久しぶりに見た映画が結構シビアでよかった・・「前科者」


 こんにちはー。

 更新なかなかできずにすみません。最近お出かけもしないし、映画も見ないので、ネタがないのです。今日は久しぶりに映画を見ました!

 が、とても難しい映画でした。罪を犯したものに寄り添い、彼らが更生できる社会を作っていこうという・・

 そう思う方々がこの映画を見て増えてくださるといいのですが、(どちらかというと私も元罪人のポジションなので)現実はそう甘くないことを知っています。

 こんな主人公(有村架純)いるかよ、的な・・・

 なので、せっかく映画を見たのに、あまり書くことがないんですよねぇ・・とほほ。

 というわけで、今日は映画「前科者」を見たという話です。



 「前科者」

 岸善幸監督。有村架純、森田剛、磯村勇斗、石橋静河、若葉竜也、リリー・フランキー出演。

 【あらすじ】(アマゾンプライムビデオより抜粋)

 ふたつの仕事をかけ持つ阿川佳代、28歳。コンビニ勤務は至って平穏だが、もうひとつの務めは波乱に満ちていた。犯罪者の更生を助ける保護司という仕事で、国家公務員だがボランティアのため報酬は一切ない。それでも阿川は、次々と新たな問題を起こす前科者たちを、「あなたは崖っぷちにいます!」と厳しく叱り、「落ちたら助けられなくなります」と優しく励ます。「もっと自分の人生を楽しめば」と周りには言われるが、何があっても寄り添い続ける覚悟に一点の曇りもなかった。そんな中、阿川は殺人を犯した工藤誠を担当することになり、懸命に生きる彼を全力で支える。ところが、工藤は保護観察終了前の最後の面談に現れず、社員登用が決まっていた自動車修理工場からも忽然と姿を消す。折しも連続殺傷事件が発生、捜査線上に工藤が容疑者として浮かぶことで、これまで阿川が隠してきた過去や“保護司になった理由”が明かされていく。



 う〜ん、感想ホント言うことないです。いい映画でした。それで終了したい。

 日本の映画ってホントつまらないなぁ、と最近思っていましたが、これは久しぶりにいい映画だと感じました。
 有村さんが地味でブスなんですよねぇ。この方、いつからこんな太ったおばさんみたいになったんですかね。でもそこがいいんです。全然「綺麗ごと」めいていない。見た目はダサくてみっともないくらいなのに、だからこそ、心の気高さというか崇高さにはっと胸をつかれます。

 弱い人間として描かれていますが、私から見たら、人間のサラブレッドという感じがしました。こんな方なかなかいないでしょう、きっと。羨ましい限りです。
 


 そして、前科者の役の森田剛さんが最高なのね。こんな演技上手かったの? 森田くん。すごいですねぇ、ジャニーズ出身とは思えません。演技派俳優並みの存在感です。

 真面目に更生しようとする彼が、あと少しで保護観察期間も終わろうというところで、姿を消す。「そちらには戻れない」と有村架純に連絡してきます。罪人を裁く側の「強き世間」の象徴である警察は、森田くんをあっさりと連続殺人事件の「容疑者(犯人)」に断定。このあたりで、真面目に生きようとしている人間を、こうあっさり罪人に認定する世間に対する苛立ちがマックスになります。まぁ、真犯人(森田くんの弟)をかばうために、わざと証拠を残した彼も悪いんですけどね。




 それにしても、前科者に世間は冷たい。簡単に罪人に戻るという色眼鏡で見ていることに驚かされます。前科者が更生しやすい社会なんてそうそうできるわけがないですよね。映画ではその辺のシビアさもリアルに描いていて、やっぱり「綺麗ごと」めいていません。その辺りはとてもよくできている映画だと思いました。



 映画の中で、(森田剛くんの家族の中で)唯一、更生に成功したのが、加害者のお父さん。森田くんの母親を殺して、刑期を終えた父親です。この辺も皮肉なんですよねぇ。全ての元凶だというのに、のうのうと暮らしている。真犯人の森田くんの弟は父親を殺そうとしますが、土壇場でできない。どうしても殺すことができずに、結局自分の命をこそ、絶ってしまいます。


 父親との幸せだった頃の思い出が残っていたんでしょうかねぇ。彼がまだ、こちら側の人間だったという証なのか、それとも更生したものへの救いを描いているのかわかりませんが、本当に切ない最期でした。

 弟を失った兄の森田くんは、弟がやり残した復讐を代わりに遂げようとしますが、有村架純に頬を叩かれて目が覚めます。

 保護観察を途中で放り出した彼は仮出所も取り消しになり、新たな連続殺人に加担した罪も加わって、またしても刑務所に舞い戻ることになってしまいます。
 
 前科者の彼が罪を清算して、更生する(人間として生き返る)にはまだまだ長い月日がかかり、途方もない苦労が待ち受けていることを物語は示唆していますが、それでも、その先に、生まれ変わった森田くんと有村架純の約束(母親との思い出の店で一杯のラーメンを食べるという・・)があると思うと、一筋の希望に胸が熱くなりました。

 一杯のラーメンを食べるということにどれだけの道のりがあることか・・

 ほとんどあらすじばかりですみません。でもこの映画の言いたいこと、森田くん兄弟のように、善人が虐げられて前科者(罪人)となることだってある。有村架純のように、思いがけず自ら罪深き立場になってしまう場合もある。というような不条理。人生の悲しいくらいの残酷な不条理と、だからこそ、罪を犯した人々に対する色眼鏡を変えたり、更生を後押しできるような社会を作ろうという意図は伝わったと思います。

 それにしても保護司ってすごい仕事だと思います。無報酬で、ほとんどプライベートを投げ捨てて、人のためにあれだけ尽くすことなんて普通はできなと思います。

 有村架純の過去のように、人に尽くすこと、人が再生することこそが、自分の再生のためになる、という哀しい人たちがやっているのかなぁ・・なんて、ちょっとしんみりしてしまいました。

 全ての人が、生き返り、こちら側に戻ってきますように。

 哀しい過去が清算できますように。


 最後に、ひとつムカついたのは、有村架純を若い頃に「なぜ生きてるんだ」と罵った元恋人ですがね、結局最期まで一言も謝らないのね。あれはないと思いました。どれだけ酷いことをしたと思っているんだか。しかし、刑事になった彼。あれは、謝らないところも含めて、シビアな「強い世間」の象徴を描いていたんでしょうかね。


 まぁ、総じてとてもいい映画でしたので、無料で公開されていますから、機会があれば見ていただけると幸いです。


 今日も最期まで読んでいただきどうもありがとうございます。


 素敵な時間を過ごされますよう。

 願いを込めて。




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