原爆の父、オッペンハイマーの映画を見る。
こんばんは!
今日はオッペンハイマーという映画を見ました。原爆の父と言われた男の話です。
被爆国としては複雑ですね。途中何度も日本、広島、長崎、という単語が出てきます・・
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3年間、4000人、20億ドル。
これが原爆開発に費やした年月、人、金だそうです。
それを無駄にするのか? (イコールもう戻れない、失敗なんてありえない、成功させるしかない!)的なセリフが何度か出てきて、被爆国としては辛いですね、見ているのが。
それくらい!とどうしても思ってしまいます。たった3年間、たった4000人、たった20億ドルじゃないですか。それくらい無駄にしてでも、引き返して欲しかった。そう思ってしまいます。
ところが、主人公オッペンハイマーたちは、無駄にできないと突き進んで、泥沼に落ち込んでいく。
広島、長崎に無事投下されて、原爆の威力が発揮され、証明された後、お祝いのスピーチのシーンがあって、そこで皆が喜びを爆発させるわけですよね。
「3年間、4000人、20億が無駄にはならなかった」とね。
このシーンがことさらグロテスクに(オッペンハイマーの幻想的に)描かれていて、それだけが救いなのですが、やはり残酷だと思いましたね。
ああ、喜んじゃったよ・・・的なね・・・
悪魔の所業を祝っちゃったよ、的な驚きですよね。
自分のしたことは自分に戻ってくるものですから。この後どんな事態になるかと思いきや、やはりそれ見たことか的な末路が待っていたわけで。
原爆を開発して、武器として使用することを成功させて、悪魔の所業を成し遂げた科学者たち、強いてはオッペンハイマーがその後、運命に翻弄されていくというのか。
まるで化学反応を繰り返して莫大なエネルギーを作り出す死の武器そのもののように、もうどうにも誰にも止められなくなってしまう。
原爆を成功させた後は、原爆の650倍近い威力を持った水爆を発明せざるをえなくなり、主人公オッペンハイマーは流石にそれは断って追放されるわけですが、結局アメリカは作っちゃった。水爆実験を成功させるわけですよね・・ああ。
その罪悪感に苦しみ続けるオッペンハイマー、そして水爆を反対したオッペンハイマー、彼の善良な心、良心がまだ残っているのがむしろ不思議に感じられるほどの映画でした。それほど清々しいほどの悪魔の所業を描いた映画ではないでしょうかね・・・。
とても長く感じられるのですが、中盤からはあっという間で、罪悪感の心理描写と絡めて、後半サスペンス調になっているところは見応えがあります。
何か見応えのある映画を見たい時に、ぜひお勧めしたいと思います。
一つ気になったのは、原爆成功シーンの原爆がCGを使わず、やけにしょぼいところですかね・・ 俺たちの作ったものは、こんなしょぼい爆弾なんだよ、だから許してくれよ、的なね、大罪から目を背けて、逃げているような気がしてなりませんでしたね・・。
いや、いや、死の灰降っているから。
皮膚の肉が溶けて流れてるから。
どう見ても、いくらしょぼく撮っても、ものすごい悪魔の所業ですから。
と思わず突っ込みたくなりました、すみませんね。
それにしても、この映画を作ったのがアメリカだというところには評価をしたいと思います。自分たちのしたこと、成し遂げたことが偉業だけれど悪だ、という認識はあるらしい。
オッペンハイマーの追い詰められて、苦悩する様が救いではあります。
というわけで、原爆の父の映画を見たら、本人にもどうしようもないほど、大罪兵器開発がエスカレートして、制御不能になった点が面白かった。
その様はまるで核分裂のごとく、「俺たちが始めた」というラストのセリフがピッタリハマっていたと思う。
悪魔の所業に手を貸すと、悪魔に取り込まれる。もうまともな人生には戻れないのだなぁ、と感心した映画だった。
怖い国ですねぇ、アメリカ・・
アメリカ人は人情に厚く好きですが、アメリカに生まれてこなくて本当に良かった。(としみじみ思います)
さて、今日も最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。
素敵な時間を過ごされますよう。
願いを込めて。