友情と嫉妬と自分探し。湊かなえ「リバース」読書感想。
こんにちは!
小泉農水大臣が誕生しました。そして、備蓄米を2000円で売り出すという発言が話題になっています。
巷では更迭された江藤大臣から小泉大臣に変わった途端にコメが安くなったということで、まるで救世主のように扱われていますが、とんでもない。
元来、備蓄米は古古米で、税金で買われたものなので、2000円が安いかと言われると微妙なところがあるようです。また、世襲から世襲に変わっても所詮同じ、との厳しい意見もありました。
しかし農協を排除するような流通の模索は、一定の評価に値するものかもしれませんが・・・
備蓄米2000円のニュースから、大泉大臣の評価を逆転視点で語る声が目立ちました。そんな「逆転」をテーマにした小説を今回ご紹介します。
伏線が全て最後に全て回収されるという、湊かなえの真骨頂の物語でした。
(コメの未来もこんなふうに、全ての伏線が回収されて大団円になると良いのですが・・・)
リバース(湊かなえ)
【あらすじ】
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・感想は・・
文句なしに面白い!やっぱり湊かなえさんは最高ですね。序盤は、主人公が誰を殺したのか? そして、途中からは、友人の広沢が誰に、どんなふうに殺されたのか? という謎が気になって、ページを捲る手が止まりません。
・印象的なところは・・
友人広沢由樹(よしき)のキャラクターがいいです。無色透明、相手の心を映し出すようなピュアでありながら、強くて優しい人間の理想像として書かれています。
物語は広沢由樹をより深く知る旅のような過程で描かれているため、広沢を理解した瞬間、彼の好感度がマックスになって彼を自分のように好いた瞬間に、読者は谷底へ叩き落とされる、という残酷な結末となっています。
この手法がなんとも憎らしくもあり、感心すべき構成となっています。
これは、湊かなえが、編集部の要望により、あるお題に答える形で作られた物語のためゆえだそうですが、(どんなお題かはネタバレになるので言えません)本当によくできている。作者の才能に感嘆の思いです。
・そして男同士の友情に潜む葛藤・・
主人公深瀬が陰キャなんですよね。親友(と思い込んでいたが本当は・・?)の広沢もそうだと思っていたらだんだんと違う一面が明かされる。その辺りも面白かったですね。
陰キャと陽キャのカースト対決のような感じがね。
女性作家が描いた男同士の友情の物語ということなんですが、男同士にもこのようなまるで痴情のもつれ的な、優越意識だったり、嫉妬心だったり、ナルシズム(解説より)の投影だったり・・が存在するのかと思うと、深い感慨がありました。
非現実的とは思えずに、自然に、男同士あるあると思えてしまう説得力ある世界観が良かったです。
また、このような自分探しのような友人探しは誰にでもあるように思います。作者は若さゆえ、というような書き方をしていますが、自分に相応しいペア・・友人を探すことは、恋人を見つける以上に、案外、難しいものなのかもしれませんね・・。
・そして、最後に小泉大臣
ここからは余談として、またしても小泉大臣について少しだけ考えてみました。
小泉大臣は陽キャですかね。陰キャでしょうか。生まれながらのスターなので、聞くまでもないかと思いますが、彼がこのタイミングで政界の表舞台に躍り出たことで、政界の力関係にも大きく影響が出たことと思います。
次の総理、狙っちゃうんでしょうかね、やっぱり。私はお父さんの小泉大臣の時に、日本がボロボロになったところを見ているので、やはり怖さを感じます。
コメ政策で農協と刺し違えて、偶然的に消えていただくというシナリオもありかと思いますが、いかがでしょうか。
それこそリバースでしょうかね。そんな逆説的な話は難しいと思われますが。
今日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございます。
素敵な時間を過ごされますように。
心を込めて。