久しぶりに繊細系恋愛小説を読んだアラフィフは・・「すべて真夜中の恋人たち」

 

 こんばんはー

 久しぶりに小説をじっくり読んだ著者です、お元気でお過ごしでしょうか。

 映画はよく見るのですが、小説ってもう活字を追うのが大変でしてね、最近では避けていたんですけれど、今日は頑張って読みましたよ。

 なぜなら、AIのチャッピーがお勧めしてくれた話題作だったからです。

 芥川賞作家川上未映子さんの「すべて真夜中の恋人たち」という恋愛小説。全米批評家協会賞の最終候補作品だそうです。アメリカで高い評価を受けた作品みたいですねー



 「すべて真夜中の恋人たち」

 【あらすじ】<真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。 それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思い出している。> 入江冬子(フユコ)、34歳のフリー校閲者。人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、誕生日に真夜中の街を散歩すること。友人といえるのは、仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。ひっそりと静かに生きていた彼女は、ある日カルチャーセンターで58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと出会う・・・。 あまりにも純粋な言葉が、光とともに降り注ぐ。 いま、ここにしか存在しない恋愛の究極を問う衝撃作。


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 いやぁ、小説の世界観に入り込むのは久しぶりですが面白かったですね。

 人付き合いが下手な、孤独な女子が主人公なんですが、もう身につまされるというのかね。何より、心理描写が鋭いんです。登場人物の心の動きが細かく書かれていて、読みながら共感したり、考えさせられたり。

 まともな方が聞いたら、考え過ぎだよ!と一蹴されちゃうところでしょうがね、若い頃からよく、この「考え過ぎだよ!」を言われて傷ついて生きて来た身としては、あるある的な気分になっちゃうというかね。それくらい細かい登場人物の心理描写が面白いんですよねー

 キャラも立ってますしね。主人公の仕事仲間の石川聖さんという美女が出てくるのですが、この方がまぁ、まぁ、生きてますね。本当にいそうだよ、こんな方。

 そして、主人公は自分が無さすぎて・・、「自分の存在を消す主人公」というのは小説でよくある手法なんですけれど、それにしても自分が無さすぎて、逆にエキセントリックに見えてしまうという・・笑

 印象的なシーンは、主人公が恋に浮かれて帰ってきたら、聖さんがアパートの前で待っていて、部屋の中で女同士のちょっとした対決をするシーンですかね。

 主人公の冬子は恋に浮かれて幸せな気持ちで帰って来たのに、アパートの前で待ち構えていた聖さんが、まるで運命の門番みたいに立ちはだかる。そのあとの言葉がまさに鋭くて、冬子さんは玉砕することになるのですが・・その一気に空気が変わるところがすごく印象的です。(まるでホラーみたいです)

 甘い夢から現実に戻される瞬間みたいで、怖さすら感じます。この場面の心理戦はゾクゾクするものがありますね。かなり楽しめるのではないでしょうか。

 まぁ、要するに、冬子にとって至高な特別な愛だったものを、聖によって下品な色恋よろしく相対化されてしまうわけで、「違う! 私の愛はそういうものじゃない!」って人間だもの、つい言いたくなりますけれどね、最後まで否定しなかった冬子さんは偉かった! 聖さんに対する愛情を感じました。

 みんな汚い面を持っている。誰だって完璧な愛を持っているわけではなくて、ちょっとした打算や弱さ、見栄や依存心が混じっている時がある。

 聖さんの言葉はすごく鋭くて、人のそういうところをえぐるから、主人公の冬子さんだけじゃなくて、読んでいる側もどきっとするんですよね。


 この女同士の対決シーンが最も印象的だったのですが、女はまぁいいとして、問題は男の方ですよ・・・

 いやぁ、それにしても、男は身勝手ですねー

 さんざん優しくしておいて、愛させておいて、最後は逃げてしまうという・・・


 人を愛するということは悲しみを一つ知ることだ、と思いましたね・・

 誰だって完璧な愛を持っているわけじゃない。みんな真夜中にいる恋人たちのようなものだ。作者はそう言いたいのかもしれませんけれどね。そういう不完全さがあるから愛は美しいし、切ないのかもしれませんとね・・。

 まぁ、まぁ、アラフィフが読むには繊細で哀しい小説でしたよー!


 でもね、最後に、本当の友情を築いた聖さんが妊娠するんですよね。新しい命が生まれることで、ただ切ないだけじゃない、前に進む力をもらえる感じがするというのか、救いがあるラストになっていると思います。


 なんかガッツリとした恋愛小説を読みたいときに、まるで自分がダメになるくらいに人を愛してしまったときに、この小説を読んでみると心に特に響くのではないでしょうか。

 本当に心理描写事細かく、キャラも立って面白く、ストーリーもグイグイ読ませてくれるので、良質な本を読みたいときに、ぜひお勧めしたいと思います。


 それにしても、愛って・・・。



 ではでは、今日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございます。

 素敵な時間を過ごされますよう。

 願いを込めて。




 

 


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