夜明け前の福島旅行編① ~あかべぇと八重の桜~



 
 今日から、昨年末から年始にかけて福島に出かけた時のことをお話します。

 そもそも、なぜ年末年始に福島か、と言えば、楽天トラベルで安価な宿泊施設を見つけたからです。いかにお金をかけずに、旅行を満喫できるか否かは、私にとって旅する意義の中での大きな要因を占めています。お金さえかければそれなりに楽しめますので、そこを排除して計画を立て、成し遂げられた時に喜びを感じるようです。
 私は時々金銭価値に見合わない失敗をします。計画が足りなかったからだ、と悔しい思いをします。また、お金の価値自体が、等価交換できるものに物質的な意味とは異なる付加価値が、・・たとえば精神性という・・ 価値が加わり、ここ数年で著しく変化していますので、どこが本来の相場なのか、それを考え知るのも楽しいといったところでしょうか。

 私の福島旅行は、楽天トラベルで安い宿泊施設を見つけたところからスタートしました。
 思えば、ずっと福島に行きたいと思っていました。様々な要因がそれを阻んでいました。偶然、宿泊施設を見つけて、申し込んだ時、私は後ろからぽんと背中を押されたような思いがしたものです。今こそ、行ってこいよ、と。

 私は宿泊の日付を31日に決めました。今年初めの朝日を、ぜひ福島の海岸沿いで見たいと思うようになりました。福島の海から昇る朝日が見たい。1年の始まりの眩い日の出をそこで見ることが叶ったら、来年は私たちにとって希望を溢れる1年になるのではないかと思われたのでした。
 

 福島の朝日に向けて、私は俄然、計画を進めました。天気予報は雨または雪。幸運の女神はそう易易と微笑んでくれそうにもありませんが、かといって100%諦めることもありません。いつでも人は、分相応の奇跡が訪れるものです。

 次は交通手段です。福島は(東京の)目と鼻の先なので、当然「新幹線」なるものは使いません。新幹線と同じような乗り心地を気持ちよく味わえる、別の手段を探すわけです。
 この等価価値については、個人差があるでしょうから、絶対新幹線や飛行機は無駄だとか、代わりにこちらがいいとは言い切れません。が、あくまでも私の価値観の中でのおすすめは、「青春18きっぷ」+「グリーン券」です。

 青春18きっぷは、言わずもがなの有名な「旅客鉄道会社線(JR線)の普通列車が1日乗り放題となる、期間限定の特別企画乗車券」です。普通・快速列車の自由席に限って、グリーン券を別に購入すれば、グリーン車に乗車することができます。また、18きっぷは改札を出ない限り、1枚のグリーン券で列車を乗り継ぐことが可能です。
 
 宇都宮までの湘南新宿ラインで、この18きっぷ+グリーン券を使います。湘南新宿ラインは距離が長いので、プラスグリーン券料金で、快適な旅を楽しめること出来るのです。
 

 青春18きっぷとは
 ・駅ねっと普通列車グリーン料金のご案内

 
 宇都宮から黒磯は普通列車で約1時間、黒磯から郡山がやはり1時間です。この間の東北本線がまた味わい深いのです。懐かしい向き合わせの座席の電車、まばらな乗客。旅の旅情を感じさせられます。
 私は日暮れ時の黒磯駅で、行き先を示す郡山の指標を見上げて、感無量となりました。あと1時間だ、ついに来た。

 ちなみに、湘南新宿ラインや東北本線意外にも、特急料金を少し上乗せすれば、快適で楽しい列車がたくさんあります。
 AIZUマウントエクスプレスもそのひとつです。会津鉄道が保有する優等列車用の車内設備を備えた気動車です。JR東日本の喜多方(土日のみ、平日は会津若松)~鬼怒川温泉間、会津若松~東武日光駅間を1日4往復だけ運行します。

