丹沢に行ってきたというと、「ああ、ハイキングね」なんて軽くいなされるんですが、なかなかどうして、丹沢は一筋縄では行きません。標高差があり、アップダウンが激しくて、難易度の高い山ばかりなんです。遭難率も高くて、今年のニュースでは全国3位でしたね。低い山だからって侮れないんです。
蛭ヶ岳にチャレンジするのは3度目です。前回2回は「山の日」に登っています。毎回、暑くて、死にそうになるんですが、今回は涼しかったので、結論からいつとかなり楽勝でした。
大倉バス停→塔の岳→丹沢山→蛭ヶ岳という縦走コースです。景色もいいし、この縦走コースが一番のおすすめです。ちょっと距離は長いんですが、他県の山にチャレンジする際のトレーニングにもなりますので、是非腕試ししてみてくださいね。
スタート地点は大倉バス停です。そこから鍋割山の登山コースの西山林道に入ります。通常は大倉尾根を使うんですが、大倉尾根は通称「バカ尾根」、階段が多くて、滑りやすい岩(砂利)が多くて、とても歩きづらい厳しい山道です。なので、私は登りでは避けています。
ざっくり言うと、この訓練所尾根の登りは終点の小丸尾根まで2時間かかります。(国土地理院の予測で2時間10分、体力により差があり)ちなみに私は、暑い山の日は2時間、今回の登山では1時間45分で着きました。
訓練所尾根は人気がありませんが、とても登りやすい登山道です。階段がほとんどありません。足場も大倉尾根のような砂利もなく歩きやすいです。昔は遭難者の多い道だったそうですが、今では整備されていて、標識もはっきりしています。よろしかったら是非(塔の岳登山などに)利用してみてください。
ちなみに、上の写真の小丸まで1500mまでは楽勝、ハイキングコースです。
小丸まで10000mの標識を過ぎたあたりから結構きついです。お気をつけて。
(それでもバカ尾根よりは足腰の負担が全然軽いですよ)
マメザクラが要所要所に咲いていて、とても綺麗でした。
小丸尾根近くまで来ましたが、展望が開けるところまで来ても、富士山が見えませんでした。今日は下界は曇りのち雨予報、蛭ヶ岳の標高付近で15時過ぎから曇り予報でした。お天気いまいちなのかな、これは昼が岳をやめて丹沢山で帰ろうかな、とふと思った一瞬です。
写真上、二俣から2時間近くかけて登ってきた小丸尾根の終点です。
ここからは下の地図のように、大丸→金冷し→塔の岳→丹沢山→いけたら蛭ヶ岳と進みます。
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小丸尾根から蛭ヶ岳までの地図 |
7時35分に大丸に到着しました。
ちなみに、4時35分に西山林道をスタートしています。西山林道で1時間かかり、二俣から小丸まで1時間45分、小丸から大丸が15分ですね。
国土地理院の予測はかなり余裕を持って書いてあるので、登山好きな方ならざっくり3時間と思っておけば間違い無いです。
大丸から大倉尾根との合流地点の金冷しまで10分くらいかな? あっという間に着きます。
ここから塔の岳まで0.6キロです。30分ほどですね。
途中でものすごい荷物を抱えて登っている方に出会いました。なんと塔の岳に7千回も登っているという方でした。挨拶をして、以外と気さくな方で、「小田原に来ない?」。
「小田原に何かあるんですか?」
「(懇意にしている)お寺で厄払いすれば、お小遣いあげるよ」
「(お小遣いって??)お坊さんなんですか?」
「いや、サポーターなだけ」
とのことでした。
よほど厄払いしたほうがいい人相に見えたのか。謎です。
「蛭ヶ岳行く時間があるなら行けるよ!」
激しくツッこまれてしまいました。蛭ヶ岳行くか丹沢山で帰ろうかや悩んでいたので、丹沢山→小田原で厄払いコースをオススメされてしまった感じです。あらら・・
さて、丹沢7千回の猛者を追い越して(なんせ自分の荷物しか持っていませんから・・・)、塔の岳(1491m)に8時到着です。
やっぱり富士山は見えませんねぇ。
塔の岳でイングレスをしていたらちょっと時間が経ってしまいました。
