美しいアルプスという人生。特別ではない男の「ある一生」

 

 こんにちは!

 週に一度のアマプラ鑑賞会。

 今回はオーストリアの美しい山々を舞台に描いた、「ある一生」という映画を観ました。

 

 一人の人生を三人の役者さんが演じているのですが、とても自然で、同じ方に見えてしまうほどでした。

 真っ直ぐに見つめてくる視線、歩き方、優しい笑顔。

 同じ一人の一生だとよくわかりました。






 「ある一生」


 原作:ローベルト・ゼーターラー

 監督:ハンス・シュタインビッヒラー

 出演:シュテファン・ゴルスキー、アウグスト・ツィルナー、ユリア・フランツ・リヒター


 【あらすじ】

 1900年頃のオーストリア・アルプス。孤児の少年アンドレアス・エッガーは、渓谷に住む遠い親戚クランツシュトッカーの農場へやって来る。しかし農場主にとってアンドレアスは安価な働き手に過ぎず、虐げられながら暮らす彼の心の支えは老婆アーンルだけだった。アーンルが亡くなるとアンドレアスは農場を飛び出し、日雇い労働者として生計を立てるように。やがてロープウェーの建設作業員となった彼は最愛の女性マリーと出会い、山奥の小屋で幸せな結婚生活を送り始めるが……。(映画.comより)

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 ・山は人生のメタファー

 映画の最後に、「私に山を与えてくれた父に」とテロップが流れます。

 また、レビューでそう書いていた人もあったように、アルプスの山の景観は「人生のメタファー」として描かれています。

 息を飲むほど美しく、でも厳しく、愛する人を時に無慈悲に奪っていきます。

 クライマックスで、牧歌的な渓谷が若者(鮮やかなスキーウェアを着た)で溢れて、主人公のアンドレアスがここがどこだかわからなくなる、そして、渓谷のバスの終点まで逃げたくなる、というシーンが印象的でした。

 彼はバスの中で自分の人生を走馬灯のように振り返ります。

 一見すれば、どこにでもある平凡な男の、静かな一生。

 なのに、この回想が強く心に迫ってきます。


 ・真っ直ぐな視線が胸を打つ。 

 次に印象的なのは、主人公の真っ直ぐな視線です。

 子供の頃から主人公はほとんど言葉を話しません。養父に、お仕置きされても、「なぜ泣き叫ばないのか」と苛つかれて、余計に痛めつけられるほどでした。

 言葉よりも見ることに重きを置いている映画だと感じました。

 それゆえに、美しい自然の景色や、主人公の無言の眼差しは、時に観るものの心を強く揺さぶってきます。

 下は、「山はメタファー」と表現していたレビューの方の言葉です。

 「真っ直ぐな目線に突き動かされるかのように、観ている我々も自らの生き方を省みたくなるような問いかけが、この荘厳な力作には無言のうちに込められているように感じた。

 私もその言葉通り、自分のこれまでの歩みを振り返らずにはいられませんでした。

 そして、言葉にはならない様々なものを、感じることができた映画でした。

 例えば、亡き妻マリーへの消えることのない愛。

 厳しくも美しい山々、そんな自然の中で孤独に生きる彼が、唯一心の拠り所にしていたのが妻のマリーでした。

 アンドレアスは、天国にいる妻へ、静かに手紙を書き続けます。

 人前では寡黙な彼ですが、彼女にだけは饒舌なのです。生きている時も、死んだ後も…。

 その一途な姿に、言葉以上の重みを感じました。

 アンドレアスの死後、棺桶を入れるときに、

 一瞬映し出される、マリーへの山ほどの手紙。

 彼が生きた時間のすべてがそこに詰まっているようで、思わず胸が熱くなりました。


 ・最後に・・・

 おそらく、この美しい山を舞台に選んだ時点で、原作者も監督も幸せな男の人生を描いたはずなんだろうと思います。

 人生は奇跡のように美しい。

 でも、あまりにも自然は厳しくて、大きかった。

 そして、人生は試練の連続で、孤独(ちっぽけ)です。

 人の一生の儚さを思い知ったような気持ちがしました。


 

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 今日も心穏やかな一日を過ごされますように。

 願いを込めて。





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