 ・AIZUマウントエクスプレス
 ・会津鉄道(株)AIZUマウントエクスプレス


 こちらは特急料金もいりません。東京から会津若松に行く時は、新宿からのJR特急きぬがわ(特急料金有り)と組み合わせて、鬼怒川温泉から乗るとよいでしょう。



日暮れの黒磯駅で感無量に・・・ あと1時間で福島県です

郡山~会津若松間のあいづライナー 車体に「あかべぇ」が


 郡山~会津若松間からは快速あいづライナーを利用します。こちらは車体に会津のマスコット「あかべぇ」がペイントされています。俗にあかべぇ車と呼ばれています。
 
 あかべぇは会津地方の郷土玩具「赤べこ」から作られました。
 ちなみに、赤べこは魔除けの福牛のことで、その謂れは、1611年の会津を襲った大震災のあと、圓蔵寺再建のために、絵馬から出てきてた赤牛が、牛の群れと協力して材木を運び、大材を持ち上げて、見事な虚空蔵堂を建てることができたことから、今に伝わっているそうです。

 なお、この「あかべぇ」ですが、ごくまれに「あおべぇ」もあります。快速あいづライナーに代走使用される583系電車のことで、こちらがまた人気が高いのだとか。


 こちらがあおべぇです。


 
あおべぇ クリックすると元記事へ

あいづライナーで会津若松に到着

改札もあかべぇ(あいづライナー)ペイントです

ようこそ、会津へ あかべぇがお出迎え

会津駅前の赤べこ



 会津若松から今夜の宿がある、会津高田へと向かいます。ユースホステルの予約を入れてありました。そこでお安くて家庭的な夕飯を頂く予定だったのですが、訳あって到着が遅れてしまいます。昼過ぎに5時半着の予定が8時半頃になる旨を宿にメールすると、「8時に(会津高田)駅まで迎えに行きます」との返事がありました。

 夕飯はキャンセルになってしまいました。急きょ只見線・会津高田駅行野電車が来る前に、会津若松駅構内で地元のニシンを使ったお蕎麦を食べることにしました。

 初めにお金の価値の話をしましたが、ユースホステルの300円の夕飯を食べ損ねたことは、私にとって、300円に代え難い、高い授業料でした。これは、それを学ばせて頂いたのだと考えました。また、会津駅の会津ニシン天そばが美味しかったので、これを頂くために、食べられなかったのではないか、とか。
 いえ、おそばについてはいささかこじつけすぎですが、まぁ、会津ニシンは本当に美味しかったですし、ユースホステルについても、あとになってずいぶんと思うことがありましたので、とりあえずこの授業料は私のためになくてはならなかったものだと思います。
 
 

駅構内のそば処 立ちあおいさん

会津名物・ニシン天そば 見た目はイマイチですが
味付けニシンが美味しかったです

磐越西線でよく利用されるキハ47形 昨年のダイヤ改正以来、
只見線の車両ともよく連結されている

只見線に乗り込みました。雪~雨が降っています。



会津高田駅 クリスマスのイルミネーションが




 会津高田駅に到着しました。クリスマスイルミネーションが残っていました。
 迎えに来てくれたユースホステルの主人に、遅れたお詫びと食事を無駄にしてしまったお詫びを言いました。キャンセルでも食事代を払ったほうがいいのではないかと尋ねると、(伝えたのが早かったので)それは大丈夫ですと快く許してくださいました。

 私は喋りながら、車が道を曲がるたびに窓の外の景色に目を凝らしています。明日の朝、日の出前の6時には宿を立つ予定でしたので、暗い道を1人で歩けるように、少しでも覚えようとしているのでした。

 外はさみしい田舎道で、街灯もありません。田んぼが広がっているはずなのですが、車窓からはほとんど見えませんでした。あっという間に、積もった雪に囲まれた白っぽい住宅の玄関に到着しました。ホステルの外観さえもわかりません。なんの風情も情緒もなくて、またしてもがっかりしてしまいました。田園風景の中に佇むユースホステル、私は出発前にテレビでユースホステルの特番を見ていて、その牧歌的な光景から湧き上がる温かい心情をとても楽しみにしていたのでした。

