真実を追求するという正義、「コリーニ事件」

 

 こんばんはー

 今週は三連休でしたので、精力的に更新しています、笑

 おうちmoviのお話をひとつ・・・とっても面白い物語でしたので、巣ごもり映画に困った時は是非是非オススメですよ〜


 「コリーニ事件」

 マルコ・クロイツパイントナー監督。エリアス・ムバレク、アレクサンドラ・マリア・ララ、 ハイナー・ラウターバッハ出演。


 【あらすじ】(アマゾンプライムビデオより抜粋)

 新米弁護士のカスパー・ライネンは、ある殺人事件の国選弁護人に任命された。30年以上、ドイツで模範的な市民として働いてきた67歳のイタリア人コリーニが、経済界の大物実業家を殺害したのだ。ライネンにとって被告側弁護士として初めて手掛ける大きな事件。だが被害者は少年時代からの恩人だった。事件について一切口を閉ざすコリーニ。ライネンは事件を深く調べていくうちに、想像を超える衝撃の真実に向き合うことになる。



 あらすじをアマゾンプライムビデオ様よりお借りしました。なぜかというと、「想像を超える衝撃の真実」という言葉に反応したからです。いやぁ、一般的にはそういう内容なんだろうなぁ、でも私からすると首をかしげる部分があり、まぁ、その話は後にするとして。

 犯人のコリーニさんが、計画的に、残虐に、大物実業家を殺害したわけですよ。そして、なぜ殺したのかは一切口をつぐむ。動機が一切わからない。新米弁護士がその謎を追う、というとても面白いストーリーなんですけどね。



 この新米弁護士さんがトルコ系の方? で、普通なら弁護士になれないような階層の方なんですよ。父親代わりになってくれた恩人の「被害者」(大物実業家です)がいたからなれたようなもので。実業家の孫の娘に、後半の盛り上がるところで、こう言われるんです。

 「あんたなんか(被害者がいなかったら)今頃ケバブの店員よ!」

 もう最高笑ってしまいました、すみません。想像したらぴったりだったもので。それほど弁護士になるにはラッキーボーイ過ぎて、被害者には数え切れないほどの恩がある、ということを表現したかったんでしょう。


 その新米弁護士が、恩人を殺した男の謎を追う。事件の動機となる真実を真摯に追い求めるわけです。別記事でも書かせていただきましたが、もう現代では、法では正しく人を裁けないんですよね。この映画ではドイツの司法の闇、とか特別なことように書かれていましたけど、国や歴史の稀有的な問題ではなく、もう法では正義を追求するのに役に立たない一面が大前提としてあるわけです。法では(悪と)戦えない。戦えるのは、真実を追求しようとする強い気持ちだけだ、と。


 ケバブ店の店員もどきの新米弁護士が、闇取引を持ちかけられようとも決して応じず、真実を追求しようと奔走する様は、だから見ていてとても潔く、心地良いものがありました。「正義に挑む」まさにキャッチコピーそのものです。


 また、ケバブ弁護士が真実を一つ見つけるごとに、口をつぐんでいた・・・というより心を閉ざしていた犯人が、弁護士に心を開いていく様は心に迫るものがありました。ジンとくる、というのか。タバコをね、勧められても拒否していたのに、ふと手を伸ばして、一本もらうわけですよ。そして、二人で煙を吐いて・・



 男同士の友情が成立した瞬間すよね。なんとも言えませんでした。たとえ恩人を殺した男の事件であっても、(たとえ自分にとって具合の悪い真実が見つかろうとも)真実を追求しようと試みた者へのご褒美。正義とは報われるんだなぁ、としみじみ思いました。


 あまり話すとネタバレになってしまい、こう言う映画の性質上とても面白くないでしょうから、これ以上言いませんが、犯人の動機だけちょっと話させてもらいます。


 キーワードは父親なんですよね。ケバブ弁護士は父親との反りが悪く、父親代わりになってくれた大物実業家をこそ慕っていた。しかし、実業家は犯人の父親を殺していたんです。戦争時に、兵隊を2名殺された報復に、民間人を10倍殺した。そのうちの一人が犯人の父親でした。だから隠されていた動機は父親の仇討ちでした。
 この事件を通して、ケバブ弁護士は、自分の父親への思いを改めていく。そして、慕っていた大物実業家への気持ちが虚構であったかもしれないということに気がつくわけです。大物実業家とその孫娘への気持ちが、欲や、見栄や、情熱に惑わされていただけであるかもしれないと。

 まぁ、その成長ストーリーはとても面白いです。ですが、ですが、冒頭にも書きましたがね、「兵隊を2名殺されて、民間人を20人処刑した」という、くだりが・・・法廷でもあまりの残虐さに判事をはじめ皆がシンとするという描かれ方をしているんですが・・


 戦争犯罪・・あまりピンときませんよね。だって、「パールハーバーで兵隊を殺されたから、民間人を東京大空襲と原爆2発で皆殺しにされた」民族ですよ?
 このくらいで残虐とか驚きの真実とか言われちゃうと、どうもピンとこないというか。私たちみんなアメリカ人仇討ちしてもいいってことになっちゃいますよねぇ。
 
 まぁ、衝撃の真実はそこじゃなくて司法の闇なんだろうな。法で裁けない真実と向き合い、追求したというくだりこそが重要なんだろうとは思います。確かにそこはとても面白かったので、是非とも映画を見て欲しいとは思いますが。犯人に同情はできませんね、正直言うと。

 
 というわけでまとめです!

 ドイツ司法の闇を暴いたコリーニ事件という映画を見たら、真実を追求する新米弁護士の潔さに、これぞ正義だと心を打たれた! 謎が徐々に明らかにされていく過程もとても面白かったので、法廷モノが好きな方にはオススメです。
 ただし、犯人の動機には同情できない一面がある。ものすごく残虐で悲惨な歴史の一面として描かれているが、日本人の過去から見たら、全然甘い!! これくらいで仇討ちするなら、日本人全員仇討ちしてもいいことになってしまうと勝手に思ってしまった。すみません。
 犯人役のフランコ・ネロがいい味出してます。個人的にはケバブ店の店員よ!と罵られたエリヤス・エンバレクが最高でした。

 
 ではでは、今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

 素敵な時間を過ごされますよう。
 願いを込めて。



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