あなたならどうする? 視聴者が裁かれる物語。「真相をお話しします」感想。

 

 こんにちは、ららです。


 以前、三谷幸喜監督のドラマ、「誰がが見ている」を観ました。

 ユーモラスでテンポの良いコメディ作品で、とても楽しませていただきました(※)。

 ※感想はこちらに書いています。


 それとよく似た設定ながら、今回観た映画は一転してシリアス。

 子ども時代に盗撮、配信されていた若者たちが、大人になって復讐を企てる物語でした。  

 現代のネット社会そのものを鋭く問うような、重く考えさせられる作品です。





 「真相をお話しします」


 監督:豊島圭介

 出演:大森元貴、菊池風磨、岡山天音、中条あやみ、伊藤英明


 【あらすじ】

 人気ロックバンド「Mrs. GREEN APPLE」の大森元貴とアイドルグループ「timelesz」の菊池風磨が主演を務め、結城真一郎の同名ミステリー小説を映画化。 

 とあるビルの警備室に置かれたパソコンの前で、警備員の桐山とその友人である謎の男・鈴木が生配信の開始を待っている。やがて、多額の報酬をかけた暴露チャンネル「#真相をお話しします」がスタート。そこでは有名人の裏の顔や世間を騒がせた事件の真実など、さまざまなゴシップの真相が明かされ、スピーカー(話し手)に選ばれた者はネタの提供と引き換えに視聴者からの投げ銭を獲得できる。衝撃的な暴露と高額の投げ銭にチャンネル史上最大の盛りあがりを見せるなか、ついに警備室の男たちにスポットライトが当たる。(映画.comより)

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 ・無邪気な子ども時代を誰かの娯楽にされていたら?

 舞台は離島。

 少年たちの無垢な日常は、彼らの知らぬところでお金のために全世界に向けて配信されていました。

 まるで、和製「トゥルーマン・ショー」のような設定です。

 真実を知った彼らは深い心の傷を抱えながら成長し、不治の病をきっかけに復讐を決意します。

 しかし、彼らの怒りの矛先は、直接の加害者ではなく、配信を興味本位で楽しんで見ていた視聴者たちへと向かっていきます。

 視聴者たちは突然、

 自分が殺人者になるか、それとも自分の個人情報を晒すか、

 という恐ろしい二択を迫られます。

 当事者でないはずの視聴者が、殺人の共犯にさせられる。

 倫理の境界線がゆらぐ中で、何が正義なのかが問われていくのです。


 個人的には、視聴者よりも、お金のために配信していた親の存在の方が、より強く憎まれるべきだと思いました。

 もし自分だったらと考えると、やはり裏切った親に怒りが向きそうです。

 

 ・あなたならどうする? で終わる物語。

 物語のラストは、はっきりとした決着はつかず、

 観る者自身に、「あなたならどうする?」と問いかけられたまま終わります。

 個人情報を晒すか、それとも拒んで殺人に加担するか。

 どちらも選びたくない、でも逃げることはできない。

 観ていて、とても息苦しくなるような話でした。

 正直、そもそもこんな暴露番組は観ないと思うのですが、

 もし観ていたとしたら、と想像してみると、

 自分の情報を晒す方が倫理的には正解なのかもしれません。

 しかし、劇中で殺される「可哀想な女の子」も、実は事件の当事者。

 そこに理由があるならば・・・

 だからと言って人を殺していいわけが無い。

 答えは簡単には出ません。


 ネット社会の闇。無責任な視聴態度。暴露文化。そして倫理の境界。

 今まさにSNSに疲れた人が観ると、本当にこれで良いのか? と立ち止まれる作品だと思います。


 

 最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

 今日も穏やか一日となりますように。

 願いを込めて。





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