「ケンヂくん、遊びましょー」の掛け声も切ない「20世紀少年」三部作を見て。
20世紀少年第1章、第2章、最終章を見た。
いや、懐かしい物語だった。とにかく昭和の時代が懐かしくてたまらない。知っている方も多いと思うがストーリーを少し説明すると、主人公は20世紀の少年、昭和の古き良き貧乏な時代に子供時代を過ごしたケンヂ一派だ。この時点で中年層は誰でも親近感が湧くと思う。懐かしい庶民代表のケンヂらが、子供時代に抱いた「世界征服を企む悪者が現れる」(そして悪から地球を救う)という妄想が(子供あるある)、大人になって予言のように実現してしまう。ここからとんでもストーリーが急展開していくのだ。世界征服を企む「ともだち」はケンヂらの妄想を一つずつ実現していき・・・。
2009年公開当時、20世紀少年最終章を映画館で見て大感動した覚えがある。映画は監督のものかもしれないが、私にとって浦沢直樹は神レベルの漫画家である。彼の物語がつまらないはずはなかった。
ところが、どうしたものか、この年になって見直してみると、どうにも退屈で仕方がなかった。各章の2時間と少しが長い、長い。そんなことはないだろうか。若い頃傾倒したものが、歳を取ってイマイチになってしまったこととか。
これは歳をとって精神が退化したからなのか、はたまた逆に若い頃がおかしかったのか?
どちらにしても、感動したものが感動できなくなるというのは、あまりにも残念なので、2009年当時のレビューを引っ張り出して、感動ポイントを読み直して見た。
お時間ある方だけ、お付き合いください。
(以下、引用開始)
(前略)あと思ったのは、未来都市が最高です。「大人買い」とかあるけれど、究極の大人買いの町を作ってしまった主人公に感動してしまった。(中略)地球防衛軍もUFOも敷島博士のリモコン型ロボットもいい。昭和の未来都市も最高だ。
(引用終了)
つまらなく感じた、と書いたが、こうやって読み直してみると、やはり、浦沢直樹の漫画はすごいと思い直してしまった。
凡人ケンヂの、万博や、歌手への夢を全て叶えるために、ただそれだけのためだけに、悪役「ともだち」が世界征服を企むだなんて。人々を殺してこの世を滅ぼすだなんて、そんな馬鹿げたストーリー誰が考えつくだろう。
ケンヂを本物のヒーローとするために、大罪を犯す「ともだち」、
昭和のセットを再現して、ケンヂを待ち侘びている「ともだち」が切なすぎる。
「ケンヂくん、遊びましょー」
日本の映画は脚本がイマイチだと以前書いたが、漫画を原作にしたものはやはり素晴らしいものが多いような気がする。
日本映画は、オシャレ路線を捨てて、全て漫画原作のヒーローものに、切り替えたら良いのに、と思ってしまった。
少し長い映画だったが、まぁ、三部作もあったのでしかたないかな。
精神が退化したわけではなくて、そういえば、若い時は、最終章と漫画しか見てないのね・・・ 今初めて、三部作全部を見たから長く感じたのかもしれない。
改めて、内容は面白いと思った。こんな奇想天外な未来を思いつくのは浦沢直樹くらいだと思う。やはり神レベル・・。
梅雨の夜長にでもおすすめしたい。
ではでは、今日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございます。
素敵な時間を過ごせますよう。願いを込めて。