愛か、生か、それとも・・「親指の恋人」読書記。
こんにちは! ららです。
台風15号が横断していますが、お元気でお過ごしでしょうか。
関東では警戒レベル4の避難指示が出たようです。
帰宅途中、スマホからアラートが鳴り響き、それがまた、電車にいる人の数人ずつ微妙な時差で鳴るんですよね。
アラートの大合唱になって、怖かったですよ。
皆様、無事で帰宅していることをお祈りいたします。
さて、今日は普段読まない作家さんの本を読みました。
「池袋ウェストゲートパーク」や「娼年」等の人気作品で知られる、石田衣良さんです。
親指の恋人(石田衣良 / 解説・装画 中村佑介)
【あらすじ】
許されぬ愛にもがく二人…。
究極の恋愛小説 大学三年生の江崎澄雄は、携帯メールの出会い系サイトでメールのやり取りをかさねたジュリアと恋に落ちる。
しかし、二人の経済的な環境は、極端なまでに違っていた。ある日、ジュリアの父親が脳出血で倒れてしまう。
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・そういえば昔は親指だった
格差社会を生きる、六本木ヒルズに住むお坊ちゃん澄雄と、中卒でパン工場で働く社会の底辺のジュリア。身分の違う二人。
現代版ロミオとジュリエット。
だからスミオとジュリアなんだ、と少しギャグみたいに思ってしまった。物語も出来過ぎたタイミングで、不幸な事件が次々と襲いかかってくる。本当に昔の演劇のようなドラマ仕立てで、その辺りもロミオとジュリエットと被るようだった。
また、なぜ親指の恋人なのかと思ったら、ガラケー時代のやり取りだからだそうだ。(2008年の小説)そういえば昔は社会と繋がるには親指を使っていたのだった。
懐かしさを感じながらも、こんな昔から日本はすでに深い格差があったのだと、あらためて驚かされた。
・格差が奪う自由
お互いのことを思って別れるか、それとも一緒に生きていくのか、何度も考え抜く二人。
答えを出しては、別れるのは無理だと気が付く。
結局悩み抜いた末に、二人が選んだ結末は、別れもせずに、生きもしないという、全く別次元の意外なものになってしまった。
愛は格差社会を生きることはできないのか、と悲しくなった結末だった。
病気の父親を捨てられないというのがネックだったと思う。だが、死んでしまうくらいなら、父親を捨てても良かったのではないだろうか。
結局、死んでしまえば、父親は捨てられたことになるのだ。
スミオとジュリアのお互いの父親・・・ 残されたものがどうなるのかを考えると、身勝手に生きることよりも、身勝手に死ぬことの方が、余計始末が悪いと思った。
2025年になり、私たちは、もう少しうまくこの格差社会を泳ぐことができるようになったと思う。
このような死を解決策にする典型的な人生劇場とは、別の道が生まれていることを願いたい。
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さて、今日の読書感想は以上です。
格差社会、早く無くならないものでしょうかね。
この小説の時代の少し前まで、日本は一億総中流社会と呼ばれていたと思うのですが・・。
どうしてこうなってしまったんでしょうね。
(政治が悪いんでしょうね・・)
今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
台風の被害の全貌が明らかになってきて、ニュースを見ては驚かされています。
皆様、無事でありますように。
願いを込めて。