インパール作戦(白骨街道)の正義と真実。「検察側の罪人」



 こんばんはー

 今日のmovieは・・・と、映画感想文ばかりのブログになってきましたよ。
 おうちで過ごそう週間もまだまだ続きそうですので、仕方ないですかね・・
 
 今日は「検察側の罪人」という映画を見ました。
 雫井脩介原作。木村拓哉と二宮和也、ジャニーズの二枚看板が主役です。この配役からして、あまり期待できず、またレビューが荒れてる! わかりづらい映画だとか、理解できるかどうかは見るものに委ねられている、といった対照的な感想を目にして、はて、自分はどう感じるものか、とつい興味を持ったのが見るきっかけとなりました。





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 で、感想です。

 いやー重かった。そして意外と面白い。キムタクもニノも、ジャニーズということをすっかり忘れてしまうくらい素晴らしい演技をしておりました。

 物語はですね・・これ永遠のテーマなのですよね。法で裁けない罪人を目の前にしたときに、あなたならどうしますか?? という・・・

 古くから日本では、時代劇の「必殺」シリーズに代表されるように、ヒーローが闇で葬っちゃうんです。あっさりと。いやいや、そうじゃないでしょう。と葛藤のドラマにしたのが、最近では「DEATH NOTE (デスノート)」とかですよね。

 わたしはこの究極の問い、・・・「どうしますか? 自分の手を汚して殺しますか? 諦めますか?」 という問いが大嫌い。だって、自分だったら、・・・とんでもない愉快犯や悪人を絶対許せませんもの。もしも、必殺みたいに簡単に始末できる力を持って生まれていたら、「自分の正義に固執して」、犯人を殺してしまうかもしれません。

 キムタク(検察官)いわく、「自分の正義に固執する検察官は、犯罪者に落ちる」。

 そうなんですよねー 必殺ではヒーローだけれど、ぶっちゃけ犯罪者に成り下がるってことですからね。ああ・・・難しいです。正義とは、相対的な代物ですから。

 さて、ここまでが前置き。この映画では、この前提に沿って、主人公が葛藤します。キムタク演じる検察官が選んだ道は、「法で裁けないなら、俺が真実をねじ伏せて無理やり法で裁かせてやる」という方法。
 ここから悲劇が生まれます。

 わかりづらい伏線がいろいろありますけどね、総じて、この「自分の正義に固執した」ベテラン検察官と、真実を追い求めることに熱意を賭けた新米検察官の対立がラストまで語られていきます。
 男二人に色を添える吉高さんもいい味出してますねー。ちょっと峰不二子っぽいんですよね、憎めない裏切り者というか、笑
 また、新米検察官(ニノ、途中から検察をやめちゃうけど)が真実に固執するのは、彼が検察に入りたての頃に、尊敬するキムタクにこう言われたからだという・・・健気な動機。

 「昔は法律という真剣の武器があった。今(の時代)は切れ味の悪い剣しかない。君たちはその剣で戦わないといけない・・・」(意訳です)「しかし、そんな中で、最も強い武器となるものは何か??」

 「それは真実を追い求めようとする強い熱意だ」

 そう、ニノが入りたての頃に、もうキムタクさんが答えを出しているんですよ。究極の問いに。法は武器にならない。武器になるのは真実だけ、それを追い求める気持ちだけだと。

 いやー皮肉なんですよね。そのキムタクの言葉を忠実に守ったポチくんから追及されるんですから。しかも、彼の誕生日は、キムタクが犯罪者に落ちてまで守った被害者(少女)と同じ誕生日。仇を果たした被害者(同じ誕生日のものは同じ性向を持つそうです)と同じものが自らの前に立ちはだかるのですから・・本当に皮肉な映画なんです。

 ネタバレになっちゃいました? ギリ大丈夫ですよね。よかったら、これいい映画なんでみなさん見ていただきたい。あなたの感想を聞きたいものです。

 それにしても、脇役の松重豊さんはうまいなぁー
 あとね、この究極の問いは殺人事件だけではなく、日本を揺るがす贈賄問題(キムタクの友達が罪を着せられている)にも絡んでいて、そこもね・・結局は現代の切れない法という剣は、戦う前に負けているんです。その書き方もお見事でした。
 で、この法で裁けない悪との戦いのことを、戦時中のね、インパール作戦の、長い長い不毛な道中のように語られている。キムタクが幻想を見るわけですよ。たまりませんね・・法で裁けない悪との戦いが、いつしか固執した正義(=悪)に成り下がっていく彼のね・・・

 あら、また喋っちゃった。もうネタバレですかね。ごめんなさい。


 それにしても、なんとも重くて、考えさせられる映画でした。
 よくこれを2時間の枠に収めたな、と感心しました。
 うん、総じていい映画です。機会があったらぜひ見てみてくださいませ。



 では今日も素敵な時間を過ごされていますよう・・・
 願いを込めて。




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