世界のクロサワと昭和という時代。「天国と地獄」

 

 こんにちはー!

 日本はどうしてこんなに暑くなってしまったんだろう・・

 地球がおかしくなっているのでは? と感じている今日この頃です。

 皆様、熱中症などにならず、無事にお元気でお過ごしでしょうか。


 さて、我が家の恒例「週に一度のアマプラ鑑賞会」。

 今回は、黒澤明監督の名作、「天国と地獄」を観ました。


 最近の私は、小津安二郎監督や、溝口健二監督のような

 古い日本映画の情緒的な世界観を好んでよく観ています。

 そのため、劇画チックで力強い黒澤監督作品は少し敬遠ぎみで、

 今回は久しぶりの鑑賞となりました。


 ・・そして案の定、途中でウトウトしてしまったのですが、笑

 それでもやっぱり「世界のクロサワ」は一味違いました!



 


 

 「天国と地獄」(1963)

 

 監督:黒澤明

 出演:三船敏郎、仲代達矢、香川京子、山崎努、


 【あらすじ】

 エド・マクベインの原作を得て、黒澤明監督が映画化した全編息づまるサスペンス。

 製靴会社の専務権藤の息子と間違えられて、運転手の息子が誘拐された。要求された身代金は三千万円。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して三千万円を犯人に受け渡し、無事子供を救出する。非凡な知能犯の真の目的とは。

 鉄橋を利用した現金受け渡しのシーンは秀逸で、実際にこれを模倣した誘拐事件が発生した。また白黒作品であるにもかかわらず、最も重要なシーンで一個所のみ着色を施すなど新たな演出も印象深い。(映画.comより)

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 観終わって感じたのは、非常に実験的で斬新な映画だということです。

 公開当時の映画館で観た人たちの衝撃は、

 きっと計り知れないものがあったのだろうなと思います。


 それなのに、なぜ途中寝てしまったのか・・

 物語の追い方や表現が、小津監督や溝口監督のような情緒的なものとは違って、

 非常に論理的でサスペンスとしての「理屈」が

 しっかりと組み上げられているからなのです。

 警察の緻密な操作手順を追ううちに、

 なんだか「お勉強」をしているような気分になってしまったのでした。

 

 ですが、昭和の日本の素晴らしさが

 これでもかと詰まった描写の数々はまさに圧巻の一言!

 特に、印象的だったのは、職人気質で一徹な経営者である権藤専務が、

 売上重視の経営者会議で叩かれるシーンです。

 「うちの靴は丈夫すぎる」

 そう、昭和の製品はみんな品質が良くて、本当に素晴らしかったのです!!

 「品質が良すぎて壊れないから、買い替えが進まず売り上げが伸びない」

 と排除されそうになる権藤(三船敏郎)。

 このエピソードは、どこか今の日本の成れの果てを象徴しているようだ

 と感じずにはいられませんでした。


 「本当に良いものを作る」から、「売れれば何でもいい」へと

 シフトしてしまったことで、日本は大切なものを失ってしまったのではないか。

 そんなことまで考えてしまいます。

 

 また、作中に出てくる建築の美しさはもちろん、

 意外だったのは「車の美しさ」でした。

 車のデザインなんて絶対に現代の方が洗練されていると思い込んでいたのですが、

 当時の車は小ぶりでありながら、まるでクラシックなイギリス車のような

 お洒落で、頑丈そうな、佇まいをしているのです。

 

 品質だけでなく、デザインに対するこだわりまでも

 「安かろう、悪かろう」の波に呑まれてしまったのでしょうか。


 誇り高きモノづくり精神を貫く主人公・権藤は、

 一時は財産を失うものの、人間としての気高さを保った

 「天国の住人」として描かれます。

 対して、大金を手に入れたはずの知能犯は、

 妬みと孤独の中で「地獄」へと真っ逆さまに堕ちていく・・・


 その思想の対比の描き方が本当に見事でした。


 さらにモノクロの光と影を生かした、ダイナミックな映像美。

 熱気と狂気が渦巻く地獄絵図のような街の喧騒(犯人視点の描写)。

 クライマックスに向けて、観る者の心にぐんぐんと迫ってきます。

 ラストの権藤と犯人が面会室で対峙するシーンも、

 鳥肌が立つほどの圧巻の演技合戦でした。


 結局、ウトウト寝てしまった部分も巻き戻して

 最初から最後までしっかり観直しました!

 「やっぱり世界のクロサワは凄いんだ」と納得させられた一作です。


 古き良き時代の昭和の日本の熱量や美徳を再確認すると同時に、

 今の日本のあり方に少し物哀しさも覚えるような、

 深い余韻の残る鑑賞体験となりました。



 最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

 今日も心穏やかな素晴らしい一日となりますように。

 願いを込めて。



 

 

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