軸がぶれそうになった時に読む本。群ようこ「福も来た」。

 

 今日、7月5日といえば、元漫画家のたつき諒さんが大震災が起こると予言した日。朝から、東京を脱出して、北海道や沖縄方面へ向かう人が多かったそうです。

 私も少し信じていました。水を買ったり、食料を備蓄したりと震災に備えました。そして、昨日は準備して寝たのですが、予言の時刻である4時18分には、ついうっかり寝過ごしてしまいました。でも、特に特に地震が起きなかったのは何よりでした。

 こういう矛盾した自分の行動を見ると、軸がぶれているなぁと感じます。

 ただし、このブレは、融通性や柔軟性などとも置き換えられるので、まぁ、今のところ仕方ないかなとは思ってはいるのですが・・


 今回はそんな「自分の軸」と向き合った小説のお話です。

 群ようこさんの、「パンとスープとネコ日和」の第2弾、「福も来た」を読みました。





 福も来た(群ようこ)


 【あらすじ】

 ミネストローネ、チキンのスープ、たまごサンド、アボカドサンド……店に足を運んでくれた方々に、喜んで食べてもらえるよう、アキコは、体育会系で気もちの優しいしまちゃんとふたり、マイペースで店を営んでいる。愛猫のたろちゃんを失った悲しみを抱えつつも、周りの温かい応援に支えられ、日々を大切に生きています。――ドラマ化もされ、ロングセラーになった『パンとスープとネコ日和』の第二弾。

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 ・感想は・・・

 自分なりのこだわりを持って、安心した食材を使い、手間ひまかけて料理を作る、食堂のオーナーアキコ。店のオープン後のブームが過ぎると、次第に客足が減ってきます。

 まるで、自分を信じて、正直に、自分らしく生きているのに、なぜか人が離れていくような感じです。たまにこういうことがあります。一生懸命生きている人に対して、時々、神は冷たい仕打ちをします。読んでいて、少し胸が痛くなってしまいました。

 アキコも気に病んで、軸がぶれそうになってきます。

 要するにスランプなのでしょう。

 そんな時に、どう自分を立て直すのか、物語を通して、よくわかりました。

 思わぬ気付きと、思わぬ自信を与えられた一冊でした。

 

 ・人はどう生きるのかというような気付き。

 料理を作ることや、または食べるということは、人間の根源なのだな、と改めて思わされます。アキコのような手間ひまかけた食事を提供してくれる店は少なく、ファストフード全盛の今日だからこそ、こういう相手と真剣に向き合うような生き方は大切だなぁ、としみじみ感じさせられました。
 
 安心な食材を使い、手間ひまかけた物を作る。
 
 それは、正しく徳のある知識と心を用いて、丁寧に生きる、ということに通じるような気がします。
 そして、今回の巻であったように、軸がぶれそうになった時はどうするのか。
 
 同じような料理に飽きないように、自分に飽きないことこそが、何よりも大切だ感じました。

 作者に感謝です。

 群さんの描く物語は、とても読みやすく、軽快な読み物風ではありますが、大切なことを教えてくれる、気付きの多い良書だといつも感じます。ありがたく読ませていただきました。

 日常にちょっとした悩みを感じている方に、ぜひお勧めしたい一冊です。

 

 ・そして最後に予言に戻ると・・・

 あたるも八卦、当たらぬも八卦、と言いますが、予言を信じすぎて振り回されるのもいけないような気もします。けれど、災害が起きやすい地形のお国柄であることは確かですし、いつか来る日に備えて、準備しておくにはいい機会かと思います。

 平和ボケの私なんかは、こんな物語を読まなければ、水や食料の備蓄さえもしないという・・・ ある意味、気付きを与えてくれた、ありがたい予言だったのかもしれません。

 災害予防の良き日と捉えて、大きな災害が起こらないことを切に祈りたいと思います。 



 最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

 素敵な1日を過ごされますように。

 無事でありますように。

 願いを込めて。








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