「宇宙人裁判官が描く正義のかたち」NHKドラマ10「テミスの不確かな法廷」第4話まで感想。
こんにちは。
週に一度のアマプラ鑑賞会。
今日はNHKドラマ10「テミスの不確かな法廷」(第4話まで)を観ました。
昔から定評のあるNHKドラマ10枠。
そしてこの作品は、今話題になっている注目作です。
発達障害を持つ裁判官が、自らの病いを隠して奮闘するーー
という設定だけでも興味深く、
「人を裁く立場にいる者が障がい者だったら、社会はどう受け止めるのか?」
そんなテーマに、観る前からさまざまな想像が湧きました。
※以下、ネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。
「テミスの不確かな法廷」
原作・直島翔 脚本・浜田秀哉
出演・松山ケンイチ、鳴海唯、市川実日子、遠藤憲一
【あらすじ】
東京から前橋地方裁判所第一支部へと異動してきた裁判官・安堂清春(松山ケンイチ)。幼い頃、衝動性や落ち着きのなさからASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)と診断された彼は、自らの特性を隠し、世間の "普通"を装って生きてきた。それでも空気を読まずに発言したり、突発的な行動を抑えることができないために、法廷の内外で混乱を巻き起こしてしまう。そんな安堂の元に、複雑な人間模様が絡み合う、難解な事件が舞い込んでくる。市長を襲った青年。親友をこん睡状態に追い込んだ高校生。そして「父は法律に殺された」と訴える娘――。やがて、安堂の特性からくる"こだわり"が、誰も気づかなかった事件の矛盾をあぶり出す。と同時に、彼は自身の衝動とも格闘しながら公判に挑まなければならない。果たして安堂は、公正に事件を裁き、真実へと辿り着くことができるのか!?
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・ASDとADHDの特性が裁判官のスーパーヒーローを生み出す
裁判官が発達障害なんて大丈夫なの? と思う方もいるかもしれません。
けれどこの作品は、それを逆手にとったような設定がとても良い。
主人公・安堂清春(松山ケンイチ)は自らを「宇宙人」と呼ぶ通り、
地球人の常識がまるで理解できない人物。
その特性ゆえに、場の支配構造に染まらず、
ヒエラルキーやしがらみといった人間社会の「闇の力」に飲み込まれない。
彼は徹底的に法と倫理を守ろうとする姿勢を貫きます。
それが結果として、社会の歪みを浮き彫りにし、
正義のヒーローとして機能していくのです。
「わからないことをわかっていないと、わからないことはわからない」
という独自のモットーを掲げながら、
自分の足で、真実に迫っていく彼の姿はとても理想的で、
まさに法曹界に現れた「異能のヒーロー」だと感じました。
・弁護士や裁判官が再生していく=法曹界と人間の回復の物語
安堂という宇宙人の存在に触れることで、
挫折した弁護士や、牙を折られた裁判官が
次々と心の奥底にしまい込んでいた正義の感覚を取り戻していきます。
特に遠藤憲一さんの演じる門倉の変化には胸を打たれました。
かつて反逆児だった彼が、もう一度まっすぐな光を見出していく姿。
その導火線になったのが、安藤の障がいであることに
驚きと深い納得を感じました。
・発達障害は「迷惑」だけではないーー
社会を救う「ちがい」の可能性ーーー
この作品は、発達障害を決して「病気」としてだけ描きません。
発達障害の裁判官という設定に、
実際の当事者やご家族からは「現実味がない」と映るかもしれません。
でもこの作品は、それを能天気なヒーローものにとどめず、
「ちがい」が社会に新しい風をもたらす可能性として書いています。
社会や法曹界の闇や矛盾が深く掘り起こされていく過程はとてもスリリングで、
そしてなにより、
松山ケンイチさんの演技が素晴らしい。
発達障害の特性を、「演技くさくなく自然体で表現する」
その姿は圧巻でした。
本当にこんな人、どこにいる気がする・・・
そう思わせてくれる深さと静かな迫力がありました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
今日も皆さまの一日が、心穏やかでありますように。
願いを込めて。


