谷崎文学に衝撃を受けた! 溝口監督の「お遊さま」。
こんにちは!
週に一度のアマプラ鑑賞会。
今回は、溝口健二監督の「お遊さま」という映画を観ました。
これが・・・ 結構な衝撃作でした!
ある男(慎之助)がお見合いするのですが、
相手の妹(お静)ではなくて、付き添いの姉(お遊さま)に
一目惚れしてしまいます。
お遊さまも慎之助が気に入って、慎之助にお静を、お静に慎之助を、
二人の結婚を強く勧めます。
すると、お静はお遊さまの心を察して、
姉のために、好いた慎之助と偽装結婚をすることに!
えっ、そんなことってあるの?
「お遊さま」
監督:溝口健二
出演:田中絹代(お遊さま)、堀雄二(慎之助)、乙羽信子(お静)
【あらすじ】
谷崎潤一郎の名作小説、「芦刈」から、「お艶殺し」「春怨」の依田義賢が脚色し、「雪夫人絵図(1950)」に次ぐ溝口健二の監督である。
お遊さまは、小曽部の家から金満家粥川へ嫁入って間もなく夫に別れたが、一人子一の養育のかたわら、贅沢と遊芸三昧に憂さを晴らしているひとであった。一番仲のよい妹お静が芹橋慎之助と見合いをするのに付き添って行くが、慎之助はお静よりもこのお遊さまに深く心をひかれる。 1951年製作/95分/日本 (映画.comより)
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溝口監督というと長回しのワンカットで有名ですが、
どちらかというと、今回の映画では
あまり溝口らしさを感じられなかったように思います。
ただし、光の美しさは絶妙でした!
しかし、私はそれよりも谷崎潤一郎の世界観に衝撃を受けてしまいました。
溝口監督がそれを狙っていたならば、十分に成功しているのではないかと感じます。
谷崎文学といえば、「痴人の愛」「春琴抄」などの、エロティシズムや
男女の愛の心理的美学でよく知られていますが、
この作品も、かなり倒錯した世界が描かれていました。
姉=お遊さまは、まるでそれが当然であるかのように、
人の良い男と優しい妹の愛を手玉に取ります。
(そのように描かれています)
妹=お静は、自己を犠牲にしてまで、姉に献身して、
愛する男を姉に差し出そうとします。
どちらの情念も、実に空恐ろしかった。
そして、男=慎之助はそんな二人の愛に応えようとします。
優柔不断のようで、その実、かなりの情熱的な人物像として描かれています。
この三人の愛の倒錯劇がショッキング過ぎて、仕方がありませんでした。
こんなことが起こるのかと驚かされ、
いや、起こりかねない、自然と話がそのように進んでいくことにまた驚かされて、
谷崎文学の世界観の、その異常性に改めて衝撃を受けました。
また、ストイックな愛情を描いているようにも見せかけて、
極めて、美しく官能的な世界観です。
底知れない、谷崎文学・・・
どうなってしまうのかとハラハラしながら観進めましたが、
姉のお遊さまは一人息子を失い、再婚先の旦那様から見放され、
それ相応の罰を受けます。
慎之助も落ちぶれて長屋住まいとなり、またお静を失ってしまいます。
それ見たことか、と思うものの、その退廃的なところさえも美しく、
完全に、谷崎文学にやられた、という感覚に陥りました。
この「お遊さま」。
レビューを見ると、あまり人気のない映画のようですが、
確かに、溝口作品として観たら二流なのかもしれません。
しかし、谷崎文学作品として観ると、かなりのインパクトだったと思います。
原作の「芦刈」をぜひ読んでみたくなりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
今日も心穏やかな素晴らしい週末となりますように。
願いを込めて。


