鉄道ファン歓喜! 美しい日本を切り取った名画、「砂の器」

 

 こんにちはー

 コロナの感染力がすごくて、大好きな外食さえできていません。せっせとおうちご飯におうちmovie、で粛々と過ごしています。

 いつになったら収まるんでしょうねぇ。

 そう言えば3回目のワクチン接種券が届きましたけれど、予約は来週からだとか。2回目の接種から半年経たないと打てないのね〜

 そんなわけで、今週見たのは名作、「砂の器」。

 私松本清張が大好きでしてねぇ、(確か)デビュー作の「点と線」を図書館で借りて読んで、ドカーンときてしまいまして。電車の時刻表が事件の謎を解くカギなんですよね。その電車ファンの心理を満足させるトリックに緻密な謎解き! こりゃすごい、と。それ以来、ほとんどの清張の本は読んだんですよ。ところがなぜか「砂の器」だけ読んでいない。

 内容が「霧の旗」とごっちゃになってる。というわけで、今回じっくり見させていただきました。いや〜、面白かった! そして、清張らしい電車文化満載でワクワクいたしました! 



 「砂の器」

 野村芳太郎監督。丹波哲郎、加藤剛、森田健作出演。

 【あらすじ】
 東京、蒲田の国鉄の操車場で殺人事件が発生した。被害者の顔はつぶれ、身元も分からない。今西警部補と吉村巡査は、唯一の手がかりを追って東北の「羽後亀田」に向かう。被害者らしき男が事件の前日深夜に会っていた若い男との会話は、東北弁であること、「亀田(カメダがどうした)」という内容だったことを考慮してのことだった。ところが何の成果も上げられず、また、意外なことに行方不明者の捜査から被害者の身元が岡山県の男であることが判明する。ズーズー弁の岡山の被害者。事件は振り出しに戻り、難航を極めるが、今西警部補は言語学者の元を訪れ、今度は島根出雲地方に向かうのだった。
 



 これね〜 もう清張の世界観満載なんですよ。この国鉄のPR映画みたいな電車と日本の原風景満載のビジュアル。最高ですねぇ。いや〜 日本って美しい。
 最初の東北行きの電車(映画では原作と異なり新幹線を使用)で食堂車とか出てくるんですよね、もう懐かしくて・・え? 今もあります、食堂車?? リゾート特急でしょ??




 事件の謎解きも面白いんですが、やはりこの映画の見所は日本を縦断する旅と原風景でしょうねぇ。刑事の旅も然りなんですが、後半にピアニスト男の記憶でお遍路の旅の風景がずーっと映し出されるんですよ。映画のレビューを書いていたある方が(散々映画をけなしつつも、これだけは最高と)「風景が生き物みたいだった」と書いていましたが、然り、然り。1974年の映画ですよ。50年前まで日本はこんなに美しかったんですねぇ。



 写真下。食堂車の今西警部補と吉村巡査。
 


 そして国鉄と来ればの昭和感も満載です。何と地名を調べるのに、地図を購入して、純喫茶で刑事が手作業で探します。グーグルマップなんてないんですよ〜




 ここでやっと「亀田(カメダ)」という手がかりの謎がつかめます。いや〜、ご苦労なことです。謎解きが面白いというか、「ご苦労様」レベルです、笑



 正直、謎解きと被害者の行動を主とした登場人物の動きにはご都合主義的な部分が多くて、ちょっとつかめないところもあったんですが、繰り返して言いますが、この映画の国鉄ファンを満足させる電車と旅の風景、日本の原風景の美しさはホント圧巻でした。

 今はこんな日本ないだろうなぁ。新幹線も作りまくって、廃線は増えてますしねぇ。いらないリニアまでつくちゃってるしねぇ。そう思うと、日本列島改造論とか唱えた角栄って罪だなぁ、としみじみ思いました。いや、ずっと角栄のファンだったんですが、ちょうど映画に角栄のそっくりさんみたいな政治家が出てくるんですよ。




 それで思い出してしまいましてね、あの改造論がこの日本の原風景をメタクソにしてしまった(きっかけになった)んだろうなぁ、と、ふと思ってしまいました。




 
 写真上の石川県大畑村というところも素敵でしたねぇ。これ白川郷??




 兎にも角にも、美しい日本の景色を凝縮したような素晴らしい映画でした。ホント風景が生き物みたいでした。今はもう見られない風景が多いことを思うと、残念なようななおさら愛おしいような。日本ってホント美しかったんですねぇ。この映画を撮って、記録に残しておいてくれて本当に良かったと思います。

 ただし、お遍路の旅には綺麗事ばかりではなく、厳しい面も多々あって。



 事件の解決とともに、ハンセン病患者の差別という問題が急浮上するんですよね。その歴史の暗い側面を重く受け止めながらも、それをかき消すほどの厳しくも美しい日本の風景が心を打ちます。宿命を嘆くというラストシーンが霞んでしまうんですよ。あまりにもね、哀れな主人公親子のお遍路の旅が儚すぎて。まるで記憶の夢を見ているような気がしてきます。

 とても重い問題を扱っているのだと思うのですがねぇ。あれでは差別やハンセン病患者を追いやった暗部を推奨しているみたいですよねぇ。

 そんなこんなで、原作を超えるともいうべき映画化の美しい映像美によって、ハンセン病患者の問題は美化されてしまったような気がしないでもない2時間半・・・

 美しい日本を見て心癒されたい方は是非見てみてくださいませ!


 というわけで、まとめです。

 松本清張の大ファンが電車旅ファンのために作ったような「砂の器」を見たら、案の定、電車の旅と日本の原風景の素晴らしさに大歓喜、大満足した! 日本はかつて美しかった! この映像を撮っておいて本当に良かったなぁ、とボロボロの日本を思い心底思った。

 映画は後半に、ハンセン病患者の人権問題とかつての日本の闇に迫るが、それをかき消すほどの日本の風景の素晴らしさは目を見張るものがある。お遍路という差別者の旅路が厳しく、儚く、美しすぎて、問題を美化しているとさえ感じてしまった。

 国鉄やかつての日本を見てノスタルジーに浸りたい時に見ると最高です。

 追記で、緒形拳、渥美清、加藤剛、丹波哲郎という往来の俳優陣も最高でした。


 ではでは、今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

 みなさま、コロナにはお気をつけて。


 素敵な時間を過ごされますよう。

 願いを込めて。

 



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