 「今日はたくさんのお客さんがいらっしゃいますか」
 「・・いえ、そうでもありません」

 車の中で、主人に尋ねたところ、妙な間がありました。嫌な予感がします。到着すると、すぐに食堂に案内されて、お会計となりました。カウンターから台所の中が見えて、ホステルのご婦人と、手伝いらしき若い青年の姿見えました。(洗い物をしているようでした)それで少しほっとしました。人手がいるくらいですから、他にも予約は入っていて、まさか私のためだけに宿を開けたわけではないようです。振り向けば、食堂のとなりの団欒ルームには、男女の姿も見えました。

 「・・4800円です」
 「はい?」

 突然主人の言葉が耳に入って、びっくりしてしまいました。ユースホステルは3000円とお安いので予約したはずでした。後で調べたところ、5千円前後は相場らしいのですが、その時は、寝耳に水でした。ユースホステルの会員ではありませんでしたので、非会員料金や暖房費が部屋代に上乗せされるそうです。

 日本のユースホステルは、1970年代以降は減少の傾向にあります。ホステラーも高年齢化し、また施設側も若者よりも手堅い社会人の層を主な顧客として運営する経営方針に変わってきていると言います。
 そのせいなのでしょうか、明らかに施設の設備やサービスにそぐわない価格でした。いやいや、ユースホテルだけに、ビジネスホテルでは味わえない人情味が・・ と言いたいところですが、後になって、団欒ルームの男女がサクラだと気がつかされてしまいます。私と目があうと、女性がにこりと微笑まれて、「こちらへいらっしゃいよ」という視線を送ってきます。男性の方は、突然フォークギターで古いフォークソングを奏で始めました。二人で微笑みながら口ずさんでいます。
 おそらく、その世代の顧客には人気があるのかもしれません。残念ながら、私は心温まる体験も、人情味も感じることはできませんでした。
 このブログの読者の方にはここのユースホテルはお勧めできません。
 写真だけご紹介させていただきます。

 それにしても、日本のユースホステルの未来は大丈夫でしょうか。ヒューマンとしてもプロとしても、どちらの路線も中途半端です。どちらの道筋をつけたいのか、さっぱり見えてきません。

 私は期待していたユースホステルの不甲斐なさにがっかりしながら、ふと、その憤りや杞憂がまさに自分に当てはまるということに気がつきました。
 いや、人のふり見て・・ ではありませんが、それは私のことだなぁ・・と。

 まさかユースホステルで、自分の道について、考えさせられるとは思いもしませんでした。翌日の夜、郡山のビジネスホテルに泊まった時、両ホテルのあまりの違いに愕然とし(郡山のコンフォートホテルは設備もサービスも行き届いていて、しかもユースホステルよりお安いのでした)、私の思いは最高潮に達しました。
 これには本当に、価値以上の授業料を払わせていただきました。



 
ユースホステルの部屋


ロビー 暗いです

ロビー 右手が玄関

食堂

食堂 奥が団欒ルーム

正面に読書ルームがあります

私の好きな漫画を発見
読書ルーム

入会するには2,500円かかります



 さて、翌朝は6時にホステルを出発しました。三脚をつけたカメラを担いで、宿の主人や客を起こさないようにそっと出ます。外はまだ真暗でした。長時間シャッターを開いて、苦労しながらホステルの前の田園風景を撮っている間に、次第に空が明るんで来ます。朝の散歩の方々とすれ違い、挨拶を交わしました。スマートフォンの「日の出日の入りマップ」というアプリを開いて、朝日の方角を確かめます。けれど、東の空は朝焼けもなく、西や北の空と同じように雲に覆われているのでした。実を残した柿の木と、雪の積もった田畑、住宅沿いの道を行きます。

 結局、日の出は見れませんでした。光が射す気配さえありません。私はホステルにメモを残し、「朝日を撮りに行きますので、(ご挨拶せずに)早めに出ます」と書いてゆきました。ここ数日の低気圧で、雨と雪が続いていましたので、さぞや「朝日なんて見れるはずもないのに」と呆れられたことでしょう。そんなことを書かなければよかった、と自分を恥ずかしく想う気持ち半分と、あとの半分は、お念仏のように、唱えるのでした。「それでも朝日を見に行くのだ」。