9時に丹沢山着が目標だったのですが、すでに8時20分になっていました。
ちなみに、塔の岳から丹沢山(1567m)は国土地理院の予測で1時間半です。ですが、大抵(普通に歩いていれば)1時間で行けます。
大急ぎで丹沢山へ向かいます。
登山道はラクダのこぶのようで、偽ピークが2つあり、アップダウンが激しいです。ほぼ標高は塔の岳と変わらないんですけどね。縦走の気持ち良さはあまりなく、かなりトレーニング向きの登山道です。気を緩めないように行きたいところです。
ですが、景色はいいです。
この日も丹沢山塊の向こうに、やっと富士山が現れて、最高の眺めでした。
9時20分、(だったと思います)丹沢山到着です。実は丹沢山に向かう途中で、また厄払いの7千回登山の方に遭遇してしまいました。相変わらず重い荷物を背負って、前を歩いていらっしゃいます。どうやら塔の岳で追い抜かれたようでした。えらいものだなぁ。こちとら自分の荷物で精一杯ですが・・・ また抜くのもはばかれたので、休憩を取って、やり過ごすことにしました。
9時20分丹沢山に到着です。丹沢山は富士山がかろうじて見えている、といった感じでした。さて、ここで帰るか、蛭ヶ岳に行くか。イマイチの天気が気になります。今年は遭難者も多いというし。気分は帰る方向に傾いていましたが、厄払いの方(山頂にいらっしゃいました)、「今日は丹沢山まで行く」とおっしゃっていたので、帰りにまた会ってしまいそうです。名刺までくださっていい方でしたが、厄払いしたい気分では無かったので・・・・
蛭ヶ岳に行ってこようかな。
ちょうど30代くらいのか弱そうな女性が、一人で蛭ヶ岳に向かう道を歩き出しました。あら、すごい。こんな天気の日に行くんだ。あんな子でも果敢に一人向かうんだから、私も行かなきゃなぁ、という気持ちになり、急いでおにぎりを一つ食べて、トイレに行き、後を追うように歩き始めました。一人じゃ心細いだろうに・・・と。
出発は9時30分です。
しかし、お天気はやはりいまひとつ。ガスっていて、先が見えません。時々ガスがサッと晴れて、また富士山が拝めました。
この先が見えない、というのは、こんなに登山にとって都合がいいものだとは知りませんでした。いつもはるか遠くに見える昼が岳山荘の立つ蛭ヶ岳山頂を、うんざりする思いで眺めて、「まだまだある・・・」と思いながら歩いていた。ところが、見えないものだから、全く先が長いのが気になりません。今のアップダウンの登山道だけ見つめて先を急ぎました。
丹沢山から蛭ヶ岳は3つのこぶ(偽ピーク)があり、塔の岳から丹沢山よりもさらにアップダウンが激しいのです。しかし、木々が少なくまるで芝生のような道が続きますので、とても気持ちのいい登山道です。
写真上。ガスが晴れて、蛭ヶ岳山荘が見えました。
途中、唯一の岩場、鬼が岩があります。鎖場もあるので要注意です。岩手の岩と比べて、小さく感じますねぇ。
ちなみに丹沢山塊の地質は石英閃緑(せんりょく)岩体という地質が中心になっていて、その中でもこの辺りは一番年代が古い(地層が下の)塔ヶ岳層群という堆積岩だそうです。1700万年前の火山の噴出物です。
写真上。振り返って丹沢山方向を見たところ。アップダウンわかります?
さて、か弱そうな女子と私は思ったより早く山頂に着きました。丹沢山から蛭ヶ岳は2時間の行程なのですが、10時53分、約1時間20分で到着です。
後ろに富士山が見えるはず、なのですが、この日も見えません。これで3回連続。蛭ヶ岳から富士山は、なかなか見れないレアキャラかもしれません。
行ってもし見えたら、かなりラッキーですよ!
それにしても、雨に降られないで本当に良かった。女子と二人で蛭ヶ岳山荘名物のカレーを食べることにしました。
蛭ヶ岳山荘のカレーは本当に美味しいので、登られたあかつきには是非食べてみてくださいね。ちなみに1000円です。らっきょうと福神漬けのサービス付き。
「天気の悪い日に来てくれたから」と管理人さんより、パイナップルのサービスがありました。やった、嬉しいです!
