステリーの五葉山に鎮座するだけある。この日枝神社、ちょうど東西の稜線と交差している地点に鎮座している。見晴らしが大変良く、五葉山の魅力を具現化する大自然の醍醐味を感じることができる。西方面には美しい黒岩の稜線が見える。






そして、ついに五葉山山頂。一等三角点もある。山頂のオブジェ。東西南北の四つの山に囲まれた形で、五葉山のオブジェがある。一つにはやはり巨石を御神体にしているわが町の霞露岳の名前も。この東西南北の四山に囲まれた五葉山は、阿弥陀如来・薬師如来・観世音菩薩・虚空蔵菩薩・愛染明王、5つの仏を祀っている五葉山を象徴しているオブジェなのかもしれない、などと思ったが、いや、全然関係ないと笑われるかもしれない。






盛岡の和食屋さん「こくう」の山仲間たちと出会った。楽しそうだった。ちなみにこくうさんは、「自然の恵みと実りに感謝して心を込めて拵える(こしらえる)」をテーマにお料理を提供しているのだという。ぜひ今度行ってみたいと思う。









ハイマツの花にガンコウラン、ヨウラクを楽しみながら帰った。ガスが出てきた。日の出岩や石楠花荘からの雲海が良い雰囲気である。残念ながら超絶景と謳われている三陸沖の景色は目の当たりにできなかったが、神秘的な雲に包まれた五葉山を体験できて、十分満足した。楽しい五葉山登山だった。




そして、最後に、クライマックスの日の出岩だ。私の好きな巨石群である。その神秘は、五葉山の山頂から頂綾をまっすぐ0.3キロメートルほど進むと現れる。いや、その前に、頂稜のまるで「神々が遊ぶ庭」の、森林限界の高山帯をさらに登った地点に、今度は屋久島を彷彿とさせる湿帯林の風景がふいに現れるのである。一瞬目が点になる。ラビリンス、の奇妙な感覚。







そして、苔に覆われた「屋久島」の風景が過ぎると、立ち枯れのダケカンバが林立し始めて、そのわずか手前の絶壁に直立する巨石、日の出岩が現れるのだ。間から裏側に回ってみると、目を見張る巨石群が現れる。なんと。うん、なんとも美しいその存在感。また巨石の斑点模様もいいではないか。
雲海に包まれた五葉山の頂稜上に、巨石群が浮かび上がっている。最高です。せっかくだから巨石の上に登って写真を撮った。(若干怖かった、一人では登らないほうがいいかも)










 ※巨石の神秘の写真はこちらをぜひどうぞ。 


最高です。五葉山。神々のパワーを感じられる山。
ぜひまた行きたい。



















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