決裂する世界、変わる生き方。 〜トランプとゼレンスキー、ミシンとコンビニ人間〜

 

 こんにちは。

 トランプ氏とゼレンスキー氏の会談は、どうやら決裂してしまったようです。YouTubeで実際に見ましたが、二人の会話はまるで噛み合っていないようでした。交渉の材料を持たないまま、アメリカへの感謝も示さないゼレンスキー氏に、トランプ氏は苛立ち、停戦を強く訴えていました。一方のゼレンスキー氏は、ロシアの脅威について語り、安全保障の確約を求めていました。

 側から見ていると、二人のやりとりはまるで漫才のように見えました。


 さて、今日も読書のお話です。「ミシンと金魚」と少し前に読んだ「コンビニ人間」。

 


 ミシンと金魚 永井みみ


 大正昭和小説とでもいうのでしょうか。

 老女のカケイさんが主人公です。病院の描写から始まり、オムツや排泄の場面が続くので、最初は、これはちょっと・・、と思いながら読んでいましたが、娘の道子さんのエピソードが出てきてからは、圧巻でした。物語の世界観に引き摺り込まれてしまいました。

 私の祖母の時代を思い出して仕方がありません。カケイさんが祖母のようにも思えてしまいます。見世物小屋やサーカスのようなどこか怪しげで、道徳観がゆるい時代のお話。知らないはずなのに懐かしくて、そこはかとない人間らしさを感じてしまいます。

 また、ミシンは女の自立の象徴、金魚は道子さんとの記憶=女の幸せのように感じました。カケイさんはミシンに夢中になって、道子さんを亡くしてしまうけれど、老女になって、人生の最後に、自分の人生は総じて幸せだった、と回想します。道子さんに会えたことが幸せだったと感じます。カケイさんにとっての幸せは、やはり女の幸せだったのかもしれません。

 人生の意味が、晩年になっても塗り変えられることがある。

 最後に、新しく生まれ変わったカケイさんが、力強くて、美しかったです。


 

 次に、毒々しく登場した令和小説・・・




 ミシンと金魚があった時代から、ミシンしかない女の物語へ。コンビニ人間です。こちらが衝撃的でした。


 コンビニ人間 村田沙耶香


 言いたいことは次のセリフに全て要約されています。主人公の一人、独身婚活男の白羽さんの言葉です。

 「だから現代は機能不完全社会なんですよ。生き方の多様性だなんだと綺麗ごとをほざいているわりに、結局縄文時代から何も変わっていない。少子化が進んで、どんどん縄文に回帰している。生きづらい、どころではない。ムラにとっての役立たずは、生きていることを糾弾されるような世界になってきてるんですよ」

 主人公の古倉さんと白羽さんは、真綿で首を絞められるように、じわじわと社会の隅へと追いやられていきます。

 どうにかしようと二人で協力し合うことにしますが、結局古倉さんは、コンビニでしか働けないということに気がついてしまいます。

 「コンビニ人間」という動物と化して、社会の歯車として生きていくことを選択する古倉さん。「私はそのために生まれてきた」そう言い切る古倉さんの姿は、切なくもあり、どこか救いにも感じられました。

 

 大正昭和の泥臭い人間らしさと、令和の硝子細工のような繊細さ、どちらの世界も、それぞれの魅力がありました。

 どちらもおすすめの作品です。読書の時間を楽しみたいときは、ぜひ手に取ってみてください。



 最後に、トランプ氏とゼレンスキー氏の話に戻ります。考え方はまるで正反対ですが、第三次世界大戦を回避したいという思いは、きっと同じはず。平和のために、歩み寄って欲しいと願います。


 では、今日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございます。

 素敵な時間を過ごされますよう。

 願いを込めて。





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