お写真どうもありがとうございました。
カレーを食べて、写真を撮って、休憩時間1時間のうちに、なんと空が晴れてきました!
レアキャラの富士山が急に出てきた。
「富士山見えてるよ!」
と東城さんが教えてくれたので、急いで写真を撮りに行きました。
すごいです。雲海の上に、後光を浴びたような発光しているような、まばゆい富士山が。
これ写真で見ると小さいですが、実物はかなり大きく見えました。
なんと富士山だけではなくて、その右隣には、南アルプスがずらり。
(写真、元のサイズに拡大して見てみてください)
こんなによく見えるのも珍しいと思います!
いやー、ゴールデンウィークはコロナのおかげもあり、ほぼこの山しか来られていませんが、最後にいいもの見れて良かった!
月曜日からの仕事に向けて、エネルギーをフルチャージさせていただきました。
丹沢たち、特に蛭ヶ岳さま、どうもありがとうございました。
丹沢のラスボス、蛭ヶ岳まで辿り着けたことにかなり満足できた1日となりました。
やっぱり山は元気になりますね。
なんだろう、現実の世界をしばし忘れて、浮世離れの極楽を垣間見せてもらったとでもいうのか。
あのちょっとした異世界を味わう素晴らしさは、やはり他の趣味では代え難いものですねぇ・・・・
山に興味があってこの記事を目にしている方もしいらしたら、蛭ヶ岳、何度でも行ってみてくださいね。私も是非また行こうと思います。
丹沢いいです。ちっこいくせに、意外と難易度高いところもいい。
(特に丹沢山から蛭ヶ岳の道のりは)深山の醍醐味が味わえるところがいい。
あー、丹沢がハイキングだなんて誰が言ったか。
(北アルプスじゃなきゃ山じゃないなんて誰が言うのか)
丹沢、ホント最高です。
また丹沢山、塔の岳へと続くアップダウンを繰り返して歩きます。
13時、丹沢山到着。13時50分塔の岳到着。
そして、14時10分、塔の岳出発です。
塔の岳で、女子と別れました。か弱そうに見えましたが、意外と心配するまでもない逞しい子だったような。
おかげで、行程が短く早く感じました。辛い登山も同行者があると楽ですねぇ。
「おかげで心強かったです」
と最後に言ってくださいました。一期一会の出会い、嬉しかったですね。
16時半、大倉バス停(スタート地点)到着です。
あー楽しかった! そして、終わってしまった。少し寂しいような気がします。
「簡単に考えるべからず、標高差は北アルプスや富士山の登山道に匹敵します!」
「谷が急峻で傾斜はきつく、登山道には階段が連続します!」
まさにその通りです。
んで、気圧の影響なのね。下界に着くと、手がパンパンに腫れてます。誰の手、これ?!ってくらいむくんじゃって。耳にも膜が張り、自分の声がよく聞こえません。
すごいね、あんなに小さい山なのに、気圧は全く違うんですからねぇ。
かわいい鹿さんのブローチ。女子が買っていたので真似しました、笑
良い思い出になった、買って良かったです。
気になるタイムは・・・ 10時間の行程(短かった!予想は13時間です)に、kmは35キロ、帰りは西山林道ではなくて大倉尾根から帰ったので、少し短縮できました。
カロリー2000近く消費してますよ。すごいねぇ、登山の威力ですね。
余談ですが、かなり便秘気味の私、登山途中からムズムズして仕方なくて、山を降りたら翌日どっさり出ました。便秘解消です。これも山から自然治癒のエネルギーをいただいたのかもしれません。
というわけで、まとめです!
ほぼ1年ぶりに丹沢のラスボス蛭ヶ岳に行ってきたら、意外と楽に行けて、達成感が半端なく素晴らしかった! 丹沢は小さいのでなめられやすいが、遭難率の高さとアップダウンの激しさ、そして深山の雰囲気は、他県の大きな山塊に劣らない難易度と魅力があると再認識した。良かったら、ぜひ蛭ヶ岳を訪れて、丹沢の真髄を感じて欲しいと思う。
蛭ヶ岳山荘のカレーは最高です!
ではでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
素敵な時間を過ごされますよう。
願いを込めて。