東野圭吾追悼・小説とは異なる「白夜行」というドラマ。

 

 こんにちは!

 そろそろ8月も終わりですが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。

 私は8月のお盆休みが起承転結で言うところの「転」、

 つまり一年でいちばん盛り上がる季節、に感じられて仕方ありません。

 今年のメインイベントも終わっちゃったなぁ、と少し寂しい気持ちがしています。


 さて、そんな私ですが、この夏にあるドラマを視聴しました。

 約20年前の作品、東野圭吾原作のTBSドラマ、「白夜行」です。




 東野圭吾さんの訃報を聞いて、ミステリ小説ファンならば

 誰でも少なからずショックや寂しさを感じていることと思います。

 私も若き日に「鳥人計画」を読んで以来の大ファンの一人です。

 あのような素晴らしい才能をお持ちだった方を失い、痛惜の念に堪えません。


 そんな思いもあり、Amazonプライムで一挙配信されていた「白夜行」を

 何週間かに分けて視聴しました。

 あの不朽の名作をどうやって映像化したのだろう、と興味を惹かれたことも手伝いました。


 そして、見終わった感想なのですが、これが・・・


 結論から言うと、

 「小説とは全く別物」のドラマでした!



 「白夜行」(2006)

 出演:綾瀬はるか、山田孝之、武田鉄矢、渡部篤郎、麻生祐未 

 【あらすじ】

 幼い頃に父を殺した少年と、母を手にかけた少女の14年にわたる切ない愛の軌跡を描くミステリードラマ。

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 このようなテレビドラマを放送することを、当時よく

 「東野圭吾さんが許可をされたものだなぁ」

 と感じてしまうくらい、別のお話でした。


 小説は主人公二人の心理描写が一切描かれませんが、

 ドラマでは二人の葛藤や心の声が事細かに描かれていて、

 まるで(小説の)ネタばらしのようになっています。

 そこがまず驚きでした。


 そしてもう一つ大きな違いは、雪穂と亮司の「純愛」の描き方です。

 小説では二人の心理描写が伏せられ、

 周りの人々の視点や告白から浮かび上がるため、

 二人の結びつき(絆)が、この世のものとは思えないほど

 美しくも哀しい「至高の純愛」に見えたものでした。


 ところがドラマでは、人間の醜い心理も激しい罪悪感までもが

 赤裸々に描き出されています。

 そこには、逃れられない「無間地獄」に陥った、

 あまりにも罪深い少年と少女の姿がありました。

 罪を重ねていく展開は、見ていて胸が苦しくなるほどでした。

 同じ物語なのに、表現によってここまで印象が変わるなんて不思議ですね・・


 このドラマを見てから、あらためて小説を思い返すと、

 東野圭吾さんの筆力の凄さと、あの斬新な手法に、

 あらためて感嘆の思いが込み上げてきます。

 

 ですが、ドラマにはドラマならではの素晴らしさもありました!

 特に印象的だったのは次の2点です。


 1、二人の思いが決定的にすれ違う場面。

 雪穂が亮司に再び過酷な依頼をしようとした時、亮司はそれを拒否します。

 「自分の友達は過去の不幸を笑いに変えて、今を逞しく生きている。

 雪穂にもそんなふうに生きてほしい」と願う亮司。

 それに対し、雪穂は自分の過酷な過去を思い起こさせながら、

 「あなたにだけは言われたくなかった!」と悲痛に訴えます。

 「私、過去を笑いにして生きなきゃいけないんだよね?」

 世界で唯一の理解者であって欲しかった。

 あなただけはわかってくれていると思っていた。

 そんな雪穂の叫びに、亮司は自分の間違いに気づき、涙を流します。

 時と共に二人の思いが微妙にずれていく様子が、

 なんとも言えず切なかったです。


 2、武田鉄也さんの気迫溢れる名演。

 二人の罪と人生を、血と骨を削るように追い続けてきた元刑事の笹垣(武田鉄矢さん)。

 彼は最後に亮司を追い詰め、彼が重ねてきたあまりにも重い罪の数々を

 一つ一つ読み上げていきます。

 そして、「幼い頃に捕まえてやれなくて悪かった」と涙ながらに詫びるのです。

 孤立無援だった雪穂と亮司にとって、

 笹垣は唯一自分たちと真正面から向き合ってくれた、

 まるで父親のような存在でもありました。

 彼の命をかけた懸命な訴えには、思わず涙なしでは見られませんでした。


 最後に、白夜行というタイトルの意味も深く心に落ちました

 暗い闇の中、お互いを「偽りの太陽」として照らし合いながら歩んできた雪穂と亮司。 

 ドラマではその「偽りの太陽」という言葉が印象的に描かれており、

 白夜の中を歩む人生の残酷さと過酷さがひしひしと伝わってきました。


 小説とはまた違ったベクトルで、

 ドラマはドラマとして非常に見応えのある重厚な名作でした。

 これからの秋の夜長に、じっくりと鑑賞してみてはいかがでしょうか。

 (主役の山田孝之さんと綾瀬はるかさんがとても若くて、それも驚きですよ!笑)



 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 今日も素晴らしい1日となりますように。

 願いを込めて。





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