小津安二郎監督作品「晩春」に感嘆する。
こんにちは!
大雨に地震と不安定な日々が続きますが、みなさんお元気でお過ごしでしょうか。
週に一度のアマプラ鑑賞会。
今日は、小津安二郎監督の「晩春」と言う映画を観ました。
日本が誇る映画界の巨匠、小津監督。
実は、最初はその良さがあまりよくわからなかった私ですが、
最近は小津監督の世界観にすっかりハマってしまっています。
「晩春」(1949)
監督:小津安二郎
出演:笠智衆、原節子、月丘夢路、杉村春子
【あらすじ】
小津安二郎監督が広津和郎の小説「父と娘」を原作に父娘の絆を描いた名作ホームドラマ。大学教授の周吉は早くに妻に先立たれ、娘の紀子と2人きりで鎌倉に住んでいる。いまだに独身の紀子を心配する周吉だったが、周吉の妹まさが縁談を勧めても紀子は頑なに受け入れようとしない。周吉はそんな紀子に、自分も再婚を考えていると告げる。小津監督が娘の結婚や親の孤独を題材にした初めての作品で、その後の小津作品の作風を決定づけた。原節子が紀子役を演じる「紀子3部作」の第1作にして、原が初めて出演した小津作品でもある。小津監督が野田高梧と共同で脚色も手がけた。(映画.comより)
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今作は、父の娘の深い情愛を描いた作品です。
観ていて、娘が父親を少し「恋人」のように想いすぎているようにも感じられ、
「小津安二郎監督は、ひょっとしたらものすごいファザコン(父親愛の強い方)
だったのではないか・・・」
と思わず想像してしまいました。
前に観た「父ありき」でも、父を慕う息子の気持ちが痛いほど描かれていましたし、
小津作品には父を想うテーマが多く、
しかもその父親役は必ずと言っていいほど笠智衆さんです。
小津監督の中で、笠智衆さんの佇む父親像は、
きっと絶対的なものだったのだろうと感じます。
物語自体は、お互いを想うかなり強い念を描いているのですが、
その割に、作風はいつも通り淡々としていて、
笠智衆さんも相変わらずあっけらかんと演じています。
そこに深い深い心情があることを危うく見逃してしまいそうになるほどです。
しかし、それこそが、小津監督の魅力なのだろうとあらためて気付かされました。
感情的に激しくぶつかり合うわけでもなく、
ドロドロとした情念に恐れを感じるわけでもない。
ただただ、しみじみとした温かさを、じわじわと心に感じることができるのです。
この作品でも、娘を思う父親が
(嘘などついたことのない、正直者で真面目な方です)
一世一代の嘘をつきます。
娘が安心してお嫁に行けるように、あえて嘘をついて、
娘を優しく突き放すのです。
娘を思う父の力強い思いが込められているのに、
全体の雰囲気はただのホームドラマのような、ほのぼのとした温かさ。
そして、娘を送り脱した後の父親の「孤独」さえも、
愛情の裏返しとして描き切ります。
視聴後の爽快感や、心に沁みる余韻は筆舌に筆舌に尽くしがたく、
今日も小津監督のマジックに脱帽してしました。
若い頃は、日本映画というと黒澤明監督のようなドラマチックで
ダイナミックななものに惹かれましたが、
年齢を重ねた今、私は小津安二郎監督のしみじみとした情愛の世界に強く惹かれます。
ローアングルを多用した美しいカメラワーク、
俳優さんたちの無駄のない見事な所作。
「日本は、こんなにも美しい国だったのか」と、
観るたびに新鮮な驚きがあります。
当時の美しい日本の姿を、
こうしてたくさんの映画として遺しておいてくださったことに、
本当に感謝しかありません。
ひとつの「優れた記録映画」としても、深く心に響きました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
今日も心穏やかな素晴らしい一日となりますように。
願いを込めて。


