星空と道徳法則 〜お休み中なので本を読んでます〜
引き続き、お盆休みです。
時間が多分にありますので、カント全集を引っ張り出してきました。
通販の古本屋さんで購入したもの。
少し読んでは眠り、また読んでは眠り、していたシロモノ。
いつかじっくり読んでやろうと思っていました。
わたくし、こう見えて、ドイツの哲学者イマヌエル・カントの大ファンです。
特に、「実践理性批判」という哲学書の考え方が大好きなのです。
哲学と宗教は違うとよく言われます。私も全く違うと思います。宗教は信仰であり、哲学は論理的なもの。宗教は神の教えを説いたもの、哲学は人間の道徳法則を論じたもの。宗教は書き換えのできない真理であり、哲学は時代とともに変わり続け、補完、更新されていくもの。
ちなみにカント以降も補完、更新され続けているんですけれど・・
私はカントの教えが完全だと思っていて、そのあとの哲学にはあまり共感が持てません。人気のあるニーチェも、ただの突拍子もない考えのように思えてしまいます。
で、私は哲学者というのは宗教をバカにしているのかな、なんて思っていたんですよね。神は死んだ(ニーチェの教え)、じゃありませんけれど、それ以前からずっと。そもそも神の存在というのは、哲学の論理とか彼らが生み出す真理の法則には無意味なんだろうと。
ところがカントがこう言ったんです。「神の存在を要請する」。
えっ? 神がいないと、完成しない真理って何?!
えっ? 今、神指命しちゃった? 何このおじさん。
という感じにですね、私の哲学に対する考え方が180度変わりまして。
カントの話を聞けば聞くほど、人間のための道徳法則というものは、神の存在があるという前提でなければ成立しえない、と深く感じるようになりました。
哲学って、理論をこねくり回しているだけじゃなかったんだなぁ・・・なんて。
この哲学と宗教の見事な融合と言いますか、いえ、カントの哲学の理論自体もホント最強で(ツッコミどころがないというか・・)ものすごいとは思うんですけれど、最後の最後にね、その理論を完成させるために、「神を要請する」と言ったところがね、もうノックアウトでした。
哲学って面白いですよね。
カントを知ってから面白いと思うようになりました。
カントって、神(宇宙の大いなる存在)と繋がっていた(繋がることができた)、数少ない人間の一人だったんじゃないか、と思ったりするんですよね。
偉大な宗教家とか、たまにそういう方がいらっしゃると思うんですが、カントもそうだった。
じゃないかな〜 なんて。
「我が上なる星空と、我が内なる道徳法則、我はこの二つに畏敬の念を抱いてやまない」
カントの墓碑にはこう書かれているそうです。