「猫に依存する国、日本」の異常性と輝きと。「猫の国」


 こんばんはー

 どうも最近うちの猫の具合が悪くて、慢性腎不全が悪化しているんですよね。もう長くはないだろうなぁ、という感じで、ついに恐れていた終末期を迎えてしまったようです。

 今日血液検査の結果を聞かされて、ボーダーを越えた、という言葉を聞いたときに、覚悟はできていたはずなんですが、思いがけず頭が真っ白になってしまいまして。

 ついに来たか・・・・ 猫にとってストレスのかかるような無理な延命はしたくない、緩和ケアを中心にして自然に逝くように看取りたい・・という結論には至ったんですが、いやぁ、なかなかしんどいですね。

 何が辛いかって、私はその終末期の猫、ミーちゃんのフォルムが大好きなんです。顔や仕草、かわいいお手手にあんよ。背中のラインに立ち姿。その姿形のすべて。それがこの世界から一切消えてしまう、二度と見ることも触れることも叶わなくなるという想像がもうきつい。実際死んでいないのに想像だけで辛いんです。

 猫(ミーちゃん)は美しい。あの姿形が消え失せるなんて、筆舌に尽くしがたい苦しみである。うーん、猫教というのがあるならば間違いなく信者ですね。

  

 そんなメンタルだからというわけではありませんが、今日は猫の国という映画を見ました。猫好きの日本人と日本という国をイギリス人がマッドネスだと暴くドキュメンタリー映画です。


 「猫の国」
 Tim Delmastro、Cassandra Delmastro監督。Chris Broad出演。

【あらすじ】

 日本では古くから猫が幸福を呼ぶと言われている。いたるところに猫を素材としたプロモーションやビジネスがある。猫が経済を発展させたり、地域活性化に貢献したり。猫島、猫カフェ、猫バー、猫を信仰する神社、商店街にタバコ屋、電車にホテル。イギリス人YouTubeパーソナリティのクリス・ブロードが日本のちょっとおかしな猫文化を紹介していく・・



 この映画、アマゾンのレビューは散々なんですよ。日本に対するリスペクトがない。猫に対する愛情も感じられない。上から目線で見下しているだけ、と言ったような。

 確かにねー、「怖い」「異常だ」「真剣さがない」と散々な言われようです。見下しているというよりは、(もっと酷いですが)狂ったモノを真面目に紹介している、といった感じでした。




 でもよく出来ているなぁ、と思わず唸ってしまったのは、かなり広範囲に日本の猫文化を取り上げて紹介している点でしょうか。「悪名高き猫島」と言いながら東北の田代島に行ってみたり、猫の駅長ニタマに会いに和歌山県の貴志駅を訪れたり、猫を求めて猫スポットの今戸神社や谷中、日比谷公園、江ノ島まで足伸ばしたり、いやぁ、パワフルです。それだけではありません。猫の本屋や猫グッズが全て揃う店を紹介したり、猫のいるタバコ屋さん、ハローキティのホテルの部屋、猫と一緒に働ける会社に、猫カフェ、猫バーという猫ビジネスも追跡取材します。最後はなめ猫の会社にまで行ってしまった。猫で大成功した人や店や地域の例を次々と取り上げて、日本の猫信仰を晒してみせるのです。







 これだけ深く掘り下げてもらえれば、まぁ、悪い気はしないというか。多少、言いたいこと言ってもいいんじゃないでしょうかね。取材の徹底さには率直に頭が下がりますからね。

 ただ、なんとなくね、リポーターの彼が始終薄ら笑いを浮かべていて、かな〜り日本を馬鹿にしているのは感じ取れるんですよね。何を見ても「アンビリーバボー」の一点張りですよ。そこがちょっとね、映画としては品がなくなっているような気がします。アマゾンレビューにあるように、やっぱりリスペクトはあったほうが成功した作品になったんじゃないのかなぁ。

 猫に対する愛情は少しは感じられましたけどね。猫という素材にビジネスの成功や地域活性化を託したり、心や精神の問題を解決させようとすることにはシニカルすぎるというか。ちょっと手厳しいですよね。
 
 まぁ、なんでも猫を全面に押し出せば儲かる、成功する、観光地化する、癒されると、猫に依存しすぎる日本人には、猫の苦労というか迷惑さというのがね、イギリス人を通して、じわじわと伝わってはくる内容にはなっています。
 


 私的にも、同じ日本人でもね、これはおかしいと思ったのが、猫神社でしょうか。

 「本来こういう場所は厳粛であるべきなのに、真剣さが感じられない」とリポーターの彼が言っていたんですよ。招き猫の信仰はいいんですがねぇ、なんだか招き猫ダンスを踊っているラッキィ池田さん(かな?)の映像が映し出されて、それが境内の中にあるのを見たときはね、ちょっとこれやりすぎじゃないのかなぁ、ふざけいているというのか、猫神を冒涜しているような気がしました。
 その点だけは映画の作者やリポーターに全面的に賛成してしまった。「真剣とは思えない・・」そのまんまでしたね。


 ビジネスも、地域貢献もいいけれど、神社であまりふざけすぎるのはなしじゃないかなぁ。

 日本の猫文化、好ましいものではあるんですがね。猫を利用しすぎておかしな方向に行ってしまうことも、もしかしたら多々あるのかもしれませんね。

 
 ということでまとめです!

 日本の猫文化を紹介するドキュメンタリー映画を見たら、何でもかんでも猫に依存する日本人と日本という国が等身大に映し出されていて、ちょっと引いた。
 猫を愛する文化が、肥大化し過ぎて、逆に猫にとってはちょっと好ましくない状況になっているような気がしないでもなかった。本当に猫を愛しているのかという疑問も残った。
 しかしそれでも猫ととともに生きて逆境を乗り越えていこうとする日本人の逞しさと、なんでも楽しもうとする多様な精神力には驚かされるものがあった。
 紹介するリポーターや監督は「日本は狂っている」と結論付けたいようだったが、そうした意図の作品の中においても、日本のユニークさは奇才を放っているように思えてくる。
 猫好きな方は逆に見るのは辛いと思う。日本を好きになりたい方にはオススメ!


 
 今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

 素敵な時間を過ごされますよう。
 願いを込めて。





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