百名山・鳥海山への道。前編。

 

 こんにちは!

 年に一度の夏の恒例行事、「猫をお風呂に入れる」というタスクが、

 涼しい気温のため夏休み中にできなかった著者です。

 皆さま、お元気でお過ごしでしょうか。


 さて、私はここ数年お盆恒例の登山に行ってきました。

 2021年に亡くなった猫のミーちゃんが戻ってくる時期ですので、

 ミーちゃんの遺骨ペンダントを身に付けて、一緒に登る気持ちで挑みました。


 今回チャレンジしたのは、東北の名峰「鳥海山」です。




 鳥海山は秋田県と山形県にまたがっているので、

 深夜バスの「毎日アルペン号」を初めて利用しました。

 東京から登山口まで直行してくれるという、ありがたいバスです。


 登山者の聖地、バス待ち合わせ場所の「竹橋」(毎日新聞社ビルのロビー)

 にも初めて行きました!

 私は乗り継ぎが苦手なので、「竹橋までに無事に行けるか?」

 でまずドキドキでした。

 小田急新宿から都営新宿線の乗り継ぎがわかりにくく、

 当日まで悩んでいたら、Google先生が直前になって

 「代々木上原から千代田線で大手町に出て、東西線に乗り換えて一駅」

 という簡単なルートを教えてくれて、大いに助かりました。

 

 1時間も前に毎日新聞社のロビーに着きました。

 これで安全かと思いきや、そこでも「ここで待っていていいのか?」

 がよくわからず、実際、集合場所の案内所が設営されるまで

 ずっとドキドキしていました。




 やっとバスに乗れた時は、もう登山が終わったかのような安堵感に満たされ、

 「いや、これから登るんですよ」と一人で笑いたくなるほど。

 よほど緊張していたようです。





 バスは4回のトイレ休憩を挟んで、無事鳥海山の「鉾立登山口」に到着。

 思ったよりぐっすりと眠れました。

 毎日アルペン号、快適です!


 が、バスを降りたものの、今度は登山道がわかりません。

 本当に右も左も分からない初心者だなぁと、自分でも呆れてしまいました。


 皆さんが出発するのを待って、後ろをついて行こうと様子を窺っていると、

 その時、なんと私のリュックに1匹のミツバチが留まったのです!

 これには驚かされました。


 以前、谷川岳のお花畑を舞うミツバチを見てからというもの、

 自然の摂理に感嘆し、「鳥海山でもミツバチを会えたらいいな」と思っていたのです。

 その矢先に訪問してくれるとは!

 これは幸先が良いぞと、すっかり気分を良くした私。



 ミツバチにさよならして、皆様の後を追うように、快調に鉾立口を登り始めました。


 天気は無料サイトがA判定。有料サイトがC判定。

 前日が台風だったことを思うと、登山口まで来られて

 登れること自体が奇跡のようです。

 山頂は雲に隠れていましたが、雨が降っていないだけで全然OK!





 そのうち雲が流れて、山頂が見えるようになってきました。

 ここ最近の登山は、山頂がガスガスで視界ゼロというパターンが多かったので、

 「鳥海山だけは夏山シーズンらしい爽快な天気になってくれればいいなぁ」

 という思いも胸をよぎりました。


 いやいや、それでも登れるだけで十分すごいんです!

 「樹林帯を抜けたら強風が吹いて進めなくなった、なんてことが起きませんように・・」

 と天に祈る気持ちで先を急ぎます。




 
 ちょうど私の前に、同じくらいの年恰好の女性がいらっしゃいました。

 マリンブルーのリュックを背負った彼女が、
 
 私より少し早いか同じくらいかとう、ちょどいい塩梅のペースなんです。

 彼女に引っ張られるように歩いて、どんどん進んで行きました。

 

 



 およそ30分で賽の河原に到着。

 1時間10分ほどで、7合目の御浜小屋に到着。

 ものすごく順調です。予定では御浜小屋に着くのは2時間後のはずでした。


 帰りは17時半までにバスに戻ればいいのです。「この分なら行ける・・・!」

 そう思った頃です。恐れていた強風が吹き始めたのは。

 




 鳥海湖を見下ろしつつ、爆風に晒されて戸惑うばかり。

 「なんで急にこんなに風が強くなってしまったのか・・

 これじゃ山頂なんてとても無理では?」

 しかし、そんな疑問を抱いている最中も、

 マリンブルーの彼女はまるで意に介さぬようにスタスタと先へ進んで行きます。

 私も急いで後に続きました。

 心の中で彼女を「師匠」と呼びながら。





 ところがです。

 私のペースは少しずつ遅れ始め、千蛇谷と外輪山の分岐あたりでついに、

 「師匠」を見失ってしまいました。

 そして、この頃から足が思うように動かなくなります。





 師匠と歩いていた頃に道を譲っていた方々に、ことごとく追い抜かれていきます。

 後から来た方々にも、こちらから道を譲らないと迷惑がかかるようになりました。

 いつしか、私は重い足取りに合わせて、

 自分にこんな掛け声をかけながら登っていました。


 「えっちら おっちら」 

 「えっちら おっちら」


 「のんびり行こう」と自分に言い聞かせて、焦らないようにしましたが、

 心の中は複雑でした。





 それからは、山頂があまりに遠く感じられて、苦しい登山でした。

 花々も撮る余裕がありません。

 そんな私を励ましてくれたのは、お花ではなく鳥海山の小さな生き物たちでした。


 鳥海山にはたくさんのミツバチやトンボ、チョウチョがいたのです!

 トンボはちょうど時期らしく、街で見かけるよりも小さめの群れが

 舞うように飛翔していました。

 

 彼らの愛らしい姿に背中を押されて、なんとか先へ進んで行きます。

 えっちら、おっちら。えっちら、おっちら。







 そして、やっと山頂直下の御室小屋と鳥海山大物忌神社に到着しました。

 ここから山頂は15分ほど。やっと手が届くところまで来ました。

 ただし、持ち堪えていた風が、再び爆風となって襲いかかってきます。

 山頂は真っ白なガスに包まれ、どこが頂上かも見渡せません。


 私はがっかりしました。

 ここまで来られたことは嬉しい。けれど、できれば晴れていて欲しかった・・。


 私が到着したその時、マリンブルーの師匠が休憩を終えて、

 新山にアタックしに行くところでした。


 (しばらく動けず20分ほど休憩していたので、今になって思い返すと、

 あの時、すれ違った彼女は、もうすでにアタックを終えて、

 下山するところだったのかもしれません)


 私は爆風の中、ゴアテックスのレインウエアを風除けに着込んで、

 ついに鳥海山の最高峰・新山へのアタックを開始しました。


 驚かされたのは、そこには、「山頂へ続く道」がなく、

 まるで消波ブロック(テトラポット)のように

 巨大な岩が乱立するガレ場だったのです。

 岩に所々つけられた白いペイントが頼みの綱。

 自然にできたとは思えない荒々しい岩の巨塔を前に、

 私は殺伐とした心持ちで、必死で登り始めたのでした。



 (後編へ続く)



 最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

 後編に続きます。

 今日も心穏やかな素晴らしい一日となりますように。

 願いを込めて。






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