外見ではなく、人格で尊厳を集めろ「アラジン〜新たなる冒険〜」

 

 こんばんはー

 なんだか最近寒いですね。桜の咲くのは早かったですが、その後の冷え込みが厳しくてびっくりしています。冬に戻ったかのよう。

 でもこの寒の戻りが終わったら一気に初夏になりそうで怖い。夏より冬の方が好きなんですよねぇ・・・夏は虫が多くて嫌ですよね。

 

 さて、今日のおうちmovie、フランス版「アラジンと魔法のランプ」です。しかも実写版です。バクダットの都市の画面で、役者さんの顔にハエがブンブン飛んでいました。暑い都市らしい、よくできてるわ・・・と妙なところに感心した映画です。それともロケ中の偶然なのか?

 まぁ、それは置いておいて。

 フランス版実写アラジンは、本作が魔法の力で幸せになる青年を描いていたのに比べて、本物の自分の姿をさらけ出すことで幸せをつかめ、と誠実であることが大切だと伝えてくれる映画でした。人格至上主義って、フランス人の信条なのかな?

 コメディなのにジンとさせられる。しかもそのツボがハリウッド映画と少し違う気がする。お金や身分よりも精神面の豊かさの価値を重んじています。ちょっと意外に感じた映画でした。(フランス人ってもっとシニカルなイメージでした)



 「アラジン 〜新たなる冒険〜」

 アーサー・ベンゼクェン監督。ケヴ・アダム、ウィリアム・リブヒール、ヴァネッサ・ガイド、エリック・ジュドール出演。


 【アラジン〜新たなる冒険〜】

 クリスマス・イブの夜。ホームレスのサムは、友人のカリドと一緒に、ショッピングモールの売り上げを奪おうと計画していた。アルバイトのサンタに扮してモール内を確認していると、お話をしてと子供達が集まってきた。サムが気にしているのは、彼女のソフィアのこと。金融関係の多忙なビジネスマンを装ってイブの夜のデートを約束していたが、盗みの下調べ中の自分は本来会わす顔がないのだった。そんなサムが子供たちに語り出したのは、自分の分身、貧乏で盗人のアラジンの物語。身分違いの姫に恋するアラジンの冒険譚だった・・・




 出だしがいいんですよね。彼女に今夜はなるべく早く株の仕事を終わらせると言ういかにも羽振りのよさそうな青年サムは、ビルのモールでサンタの格好をして登場する。
 あれ? なんか変だぞ、と彼の嘘がわかる。思ったよりも幸せそうではないサンタ。そんなサンタに寄ってくる子供達。冒険譚の始まり始まり。

 なんとなく、クリスマスイブの夜って、奇跡が起きそうじゃないですか。
  



 サムと友人カリドの空飛ぶ絨毯でのオープニングは、そんな幸福の予感と冒険物語の期待感を嫌が応にもマックスにしてくれます。




 実際は、ホームレスの泥棒なんですけどね。実は、これ、最後まで気がつかなかった。あれだけ匂わせているのに、不思議なんですが。はっきりとは説明なしで、進むんですよね。そして、いつしか現実と物語がリンクしてくるんです。物語の「アラジン」はサムのことだ、と。気が付いたときには、サムの今夜の悲劇の理由が手に取るように理解できている。なるほどねぇ、と。ほんとよくできてる映画でした。

 


 ランプの魔人ジーニーもいいんです。出てきたときは筋肉隆々のイケメンなんですが、ラストでは小男で腹の出たブサメンに。それでも納得させられる。なぜ、彼が人間嫌いになったのかも。



 1000年も人間の身勝手な欲望を聞き続けてきたであろうランプの魔人。
 類にもれず、なにせ、アラジンがジーニーに頼むのは、まず、クリクリの髪の毛をストレートヘアにしてくれということ。そして、一目惚れした美人の姫を婚約者にはブサイクに見せてくれてくれということだったり、願い事は終始外見や体裁にこだわっているんです。





 そして、きわめつけは、魔人をほったらかしにしてのショータイム。
 王子になった自分をアピールしたMVで歌い踊ります。
 くるくるヘアの大道芸人に恋した姫も、ストレートヘアの王子に誰だかわからない始末。
 アラジンは本当の自分を隠して、自分を誇大表現して姫の元へ行くのです。偽りの姿を貫いて、姫の愛を手にしようとするのでした。
 これには、魔人ジーニーも呆れて姿を隠してしまいます。




 しかし、紆余曲折の末に、ジーニーの力を借りずに悪人を成敗したアラジン=サム。
 最後の願いは、ジーニーの身を自由にする、というものでした。
 これにはジーニーも感動したようでした。
 魔人であるときとはまるで別人のブサメンになったジーニーのことをアラジンは笑いますが、そんなアラジンをジーニーはたしなめます。



 「外見ではなくて、人格で尊敬を集める人間になるんだ」

 その言葉を聞いて、自分の偽りの姿を捨て去る決意をするサム。・・・もといアラジン。


 そして、クリスマスの夜の奇跡が起きます。


 いいねー 偽りを捨てて誠実になること、本来の自分であることが一番の財産であること、そんな大切なことを教えてくれるなかなかの結末でした。

 ちょっと臭いんですけど、コメディの力でしらけさせない。すんなり見ちゃいます。

 心を豊かにすることは、何よりも価値のあることなんですね。そのためには、ありのままの自分を受け入れて、さらけ出すことが大事。偽りの自分に固執してしまったら、幸せは決してつかめません。

 またこの物語、他力本願の危うさも教えてくれています。自分で道を切り開き、最後は、願いを叶えてくれた魔人を救うことを願うアラジンの成長ぶりがたまりませんでした。

 この映画、フランスでとても人気があったらしいんですよね。

 フランス人の感動のツボは、けっこうピュアなんだなぁ、と思いました。人間俗世間のモロモロよりも心が大事、霊魂や精神性が大事、なにせ盗人のホームレスでも社長令嬢(姫)の心を掴んでしまうんです。誠実でさえあるならば。偽りさえないのならば。

 お金も名誉もルックスも、美しい霊魂にはかないません。

 子供が感動する童話のレベルを大人が疑いもなく信じている純粋な国民性なんだなぁ、と皮肉なく感動せざるをえません。

 なんかとっても共感しました、続けざまにフランス映画を観たけれど、なかなかいいなぁ。ファンになりそうです。

 アマゾンで無料ですので、興味のある方、ぜひご覧くださいませ。



 ということでまとめです。

 見栄っ張りの嘘つき男が身分違いの恋をするコメディ物語を見たら、ピュアな魂で愛を勝ち取るというクリスマスの奇跡が起きて感動した!

 外見より心! 「人格で尊厳を集めろ」という名言もお見事!

 でも、主人公は男も女もイケメンに美女だったというおかしみもあったりする。

 それを差し引いても、フランス人の感動ポイントは精神性が高いぞ!と納得させられた。

 心を清めたい時に見るといいかも!



 ではでは、素敵な時間を過ごされますよう。

 願いを込めて。

 




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