闇の中でほんとうのさいわいを探す旅、「銀河鉄道の夜」。
こんばんは。KATーTUNが2025年3月31日をもって解散すると聞いて、まだグループが存在していたのか、と驚いた著者です。お元気でお過ごしでしょうか。
アレですよね、あれだけメンバーが脱退したり、様々な問題があったのに、良くぞ今まで続きましたよね。むしろ解散するのが遅すぎたのではないか、と。本来の目的を見失っていたのではないか、というような気がしないでもありませんが・・・。
さて、今日は宮沢賢治の銀河鉄道の夜を再読、いや、再再読・・ 再々再読? くらいですが、久しぶりに読んだというお話をしたいと思います。
友情の物語なんですよね。男二人で「ほんとうのさいわいを探しにいこう」という・・。そして、「どこまでもどこまでも(僕たち)一緒に行こう」と誓い合うという・・
「銀河鉄道の夜」
【あらすじ】
どこまでもどこまでも一緒に行こう。 貧しい少年ジョバンニが銀河鉄道で美しく哀しい夜空の旅をする表題作(以下略 Amazonより)
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なんか久しぶりに読みたくなって読みました。今読んだら、以前とは違う発見があるのではないか、と思いましたし、もう物語の詳細を忘れていたということも手伝いました。
銀河鉄道の夜、皆様一度は読んだことがあると思いますが、物語覚えてます?
主人公の貧しい少年ジョバンニと、クラスの人気者のカムパネルラが銀河鉄道に乗って共に旅をする物語です。とても幻想的な美しい夜の銀河の景色の中を、二人はどこまでもどこまでも一緒に行こうと誓い合いますが・・
これね、天国までの旅の物語なんですよね、そこはもちろん覚えていましたが、不思議だったのは、カムパネルラが天国に行けなかったというのを忘れていましたね・・今回読んで驚いてしまいました。
カムパネルラは同級生のザネリが溺れそうになるのを助けて、ザネリの身代わりに死んでしまうわけです。そして銀河鉄道に乗ることになった。良いことをしたわけですよ、なのに、天国に行けなかった・・。
一方、ジョバンニはザネリを中心としたグループ(そこにかつて親友だったカムパネルラもいた)にイジメられていた。首謀者はザネリです。そのことを苦しんでいて、そして、銀河鉄道に導かれ、旅の切符を手に入れてしまう。
そこでカムパネルラとジョバンニの二人の運命が交錯するわけです。
歳をとって新たな発見があるとすれば、人の犠牲になれば報われるわけではないな、としみじみと思い知ったというのか。なんとも厳しい現実を思い知りましたね・・。
自らの命を犠牲にしたというのに、カムパネルラは美しい天上のサザンクロスの停留所で、降りることができなかった。サザンクロスというのは、ハレルヤ、ハレルヤ、というみんなの声が響く十字架のある場所です。彼の切符はそこまでではなかった。むしろ「そらの孔」というブラックホールのような場所のすぐ近くにある美しい野原(と書かれてあるけれど、ジョバンニには見ることができないボヤッとしたところ)を、ここが本当の天国だと言って消えていく・・なんとまぁ、残酷なことでしょうか。
一方のジョバンニはカムパネルラと一緒にいるのが幸せで、幸せで、「ずっと一緒にいようね」と何度も言っているのに、カムパネルラに消えられてしまう。こちらも哀しい。
あれだけ、誓い合ったというのに、二人の道は別のものとなってしまいます。
「ほんとうのさいわい」を共に探しに行こうと言っていたのに。
最後に、カムパネルラがぼんやりと「(ほんとうのさいわいが何か)僕わからない」というところが印象的でした。
物語的には哀しい結末ですが、最後にジョバンニはもう大丈夫だというようなことをはっきりというんですよね。
彼にはカムパネルラとの銀河鉄道の旅の記憶が残された。
カムパネルラと一緒に旅した時間や思い出が、ジョバンニの心の支えとなって、彼を救ったのかもしれませんね。
いやぁ、本当にね、若い時とは違って、幻想的な景色がリアルに伝わってくるようになって、より読み込んだからなんでしょうけれどね、美しい景色が若い時より伝わる分、より厳しい現実を突きつけられるような思いがしたという・・ 宮沢賢治の孤独に対して、涙したいような気がしてきましたね。孤独を知る彼にしか書けないでしょうし。童話で終わらない、何とも深い物語ですよね。
現実の闇の中で、友情という救いを見る。
カムパネルラはジョバンニの孤独を消し去ってくれた。
だけれど、二人の少年の道は別々のものとなって行く。
なぜ? ほんとうのさいわいとは何なのか?
この物語はただの幻想ではなくて、人間の生き方に対してすごく厳しい問いかけをしているのだと感じました。
いやぁ、どうやって生きていきましょうかね。人を助けて犠牲になっても救われないというのは分かりましたしね。本当に、難しいテーゼです。
答えらしきものがあるとすれば、正しい生き方というのは、自らを殺すことではなくて、無様でも人と寄り添って生きること、どこまでも共に道を探すことが大切だと言っているのかもしれませんが、まぁ、それも人により色々な解釈があるかと思いますしね。
深い本なので、ぜひぜひ、自分なりの答えを探してみるのも良いかと思います。
お時間がある時に、再読してみてくださいませ。
KATーTUNが今まで一緒にいたのも友情の証だったんでしょうかね。その思いを胸に、これからのソロ活動をぜひ頑張っていただきたいと思いますね・・
では、今日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございます。
素敵な時間を過ごされますよう。
願いを込めて。