任侠と芸の道。〜「カラオケ行こ!」と「国宝」をめぐる私的考察〜
映画は原作とは別物だから、独自の世界観があっても当然良いとは思うけれど、原作と別物ではなくて、本物の歌舞伎とは全くの別物だと聞くと、ちょっと考えてしまいます。
そんな折、やはり映画と原作(漫画)との間に多少の違いがある話題の配信映画を見ました。
2024年上映の「カラオケ行こ!」です。
うん、「国宝」も配信されるまで待ちますかね・・・・。
カラオケ行こ!
監督:山下 敦弘
原作:和山やま
出演:綾野剛、齋藤潤
【あらすじ】
変声期に悩む合唱部の男子中学生と歌がうまくなりたいヤクザの交流をコミカルに描いた和山やまの人気コミックを、綾野剛主演で実写映画化。
中学校で合唱部の部長を務める岡聡実は、ある日突然、見知らぬヤクザの成田狂児からカラオケに誘われる。戸惑う聡実に、狂児は歌のレッスンをしてほしいと依頼。組長が主催するカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける恐怖の罰ゲームを免れるため、どうしても歌がうまくならなければならないのだという。狂児の勝負曲は、X JAPANの「紅」。嫌々ながらも歌唱指導を引き受ける羽目になった聡実は、カラオケを通じて少しずつ狂児と親しくなっていくが……。
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・原作ファンのちょっと手厳しい感想・・
原作が大好きな私。映画化した時は嬉しかったけれど、映画館に行けなかったので、今回アマプラで配信したのを機に大喜びで観させていただきました。
感想は・・ 原作の雰囲気を損なっていなくて、なかなか良かったと思います。
ですが、やっぱり原作ファンのせいか、細かな違いが気になってしまいます。
例えば、原作にはなかったキャラやエピソードが追加されていました。おかげで、狂児との二人の世界(ヤクザと少年の不思議な疑似恋愛のような友情関係)・・ 世界観が少し分散されてしまった印象がありました。そこがなんとなく残念でした。
また、聡実くんが部活をサボって、映画鑑賞のクラブに入り浸っているのも妙でした。漫画では、真面目な聡実くんが、最後の最後の演奏会本番の時だけに狂児のもとへ走るから感動するのであって、現実逃避でサボりまくりの聡実くんでは、感情移入しづらい部分がありました。
そして、肝心のラストのカラオケシーンも、変声期直前の、最後のソプラノを絞り切っての、ラストソングを狂児のために捧げるのが感動的なのであって、映画の聡実くんはソプラノ??とは思えないような普通の歌声です。大人のトシ(本物)さんにも全く及ばないソプラノにちょっとがっかりしてしまいました。
やはり映像化は難しいのか・・・と感じつつ・・ですがしかし!
・それでも素晴らしかった!
・最後に国宝のお話に戻ります。