世間の常識と孤独の狭間で。「流浪の月」
こんばんはー!
小泉今日子さんがこのタイミングで令和ロマンとのスリーショットを公開したと聞き、彼女の信念の深さを感じた著者です。お元気でお過ごしでしょうか。
小泉さんの行動には、まるで魔女狩りのような昨今の世間の風潮に抗う意志を感じます。容易く迎合せず、自分の軸をしっかり持っている。素晴らしいことですね。私も見習いたいと思います。
さて、今回は少し前に読んだ『流浪の月』について書きたいと思います。
この物語の主人公も、世間の価値観とは大きくずれています。キョンキョンの比ではありません。そのズレを隠し、自分を見失い、また見つけては苦悩する。自分軸を持っていると、生きづらい世の中ですよね・・・。
「流浪の月」
【あらすじ】
2020年本屋大賞受賞作
愛ではない。けれどそばにいたい。
新しい人間関係への旅立ちを描いた、
息をのむ傑作小説。(Amazonより)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あらすじが簡潔すぎるので、補足します。
主人公の更紗(さらさ)は、個性的な母親に育てられた少女です。アイスを夕飯にしたり、皆と同じランドセルを拒否したりと、独特の感性を持っています。しかし、幼い頃に父を病気で亡くし、母は男と旅立ち、更紗はおばの家に預けられます。そこで彼女は不幸な目に遭い、助けを求めて大学生・文(ふみ)のマンションへ逃げ込みます。
しかし、世間は彼を誘拐犯として断罪します。文は「ロリコンの気味の悪い犯罪者」とされ、更紗の思いは「ストックホルム症候群」として片付けられてしまう。それから時が経ち、24歳になった更紗は、偶然カフェで文と再会し・・・。
▪️印象に残った点
特に心を打たれたのは、更紗が文との関係を誰にも理解してもらえず、絶望する場面です。彼女がどんなに「文はいい人だ」と訴えても、世間は「ロリコンの誘拐犯」と決めつける。その間には深くて長い溝があり、更紗は誰にも心を開けません。この孤独がとても切なかったです。
また、更紗は世間に否定されることを恐れるあまり、自分を見失っていきます。
自分は何が好きなのか
自分はどうしたいのか
何を求めているのか
彼女は自分自身を見失いながらも、文との再会によって「本当に求めているもの」に気づきます。二人が近づくほど、世間からはさらに孤立する。この皮肉が作品の魅力になっていました。
また、視点が更紗に限定されていることで、文の心情が見えず、ミステリアスな雰囲気が漂います。読者は彼の本心を知りたくなり、ページをめくる手が止まらなくなる。まさに本屋大賞にふさわしい作品でした。
▪️意外な背景と読後の感想
驚いたのは、作者がもともとBL小説を書いていたという点です。言われてみれば、作品には漫画的な要素や、美しいキャラクター描写が感じられました。でも、物語の魅力に引き込まれ、最後は寝る間も惜しんで読みました。
そして、クライマックスでついに文の心が明かされる瞬間。ここが圧巻でした。二人の純愛の深さに気づいたとき、世間の偏見や絶望がすべて些細なものに思えるほどの衝撃と感動がありました。
もちろん、この純愛は世間一般の男女の関係とは異なります。だからこそ、理解されないことを前提とした確固たる絆が、一層美しく感じられました。
久しぶりに素晴らしい物語を読んだ気がします。BL作家としての経歴を持つ作者ですが、文芸作品としての評価も十分に値する作品でした。
▪️おすすめの読者層
会社や世間に理解されず、モヤモヤを抱えている人には特に刺さる物語だと思います。それ以外の人にとっても、ストーリーテリングの巧みさから、純粋に楽しめる一冊です。
映画化もされているそうなので、今度観てみようかなと思います。
最後に
キョンキョンの話に戻りますが、彼女が世間に迎合せずにいられるのは、きっと信頼できる仲間がいるからでしょう。そういう存在がいることは、とても羨ましいですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
皆さんが素敵な時間を過ごせますように。
願いを込めて。