パンとスープと、ネコと平和。
こんにちはー!
19日にトランプ大統領が、ウクライナとロシア大統領と個別に電話会談をするそうです。ついに平和まで秒読みでしょうか。ドキドキしますね。
そう簡単にはいかないのでしょうが、期待してしまいます。
世界の平和はまだ遠いけれど、日常の中にはそっと訪れる平和もあります。
今日は私は、平和な人生を描いた物語を読みました。
独身の元編集者の女性が、母のお店を継いで食堂を始める物語です。母のお店の常連さんたちは、皆離れていってしまいますが、彼女は自分の信じる食材の大切さや美味しさを追求し続ける。そして、次第に、その仕事の丁寧さを理解してくれるお客さんが、お店に足を運んで来れるようになり・・
主人公の女性は、気負わず、地味に、のんきに、黙々と自分の道を進みます。
そんな穏やかな生活の中で、招き猫のようにネコのたろが現れて・・。
パンとスープとネコ日和(群ようこ)
【あらすじ】
唯一の身内である母を突然亡くしたアキコは、永年勤めていた出版社を辞め、母親がやっていた食堂を改装し再オープンさせた。しまちゃんという、体育会系で気配りのできる女性が手伝っている。メニューは日替わりの〈サンドイッチとスープ、サラダ、フルーツ〉のみ。安心できる食材で手間ひまをかける。それが、アキコのこだわりだ。そんな彼女の元に、ネコのたろがやって来た―――。泣いたり笑ったり・・・・・・アキコの愛おしい日々を描く傑作長篇。
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・感想は・・・
面白いですね。昔、生きるのが辛かった時代に、よく群ようこさんの物語を読んで救われていたものですが、彼女の悠々としていて、心穏やかになる独特のワールドは健在だな、と懐かしく感じました。
今回の主人公は元編集者のアキコ、料理研究家の先生の取材をしていた彼女は、自分でも美味しいものを作りたくなり、母の死をきっかけに、本格的に料理の道へと進んでいきます。
また、昔でいう「私生児」だったアキコは、父の身元をひょんなご縁から知ります。そして、住職だった父のお寺に足を運び、思わぬ縁を持つ。
作者自身は、導かれたとか因縁のようなものを否定してはいましたが、父親とのつながりやご縁を深く感じさせられてしまいましたね・・ 奇妙な必然や、愛からのお導きで結ばれているような様子から、とても心温まるものを感じさせられてしまいました。
・印象的なところは・・
彼女は心優しくて、気に病んでいるんですね。母の店だった時の常連客たちの居場所を奪ったのではないのか。自分の店の客を気付かずに選別しているのではないか、というようなことを。
自分で自分を審判しているのです。
そして、それが事実であるように、離れていく人は離れていく。店のことを悪くいう人は悪くいう。ですが、彼女の丁寧な仕事に気付いて、好いてくれる方々もいるわけです。
お店は次第にお客様で繁盛していくようになる。
なんとなくね、そんな自分であることに救われるような物語の展開が良かったですね。
生きていると、自分を生かせば相手が死んでしまうような世知辛いことも多々ありますし、これでいいのかなと生き方に悩むことも多々ありますが、群さんの本を読んで少しでも多くの方々が、心を穏やかにして、自分であることに自信を持っていただけたらいいなぁ、なんて思いました。
・そして、ネコが良い!
ネコの描写がとにかく可愛らしい。福猫のたろが本当に可愛くて、愛しくなります。(文字だけで猫をあれだけ可愛く描ける作家は他にいないのではないでしょうか。)
たろは物語の終わりの方で亡くなってしまうのですが、それが彼女への裁きのようにも映ります。
しかし、それでも前を向いて歩いていこうとする主人公が逞しい。
いつの間にかアキコの中でたろの死は、母親の死よりも上位に持っていかれます。
親の死と同じくらい、いやそれ以上胸に迫ったネコの死ー。
主人公の丁寧な仕事が理解されたように、たろの死に涙する彼女の気持ちもしっかりとこちらに伝わって来ました。ペットが身近になった今の時代ならば、深く感じ入る方も多いのではないでしょうか。
ペットと共に過ごす何気ない日常の平和さを、この本を読んであらためて噛み締めていただければと思います。
・最後にトランプさん
平和の使者、トランプさんがまたやってくれるでしょうか。ちょっと信じがたいけれど、もしかしたら彼が何かを動かす日が来るかも知れませんね。
プーチン大統領は食わせ物です、ゼレンスキーさんも頑固そうですので、どうなることやらとヤキモキしてしまいます。
しかし、話が進めば、これ以上無駄な命が失われることもないと思うと、本当に、人々が救われる、素晴らしい話だと思います。
どうか会談がうまくいき、平和が訪れますように。
では、今日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございます。
どうか穏やかで、あたたかい時間を過ごされますよう。
心を込めて。