現代文学の最高峰、「百年の孤独」を読む。(前半)
こんにちは!
この間、紀伊國屋に行ったら、山積みの本の1列だけがラスト1冊になっていました。
その1冊を手に取って、戻そうとした時、ふと本の下にPOPがあり、
「いつか買うなら今買って」
と描いてあるのに気がつきました。
・・・ええ。買いましたよ。
そうね、「またいつか読もう」と頭をよぎって、返そうとしたのは事実です。
見事なPOPで気が変わりましたよ、ありがとう、紀伊國屋さん。
そうして、買ってきたのが、マジックリアリズムの傑作、「百年の孤独」でした。
百年の孤独(ガブリエル・ガルシア=マルケス)
【あらすじ】
奇妙な寒村を開墾しながら孤独に生きる一族。その宿命を描いた、目も眩む百年の物語。
1967年にアルゼンチンのスダメリカナ社から刊行されて以来、世界の名だたる作家たちが賛辞を惜しまず、その影響下にあることを公言している世界文学屈指の名著。現在までに46の言語に翻訳され、5000万部発行されている世界的ベストセラー。
「マジック・リアリズム」というキーワードとともに文学シーンに巨大な影響を与え続けている。2022年にはNETFLIXが映像化の権利獲得を発表、大きな話題を呼んた。蜃気楼の村マコンドを開墾しながら、愛なき世界を生きる孤独な一族の歴史を描いた一大サーガ。
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今回は、前半のおよそ五十年間分ーー アウレリャノ大佐が戦いを終えるまでを読みました。
面白かった!
この作品は、1982年にノーベル文学賞を受賞したマルケスの代表作です。
受賞理由は、「現実的なものと幻想的なものを融合させ、南米という独特の世界を創造したこと」。
この融合手法こそが「マジックリアリズム」と呼ばれるものです。
本作の最大の特徴は、小説の常識を軽々と飛び越えてくること。
起承転結や章立て、伏線回収といった型を無視して、まるで滝のように膨大なエピソードが押し寄せてきます。
本当のような、嘘のような、奇想天外で幻想的、あるいは胡散臭さすらあるエピソードが延々と続いていくのに、不思議とまったく飽きさせない。
むしろ、読む手を止める事ができないほど、グイグイと引き込まれてしまうのです。
気がつけば、何十年という時間が流れ、すっかりマコンドの世界にどっぷり浸かっていました。
そして面白いのは、「嘘くさい」と感じる瞬間がは一切なかったこと。
また、ありがちな劇画チックな誇張表現もなく、思想が深く、世界観は無限に広っていきました。
登場人物は一族の物語であるにも関わらず、驚くほど多様。
「こうも人の心は統計だっていないのものか」
とあらためて感じさせられます。
この作品が漫画的に流れていかないのは、その背景に、「孤独の深淵」が横たわっているからなのかもしれません。
母・ウルスラ、父・ブエンディア、息子のホセ・アルカディオ、そして娘のアマランタ。
みな、心に深い孤独を抱えています。
でも、なかでもアウレリャノ大佐の抱える孤独は、言葉にしがたいものがありました。
この物語のリアリズムを支えているのは、まさにこの「孤独」なのだと、ふと気付かされ、はっとしました。
とにかくアウレリャノ大佐が主役の前半は、本当に面白かった!!
後半を読むのがとても楽しみです。
それにしても、このような小説の手法を無視した作品が、現代文学の最高峰と言われていることに、とても衝撃を覚えました。
どんな世界でも頂点に立つには、その世界の基本やルールを知り尽くしていなければならないと思っていましたが、それを軽々と飛び越えていくマルケスが最高峰とは。
不思議ですよね・・
何かの奇跡のようです。
知り尽くしていることと、とらわれることは違うと言うことなのでしょうね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
今日も、心穏やかな素晴らしい1日となりますように。
願いを込めて。



