パーフェクトデイズで日常生活が輝くヒントをいただく。

 

 今日はパーフェクトデイズを見ました。





 監督 ヴィム・ヴェンダース 
 出演者 役所広司, 柄本時生, 中野有紗, アオイヤマダ, 麻生祐未, 石川さゆり, 田中泯, 三浦友和

 【あらすじ】
 東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々が作る木漏れ日に目を細めた。そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。(Amazonプライムビデオより)

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 日常生活の美しさを讃える映画と言われていますが、見始めた最初の印象は少し違っていました。

 正直なところ、まるで囚人のような、閉じられた生活に見えてしまったんです。
 
 一体どんな背景を持った人物なのだろう、そんなふうに少し構えて観ていたように思います。

 でも、気付けば不思議と心が惹きつけられていました。
 
 その生活が、静かに、力強く、美しく感じられていったのです。

 主人公は平日、職場の東京のトイレと、神社と、銭湯、そして浅草の駅構内の居酒屋にしか行きません。
 
 主人公は休日、東京下町のコインランドリーと、写真屋と、古本屋と、そして行きつけのバーにしか行きません。

 とっても慎ましい生活をしているというか、アナクロで、地味なんです。

 私とおんなじようなところしか行っていないのですが、こうも違うものかと驚かされました。


 主人公は、自分の仕事に誇りを持っています。一切手を抜きません。

 そして、木々を大切に育てています。木々の美しい写真を毎日撮っています。

 そして、本物の音楽と文学を知っています。


 音楽と文学だけではないんですよね。
 主人公の平山さんは全て生きていく上での「本物」を知っていて、そんな場所にしかいかないんです。そんな人たちとしか関わり合わないのですよね。そのものたちと行きつけや常連という関係で、言葉を交わさなくても通じるようになっている。(決して深い関わりというわけではないのですが、阿吽の呼吸となっています)

 生きていく上で、本物(本当に大切なこと、価値のあること)を知るということがどれだけ大きなことなのか。

 そして、そのことだけを繰り返して生きていくことがどれだけ難しいことなのか。

 そのことを思い知らされたような気がしました。

 
 お金をかけなくても、人と深い関わりを持たなくても、たとえ孤独であろうと、輝くような「パーフェクトデイズ」は創れる。

 そして、大切なことと本物を知っている彼は、たとえトイレの清掃という仕事をしていようとも、人々から尊敬され得て、敬われる。


 やっぱりね、こういうのを見ちゃうと、アナログは強いな、と思います。

 ファストファッションとか、iPhoneミュージックとか、SNSの繋がりとか、最近の文化はまだまだ足元にも及ばないような気がしますね・・


 観終わったあと、まず思ったのは、「自分の仕事に、もう少し誇りを持ってみようかな」ということでした。

 そして、流行りや世間の評価ではなく、「自分にとっての好き」を大切にしてみたい、とも。


 華やかでなくても、まばゆい光がなくても、

 心の奥に、残るものがある日常。

 そんな一日を「パーフェクトデイズ」と呼んでみたくなる映画でした。



 人生のヒントが、そっと手渡されるような作品です。

 静かな気持ちになりたいとき、何かを失いそうなときに、ぜひ観てみてはいかがでしょうか。


 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 今日も素敵な時間を過ごせますように。

 小さな願いを込めて。







 

 

 

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