「サブスタンス」感想:鏡の中の化け物は私かもしれない。

 

 こんにちは! ららです。


 最近、鏡を見るのが少し怖くなりました。

 そんな歳になったんだなぁ、と感じながら、

 なるべく鏡を見ないようにしています。

 うっかり目が合うと、自分とは思えない誰かがそこにいて、

 思わず愕然としてしまうのです。


 そんな私が観たのは、年老いたハリウッド女優の物語でした。

 ルッキズム(外見至上主義)に満ちた世界で生きる彼女は、

 思い悩だ末に怪しい再生医療に手を染めてしまいます。


 ああ、怖かったなぁ・・・ 

 まるで鏡の中の自分を凝視させられているような、空恐ろしい映画でした。

 

 ※この後はネタバレを含みます。未見の方、ご注意ください。





 「サブスタンス」


 監督:コラリー・ファルジャ

 出演:デミ・ムーア、マーガレット・クアリー、デニス・クエイド


 【あらすじ】

 バイオレンス映画「REVENGE リベンジ」などを手がけてきたフランスの女性監督コラリー・ファルジャが、「ゴースト ニューヨークの幻」などで1990年代にスター女優として活躍したデミ・ムーアを主演に迎え、若さと美しさに執着した元人気女優の姿を描いた異色のホラーエンタテインメント。 

 50歳の誕生日を迎えた元人気女優のエリザベスは、容姿の衰えによって仕事が減っていくことを気に病み、若さと美しさと完璧な自分が得られるという、「サブスタンス」という違法薬品に手を出すことに。薬品を注射するやいなやエリザベスの背が破け、「スー」という若い自分が現れる。若さと美貌に加え、これまでのエリザベスの経験を持つスーは、いわばエリザベスの上位互換とも言える存在で、たちまちスターダムを駆け上がっていく。エリザベスとスーには、「1週間ごとに入れ替わらなければならない」という絶対的なルールがあったが、スーが次第にルールを破りはじめ……。

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 ・前半は分身(若さ)の圧倒的な勝利

 再生医療のシステムは、母体(50歳のエリザベス)と

 若き分身スーが一週間ごとに入れ替わることでバランスを保ちます。

 しかし、最初からバランスは破綻しています。

 スーの美しさは、まさに理想の体現。 

 若さと経験を兼ね備え、健康的でエロテックで、

 非凡な輝きを放つ彼女は、まさに無敵の女優。

 観るものを圧倒します

 スーの存在に打ちのめされるエリザベス。

 ルッキズム文化に支配された世界で生きているわけではない平凡な私でさえ、

 他人事とは思えず、観るに忍びないものがありました。


 ・後半は母体(老女=デミ・ムーア)の怪演に釘付け!!

 やがてスーは交代のルールを無視し、母体の体液を奪って、

 名声と美貌を独占していきます。

 怒り狂うエリザベス。

 この、化け物と化したデミ・ムーアの怪演が凄まじい!!

 若さと美しさをすべて奪われ、狂気に染まっていく姿は、

 スーのきらきらした輝きさえ、小娘のように見えてしまうほど。

 聞けば、この作品でデミ・ムーアはアカデミー賞を受賞したとのこと。

 納得です。

 

 ・ラストは、ルッキズム文化を笑い飛ばすホラー的オチ!

 母体の栄養を奪い尽くしていくスー。

 どうなってしまうのかとハラハラしましたが、

 最後にはそれ相応の罰が待っていました。

 老女に片足を突っ込んだ私としては、ようやく溜飲が下がる思いでしたが、笑

 それ以上に、B級ホラー的なオチが最高!

 あの「2001年宇宙の旅」の名曲が流れた時は、笑ってしまいました。

 超人の誕生という皮肉。そして風刺。

 より良い自分、より愛される自分を求めて、

 やがて本物の化け物になってしまうエリザベスとスーの末路。

 監督は訴えます。

 「こんな価値観に、振り回されるなんてバカバカしい」と。


 ・鏡の中の自分へ、そっと微笑む 

 この映画を観終えた私は、改めて思いました。

 年相応の美しさーー それは知性や生き様に宿るものなのだと。

 社会の価値観と、私自身の価値観。

 そのバランスを取りながら生きていくことが、

 きっとこれからの課題なのだと。


 うっかり鏡を覗いたとき、「思ったより悪くないな」と微笑めたら、それでいい。

 でも、やっぱり怖かった。

 とりあえず今は、「まだ、人間でよかった」。



 

 最後まで読んでくださり、どうもありがとうございました。

 今日も穏やかな一日となりますように。

 願いを込めて。


   

 

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