日本が本気出したエンタメは空恐ろしい・・無名オールスターの「メランコリック」

 

 こんばんはー

 ゴールデンウィーク休暇も終わってしまいましたが、いかがお過ごしですか。

 コロナすごいですねぇ。全く収束する気配なしですね。巣ごもり生活の影響で、マクドナルドの売り上げが過去最高になったそうですよ。

 まだまだ巣ごもり生活は続きそうですね。


 ということで、おうち時間はお勉強と映画に費やしている私。今日はGW休暇最後に見た邦画をご紹介します。

 アマゾンプライムで無料だったんですが、久しぶりにちょっと毛色の違う邦画を見たぞ、という気分になりました。

 なんとなく、今の日本映画って、型にはまっているというのか、全てステロタイプに見えるというのか、あれ(有名どころの映画はほとんどが)テレビ局が作っているせいなんでしょうかねぇ。テレビドラマにしか見えなくて、映画の美学が抜け落ちているような気がしていたんです。

 ところが、久しぶりに、映画らしい映画を見ました。



 「メランコリック」

 田中征爾監督。皆川 暢二、磯崎 義知、吉田 芽吹出演。

 【あらすじ】

 東大を出てから人生のレールを放棄した和彦は、バイトを転々とするうだつの上がらない生活を送っている。ある日、ふと訪れた銭湯で同級生の百合と再会する。百合に勧められて銭湯で働くことになった和彦だが、しかし、その銭湯は表の顔と裏の顔を持っていたのだった。大衆向けの公衆浴場が人様に言えぬ生業をしていることを知ってしまったその日から、彼の人生が不思議に輝き始めて・・




 これ、ジャンルはコメディなんだそうですが、いやいやどうして。かなりマイナー系なヒューマンドラマでしたよ。しかもね、今の日本で衰退の一途をたどっている銭湯が舞台なんです。風前の灯の日本文化がこういう形で日の目を浴びるのか、(その手があったか!)とかなり驚かされた映画でした。こんな風な映画を作れば、日本文化はみんなフェニックスのネタになる可能性があるんじゃないですかねぇ。


 ぶっちゃけて言うと、銭湯で夜な夜な人殺しが行われているんですよ。死体の処理も風呂を沸かす窯でしちゃっているんですよね。殺し屋の現場なんです。なんせ後始末が楽だから。
 銭湯と言えば、大人から子供まで楽しめる王道のカルチャースポットですよ。それが闇の闇の暗部を抱えているわけですね。こんなアイデアよく思いついたよなぁ・・・




 アイデアも素晴らしいですが、この映画、配役陣が絶妙なんです。
 興行系の映画に全く出たこともない、全く無名な、ですが実力派俳優ぞろいです。みなさん、顔も知りませんでしたが、うまい! その割に和彦の家族だけは下手くそなんですけどね。そこも狙っているのか、まるでロボットみたいなセリフを喋る。まるで平和な家族の象徴を演じるAIのようなご両親(の俳優さん)なんですね。あの作り物感が、和彦の家庭のイメージにぴったりです。というより日本の家庭のイメージにぴったりというべきか。





 下手な俳優と作り物の平和。昼間の銭湯と平和な家族。作り物のリアル。
 そして、夜な夜な行われる殺人。まるでこっちの方が現実のようなんです。(非日常ではなくて本物のリアル)




 思いっきり映画の中で遊んでるという感じでしたね。
 最近の日本映画、つまらなく感じていたので、(全く遊びなし!)なので、とても意外に感じました。映画はこんな風に、好き放題に作ってもいいんじゃないのかなぁ。




 無名の女優さんもとても魅力的でしたよ。昔芸能界から抹殺された高部知子さんにちょっと似てるんですよね。
 俳優陣もマイナー、ストーリーもマイナー、なんせ銭湯で人殺しですよ。こんなお天道様に反する映画、堂々とエンタメにしちゃっているんだからすごいというかなんというか。
 最後まで目を奪われっぱなしでした。




 まぁ、でも銭湯って、よくよく考えるとちょっと不気味ですもんね。
 殺し屋の処理場となんかうまい具合に結びついてしまいました、が! 言われれば、という話で。見るまではわからないですよねー アイディア勝ちかなぁ、やっぱり。



 写真上、殺し屋の松本君も最高です。



 面白いのは殺人計画の話の時に、後ろに銭湯のほのぼのしたおもちゃが映るところ。すごい平和なのね。なのに殺人計画、笑



 案外今の日本ってこんななんじゃないのかなぁ、とつい思ってしまいました。もう、すべてのリアルは形骸化していて、本物のリアルは暗部の中でひっそりと夜な夜な行われている。

 それを知る者だけが輝き、リアルに生き残れる、なんて。


 最後に、銭湯の主人を強請っていたヤクザを殺してしまう主人公。そして裏切り者の主人をも殺してしまいます。

 ラストはハッピーエンド風に語られるんですが、日本の警察は優秀ですから、きっと和彦は刑務所に入るか、死刑になるかでしょうね。なんて、予感を抱きながら結末です。

 メランコリックってタイトル、・・・そのまんまでしたね。

 どこがコメディなんだか、まぁ、空恐ろしい映画でした。

 (とても面白かったですけどね!)


 というわけでまとめです。

 殺し屋が現場に利用している銭湯に就職した東大生の物語を見たら、人生の落伍者が己の人生を取り戻すというまさかのストーリー展開に驚かされた!

 表と裏の顔を持つ銭湯を通して、日本にも形骸化された表とリアルな裏があるような気がして来て、かなり興味深い映画だった!

 無名の監督に無名の俳優陣だが、興行収入を全く考えない映画というのはこうも面白く、映画らしい映画になるのか、と感じさせられた。

 お時間ある方、巣ごもり生活の方にお勧めしたい一作です。


 今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

 ではでは、素敵な時間を過ごされますよう。

 願いを込めて。



 

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