真実を裁くのは誰か? 映画ショウタイムセブンと報道のリアル。
こんにちは。
最近、報道をめぐる出来事が立て続けに起きていますね。
中居正広さんの第三者委員会への反論が話題になるなか、渡辺渚さんの鋭いコメントも話題になっています。
「加害者は呼吸するように嘘をつき、都合のいい解釈を繰り広げる」
というものです。
この文面を見た時に、呼吸するように嘘をつき、都合のいい解釈を繰り広げているのはどちらなのだろう、という思いがふと頭をよぎりました。
実際、中居さん側は、第三者委員会に都合の悪い解釈をされて、人権も何もあったものじゃない犯罪者と断罪されているわけですが・・・
さて、真実はどこにあるのか。
今の時代、世論という力が人を裁く武器にもなりえる・・ そんな現実を投影するかのような映画を今日は見ました。
韓国の映画の「テロ、ライブ」をリメイクした「ショウタイムセブン」という阿部寛さん主演のヒューマンサスペンス映画です。
「ショウタイムセブン」
監督:渡辺一貴
オリジナル脚本:キム・ビュンウ
主演:阿部寛、竜星涼、井川遥、吉田鋼太郎
【あらすじ】
午後7時、ラジオ局に1本の電話が入り、その直後に発電所で爆破事件が起こる。電話をかけてきた謎の男は交渉人として、ラジオ局に左遷された国民的ニュース番組「ショウタイム7」の元キャスター・折本眞之輔を指名。これを番組復帰のチャンスと考えた折本は生放送中の「ショウタイム7」に乗り込み、自らキャスターを務めて犯人との生中継を強行する。しかしそのスタジオにも、すでにどこかに爆弾が設置されていた。自身のすべての発言が生死を分ける極限状態に追い込まれた折本の姿は、リアルタイムで国民に拡散されていく。(映画.com)
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・感想は・・・
主人公は、ラジオ局に左遷された元人気ニュースキャスター。犯人からの犯罪予告の電話を受けて閃きます。このネタを利用して、またTV番組に返り咲こうと目論むのですが、利用されたのは自分の方で・・。
と、この展開が無駄がなくてとても面白いです。
犯人は元発破技師であり、時限爆弾を作ることに長けています。火力発電所を爆破させてテロの様相となり、生番組は大混乱です。元ニュースキャスターが人気TV番組ショウタイムセブンを乗っ取ってスタジオに入ってからは、スタジオに時限爆弾があることも知らされる。この辺りからありえない展開になってきます。
犯人を知るという人物が急に登場したり。彼が死んでしまったり。
展開が急すぎるうえに、キャラクターに説得力が感じられず、ついつい眠くなってきてしまいました。
命懸けのショウタイムが過激になりすぎて、その辺りについていけなった、という感じですね・・。
・印象的なところは・・・
ただし、一点だけこの映画のメッセージとして良かったと感じたのは、「視聴者の世論が起爆装置になりうる」という点を描いていたことです。
阿部寛演じるキャスターの生死を決めるのが、ショウタイムの世論調査であるように、世論が生み出す空気が人を殺す時代の恐ろしさを感じさせられました。
それが、実際の時限爆弾の起爆装置の怖さとリンクして、とても良かった。
また、報道番組は真相を語れるのか、というような社会派路線も一応描かれていて、そこも見応えがあったと思います。
ただ、最後に、問題の着地点が、個人へのお仕置きのようになってしまい・・、責める側の犯人も、(政治も癒着も、社会システムの闇よりも)お前が憎い、お前個人が許せない、というような主張をするのですね・・。
まるで、トカゲの尻尾切りや、魔女狩りで終了というような・・
そういうオチにしないと、こういう報道の真相の闇に切り込んだ作品は作れないのか、と少し残念な思いがしました。
・最後に・・
犯人が報道生番組を乗っ取るというのも、(ハリウッド映画で見た気がしますが・・)面白いし、報道の闇を暴くというのも良き社会派路線なのに、重ね重ね「惜しい」という印象です。
阿部寛さんが少し役に合っていないというところも・・ ニュースキャスターとして、顔で心情を訴えるというような場面が多々あるのですが、残念ながらお顔で勝負できていないという印象を受けました。
阿部寛さん、二枚目すぎて、お顔の微妙な表情が見えづらいですよね??
・最後に冒頭のニュースに戻ります
さて、映画の話はここまでにして、冒頭に触れた渡辺渚さんの話題にもう一回戻りますね。
真相は二人にしかわからないと思いますが、被害者と加害者は、映画の中の報道番組のショウのように表裏一体で、相対的に判断されるものであり、わかりにくいものだと思います。
自分の言葉が自分に返ってこないよう、因果応報のブーメランには気をつけていただければ良いなぁと思いますが、どうでしょう。
真実を作るのは世論だとしたならば、もしかしたら、それを味方につけるために必死なのかもしれませんが・・、
おそらく時が答えを出してくれるだろうと思うので、しばらくは静観したいところです。
決して、映画のように、爆弾の起爆装置は押さないようにしたいと思います。
さて、今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
真実とは何か、報道とは何か、そんな問いがふと胸に残る作品でした。
もしよかったら、みなさんのご意見もぜひ聞かせてくださいね。
今日も温かい時間を過ごされますように。
心を込めて。