 福島の朝日は私の中でどうしても希望と重なります。100%見れないと言われても、どうしても見に行かなくてはいけないのだ、と言い聞かせているのでした。

 会津高田駅で学生たちと一緒に会津若松へ向かいます。目的は鶴ヶ城です。駅前の中央通り商店街の景色を見ながら、歩きました。お城の前に着いて、まず驚いたのは、お濠の水が凍っていたことでしょうか。



やっと見れたホステルの外の景色


田畑が続きます

会津高田駅

ホームで電車を待ちます

只見線のキハ40形が到着です

会津若松駅


お濠の水が凍っています。雪道みたいでした

武道奨励の道場 武徳殿

椿坂前で、鶴ヶ城天守閣を見つけました

鶴ヶ城天守閣



 あまり認識していなかったのですが、まるで雪道みたいに凍ったお濠を見て、やっぱり福島の冬は寒いのだなぁと実感しました。
 開城前の鶴ヶ城を大急ぎで撮って引き返しました。10時までに猪苗代に行かなくてはいけませんでした。


 会津若松駅と鶴ヶ城に行くまでの商店街で、大河ドラマ「八重の桜」の広告を何度も見かけました。福島旅行の行く先々で見かけました。
 なので、鶴ヶ城と関連して、「八重の桜」の舞台のお話を少ししておきたいと思います。

 物語の背景は、幕末から日清、日露戦争の激動の日本です。日本の夜明け、と言われるように、日本が欧米の列強に学んで近代化を図った時代、歴史上最も大きな変化を遂げた大切な時期ですね。
 主人公の八重は、会津藩の砲術師範であった山本家の娘として生まれました。鶴ヶ城が全国に知られているのは幕末の戊辰戦争(日本最後の大きな内戦です)のせいですが、この戊辰戦争の際、八重は仲間と共に鶴ヶ城に立てこもり、城を守るために銃を持って戦い抜きました。女だてらのその姿は、「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれたそうです。
 八重は会津武士道の魂を最後まで守り抜きます。アメリカ帰りの新島襄の妻となり、西洋風の暮らしやドレスに身を包んでも、義に生きる会津の頑固女ぶりを貫きます。男尊女卑の社会からくる批判に負けず、義が道を歩み続けます。
 維新後は、会津の仲間たちと共に、篤志看護婦として(篤志看護婦は自ら志願して戦地に赴き負傷者の手当をした婦人たちを言う)日清戦争、日露戦争に同行します。
 戦う女武士から、今度は戦う者たちを守る存在として、最後まで義のために奉仕しました。

 
 鶴ヶ城の開錠は8時半から午後5時まで。入場料金は大人が400円、子供が150円です。この金銭価値は、大河ドラマも始まっての人気を考えると、とてもお安いですよね。
 私も天守の中にぜひ入ってみたかったです。幕末のジャンヌ・ダルク、ハンサムウーマンの八重にぜひあやかりたかった。次回はもっとのんびり巡りたいと思います。

 鶴ヶ城(会津若松城) 

  
 
お城の前の稲荷神社
階段脇に雪よけの傘をかぶった稲荷さまが並んでいます
この稲荷さまは子どもを守っている姿が印象的でした

梅坂から西出丸の脇道を通って西若松駅へ

西若松駅


構内から線路を見下ろして お正月の飾りがありました

只見線到着

快速あいづライナーで猪苗代へ

雪景色です!

雪景色です!

猪苗代到着

ストーブで温まりながら湯の花羊羹をいただきます

猪苗代構内 ストーブのある構内って懐かしくていいですね

猪苗代駅

駅レンタカーで、今回の旅の相棒、ホンダの軽と出会います



 只見線と磐梯線に乗って、猪苗代湖に到着しました。
 さて、ここからが本番です。2012年最後の1日、そのカウントダウンが始まります。

 猪苗代湖で、レンタカーを借りていました。旅の相棒となったホンダの軽自動車と出会いました。この相棒に乗って走り出した瞬間に、ちらほら降っていた雪が深まって、次第に福島は吹雪となってゆきました。
 それは、北国育ちではない私にとって、ちょっとした驚きの連続だったのです。






 



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