差し入れは希望の種。待っています、の一言に泣いた。映画「金子差入店」。
こんにちは!
今日はちょっと風変わりで心に残る映画を観ました。
「犯罪者への差入れ」を生業とする仕事ーー
しかも、元罪人でもできる仕事だそうです。
彼には、この仕事しか残されていなかった。
けれど、いつしか「彼にしかできない仕事」になっていった。
そんな逆説的な素晴らしさが、この映画にはありました。
こんな仕事に、いつか出会ってみたいーー そんな思いがふとよぎります。
「金子差入店」
監督・古川豪、出演・丸山隆平、真木よう子、岸谷五朗、甲本雅裕
【あらすじ】
金子真司は妻の美和子と差入店を営んでいる。伯父の星田から引き継いだ住居兼店舗で、引退した星田と10歳になる息子の和真と一緒に暮らしていた。ある日、和真の幼馴染の花梨が何の関係もない男に殺害される。
一家が花梨の死から立ち直れないでいた時、犯人の小島の母親から差入の代行と手紙の代読を依頼される。金子は差入屋としての仕事を淡々とこなそうとするが、常軌を逸した小島の応対に感情を激しく揺さぶられる。さらに、小島の母親から息子には話し相手が必要だと思うと再度の差入を頼まれた金子は、小島と話せば話すほど「なぜ、何のために殺したのか」という疑問と怒りに身を焼かれる。
そんな時、毎日のように拘置所を訪れる女子高生と出会う金子。彼女はなぜか自分の母親を殺した男との面会を強く求めていた。2つの事件と向き合ううちに、金子の過去が周囲に露となり、家族の絆を揺るがしていく──。
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・感想は・・アイドル主演とは思えずうっかり感動。
主人公・金子を演じるのは、SUPER EIGHTの丸山隆平さん。
正直、アイドル出身とは思えないほど自然で深みのある演技に驚きました。
とても素晴らしく、心を打たれました。
刑務所への差入代行という、初めて知る仕事にも強く惹かれました。
加害者に寄り添う仕事ということで、元受刑者である金子自身だけでなく、奥さんや息子まで周囲からのいじめや嫌がらせを受けてしまいます。
それでも、奥さんは金子にこう言うのです。
「あなたの仕事は、すごいことなんだよ」
「(悪くいう)世間の方が間違っているんだよ」
誤解されやすく、偏見の多い仕事に対して、
ここまで誇りを持って支えてくれる家族の姿に、強く胸を打たれました。
「あなたじゃない、世間の方が悪い」と言ってくれる人がいることの尊さーーそれがじんわりと心に沁みてきました。
・俳優陣の個性が光る。後半は涙が止まらない。
映画を彩る脇役たちも本当に魅力的でした。
ボーッとしているようで、実は家族の良心のような存在の寺尾聰さん。犯罪者の北村匠海さんに、独親の根岸季衣さん、弁護士の甲本雅裕さん。
そして、ヤクザ役を演じた岸谷五朗さん。
特に、後半の岸谷五朗さんのエピソードには涙が溢れました。
少女を守るため、売春の斡旋をしていた独親を殺してしまう(しかも最後のとどめを刺したのは少女自身だった)。
その罪を、静かにひとりで背負おうとする岸谷。
少女は刑務所に何度も足を運んで、やっとの思いで伝える。
「待っています」
泣き崩れる岸谷。
少女がいじらさと覚悟が痛いほど伝わり、私も涙が止まりませんでした。
この問題のある面会を実現させたのも、金子差入店の金子(丸山)の尽力があったから。
差入屋とは、まるで探偵のようなーー
怪しいようでいて、人生や人間の深みに触れる、懐の深い仕事だと感じました。
いつの世も、罪深き私たちを救うのは希望の言葉。
こうした題材を扱う映画が生まれたこと自体、時代の流れを感じます。
とても興味深く、心に残る作品でした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
今日も心穏やかな1日となりますように。
願いを込めて。



