「8番出口」無限ループの先に見た、光と影。
こんばんはー! ららです。
今日は話題の映画、「8番出口」を観てきました。
いろんな方のレビューを見て、賛否両論あるんだなーとは思っていましたが、
結果から言うと、予想していたよりも、面白かったです!
無限ループの無機質な世界観も、音楽のボレロも印象的でした。
ただ、ちょっと気になる部分もありました。
※この先はネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。
8番出口
監督:川村元気
出演:二宮和也、河内大和、浅沼成、花瀬琴音
【あらすじ】
2023年にインディーゲームクリエイターのKOTAKE CREATEが個人制作でリリースし、世界的ブームを巻き起こしたゲーム「8番出口」を、二宮和也主演で実写映画化。
蛍光灯が灯る無機質な白い地下通路を、ひとりの男が静かに歩いていく。いつまで経っても出口にたどり着くことができず、何度もすれ違うスーツ姿の男に違和感を覚え、自分が同じ通路を繰り返し歩いていることに気づく。そして男は、壁に掲示された奇妙な「ご案内」を見つける。「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」「8番出口から、外に出ること」。男は突如として迷い込んだ無限回廊から抜け出すべく、8番出口を求めて異変を探すが……。(映画.comより)
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・ゲームは良かったのかもしれないが・・
主人公は、おそらく40歳近い派遣社員の青年。喘息持ちで体も弱いという設定。
二宮和也さんが演じる、どこか優柔不断な男性が、別れ話をしていた彼女から突然「子供ができた」と告げられる。
人生に迷いが生じたその瞬間、彼は自らの内面を象徴するかのような無限ループの異次元に迷い込んでいくーー。
この導入部分は自然で、違和感なく観ることができました。
また、最後に「迷いが晴れることでループが終わり、現実世界に戻ってくる」という構造も良かったです。
ただ、その迷いの根源である恐怖や不安が「新たな命の存在」にかかっているというのは、(女性から見ると)あまりにも失礼であるような気がして・・
それを物語の推進力に使うには、あまりにも心理的に薄いなぁ・・と感じてしまいました。
ゲームの世界観はとても魅力的だっただけに、無限ループの設定と「命の価値観」を結びつける必要が本当にあったのか?
もっと謎めいた異変や恐怖と組み合わせた方が、物語としての深みが出たかもしれません。
・日本は失礼な国だと宣伝しているようなもの・・
もう一つ、気になったシーンがありました。
地下鉄の中で泣いている赤ちゃんを抱いた母親に対して、乗客のサラリーマンが怒鳴りつける場面です。
その場面で主人公が助けに入れなかったことを「罪」ととして受け止め、
最後には勇気を振り絞って日常(=無限ループ)を打ち破る、と終わり方は悪くありません。
でも・・・「怒鳴る男」の存在が、あまりにも残念すぎます。
しかも、この映画は海外の映画祭にも出品されているとのこと。
それが「日本って子育てに冷たくて、失礼な国なんだ」と思われてしまうかもしれないことに、強い違和感を覚えました。
この作品を通して、「子育てする母親が虐げられ、子供の命を背負って迷路に迷い込む男性がいる社会」だと写ってしまったら・・・
少子化も人口減少も、当然と思われてしまうのではと危惧しました。
せめて、国内向けの内省的な映画として完結して欲しかった。
国際映画祭に出すには、少し勇気のいる内容かもしれません。
・それでも、やっぱり面白かった!
そんな疑問や引っ掛かりをありつつも、無限ループの異世界をめぐる物語は、なかなか見応えがありました。
ラストで明かされる彼が父親になっていると言う展開も、温かい余韻を残しました。
2時間、しっかりと楽しめました。
そして、最後の二宮さんの演技。
とても良かったです。
現実を打ち破る姿には、勇気をもらえました。
ちなみに、観に行ったのはミニシアターでしたが、意外にも満員でした。
まだまだ人気のようです。
無限ループの世界を、自分の目でぜひ体験してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今日もあなたにとって、素敵な時間を過ごされますように。
願いを込めて。