愛について語る時、鳥男は空を飛ぶ「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」


 こんばんはー

 緊急事態宣言発令中。コロナ禍驀進中。

 というわけで、殆ど自己記録的な今日もmovie日記です。

 今日は書くことないなぁ、いや、バードマンという映画を見たんですがね。これがまた・・・なんというのか、結末の解釈が分かれる映画なんです。物語自体も、現実なのか妄想なのか、見るものによって異なる捉え方ができる。こういう映画って、見るものを選びますよね。あなたなら、どうこの映画を見ますか?と言った感じに・・・



 「バードマン」

 アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督。エドワード・ノートン、マイケル・キートン、エマ・ストーン出演。

 【あらすじ】

 かつてコミックヒーロー実写映画のバードマン(鳥男)の主人公として名を馳せたリーガンは、落ちぶれた今でも、当時の栄光が忘れられずにいる。昔の彼(鳥男)は幻影や幻聴となって、彼を超能力者=特別な人間であるよう(空を飛ぶよう)駆り立てるのだった。リーガンはそんな自分と決別しようと、再起を賭けてブロードウェイの舞台に挑戦する。まだバードマンになる前、青春時代に傾倒したレイモンド・カーヴァーの物語を主演、演出、脚色をして、幼稚な大衆娯楽映画のイメージから脱皮し、本物の役者の道で認められることを望むのだった。だが、代役で実力派俳優のマイクが加わったことから歯車が狂い始め・・・




 アメコミヒーローの鳥男、リーガンがマイケル・キートン(バッドマン俳優)なんですよね。
 で、実力派俳優が、エドワード・ノートン(誰もが認める実力派俳優)。
 もうこの役者二人を選んだ時点で、そのまんまじゃないですか、役と実際がリンクしているというのか・・わかりやすいというのか。
 で、映画の方も、殆ど舞台なんですよ。映画2時間をワンカット超長回しのカメラワークで繋ぐんです。普通やりませんよね? おかげで見ている者は、演劇を見ている感じとほぼ同じ感覚を味わいます。
 2時間ずっとリーガンが再起を賭けた演劇、レイモンド・カーヴァーの「愛について語る時、我々の語ること」を演じている演劇を見ているようなんです。

 ですが、そこに異協和音が入ってくる。鳥男の妄想シーンです。ビルをつん裂く轟音に、悪役怪獣の悲鳴・・・ そして、空飛ぶバードマン。




 なんなんですかねぇ。
 再起を賭けて、バードマンになる前の自分に戻りたい、本物の役者になりたい、と思っているのに、スターだった頃のプライドやら名声やらが追っかけてきて、本人の精神世界もぐちゃぐちゃといった感じです。しかもそこに本物の「本物の役者」がライバルとして出現してしまうから困りました。彼が再起を賭けて全財産をはたいて作った芝居を、主役を、一瞬で食ってしまうマイク(エドワード・ノートン)。しかも、彼の愛する娘まで食ってしまうんですね。




 娘の熱ーい視線まで、マイクに奪われてしまった!
 ただでさえ落ちぶれた今、娘にコケにされて落ち込んでいるというのに・・・。娘に尊敬されたいパパは、これはコタエタようです。




 落ち込んだリーガンは、愛について語る時・・・の役者そのものになることに決める。
 たとえ死んでも、役と同化して、役をものにする(鳥男を超える!)と決意するのですが、・・・いや、決意したかどうかは不明です。精神世界ぐっちゃぐちゃで、もしくは、役に入りすぎて本当に死にたくなったのかもしれませんが、自殺する役の舞台で本物の拳銃を持ち出しちゃうんです。

 ところが、撃ったのは、頭ではなくて、鼻。
 鼻高々の、鼻であしらう(英語でもそんな表現があり)のあの鼻ですよ・・・
 舞台の上で拳銃をぶっ放し、役になりきって、ブロードウェイで真の役者の評価をやっと得て、そうして、鼻が吹き飛びました。鼻と引き換えに、ついに「新しい自分」を手に入れたのですね。



 私生活でも、愛という名の・・・よろしく真実の愛を奥さんに打ち明けて、長年のわだかまりを解消させます。奥様に愛を打ち明けるシーンは、長回しの芝居を見ていた私たちには最高のクライマックス。

 ところが、最後の最後に、この鳥男のリーガンさん、なんとまぁ、飛んじゃうんですねー


 なんじゃこりゃ。という感じに、空を飛んで、エンロドールです。

 しかも、飛んだ姿を見たのは娘だけ、実際に飛んでいる画像はないんですが、劇中の超能力シーンがすべて妄想と示唆するセリフなどがあったことを考えると、絶対に、実際に飛んではいないと思います。死んじゃったんだろうなぁ。


 せっかく鼻と引き換えに、一回り大きな、成長したヒューマンになったと思ったら、最後に、バードマンに戻っちゃうってなんなの??? という感じの映画でした。

 この辺り、レビューを見た方々が、いろいろそれらしい解釈をしていらしたんですが、わたし的には、どれも??? という感じで。よかったら、見たら、訳を教えてくださると嬉しいです。


 なんですかねぇ、やはりバードマンの魅力は捨てがたかったんでしょうか。

 鳥男こそが真実で、本物の役者になろうとしたのは虚構や欺瞞だったんですかね。



 ということでまとめです。

 マイケルキートンそのまんまのバードマンを見たら、面白かった!

 実力派俳優のエドワードノートンが本当に上手くて感激した!

 長回しワンカットのようなカメラワークが斬新! まるで二人の演劇を、一本の映画を通して、見ていたよう。

 アカデミー賞4冠、作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞はダテではない!


 中二病の鳥男を正当化したラストには驚きましたが、たとえ鼻をへし折られても、人間は羽ばたく(飛ぶ)べきである、と読めないこともありません。

 ・・・でも死んでまで???(あれは本当に奇跡が起きて飛んだんだよー)

 その辺の結末の謎かけを含め、面白い映画ですので、ぜひご覧になってみてくださいませ。

 (アマゾンプライムで無料です)


 ではでは、素敵な時間を過ごされますよう。

 願いを込めて。

 

 



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