夢追い人の第三の道「ホームレス ニューヨークと寝た男」

 

 こんにちはー

 コロナ禍で不安定な時代ですから、失業したらどうしようか、という不安は誰しもあるかと思いますが、今日は、そんな不安と決別した、あるホームレスの映画を見ました。



 「ホームレス」

 トーマス・ヴィルテンゾーン監督。マーク・レイ出演。


 【あらすじ】(アマゾンプライムビデオより抜粋)

 快活な話術でニューヨークの街ゆくファッショニスタたちに声をかけシャッターを切るファッション・フォトグラファーのマーク(52歳)。元モデルのハンサムでチャーミングなルックス。だが華やかなパーティー会場を後に向かった寝床はとあるアパートメントの「屋上」だった。荷物はスポーツ・ジムのロッカー4つ分。身だしなみはジムのシャワールームや公園のトイレで整える。世界一スタイリッシュなホームレスのニューヨークで家を持たずに暮らす方法とは?


 いやぁ、こんなホームレスがいるんですね。ニューヨークと寝た男、という副題通り、まさにニューヨークに惚れ込んで、一線を超えてしまった似非ニューヨーカー。通常の路上ホームレスと比べたら、断然ファッショナブルで、知能犯で、都市サバイバルに優れています。感心せざるをえませんが。なんでしょうね。この見終わったあとの違和感。



 現代はhome less ホームレスではなくて、homme less オム・レス だそうですよ。
 男、人間として何かが欠けている、という内面への揶揄を含んでいるそうです。


 うなずけますね。ニューヨークに夢を求めて群がる女性たち、もしくは男たちに、嘘八百を吐きまくるマークはまさに圧巻。夢現つの煌めきで武装して、お互いが消費されるものであることから逃避しているように見えてなりませんでした。いつかニューヨークに旅行したいなぁと思っていたのですが、いや、ニューヨークは空恐ろしいおとぎの国だ、と思いましたよ。人を狂わせてしまう。生活できる場所じゃないなぁ、と。



 まぁ、それでも面白く観れたのは、こういうニューヨークという華やかで煌びやかな魔境で、人並みの生活を・・いや、そのふりをして、逞ましく生きていくマーク(5年も続けているそうです)の巧みな技が興味深かったということでしょうか。
 普通はあんなにファッショナブルにホームレスを続けられないですよねぇ。


 やればできるものなんですね。田舎に住んで都会に夜な夜な出てくる似非ニューヨーカーより、よほど肝の据わった本物に見えてくるから不思議です。一月の必要経費もジムの月会費と健康保険と食費とバーの飲み代だけ。こんなホームレスばかりになれば、ニューヨーク(都会)の見た目的にも暗部が覆い隠されてより良いものになりそうですが、いやぁ、見る人から見れば甘いんだろうなぁ。

 それでも、人間としての大事なものを置き忘れてさえも、ニューヨークにしがみつくマークはやはりそれなりの決意を持っているように見えました。


 マーク自身は、自分がダメだからこんな風になったと自虐してはいますがね、そうじゃないんじゃないかなぁ、もしも私がマークのニューヨークのように惚れ込んだものができたとしたら、あんな風にオム・レスになってまでそれを追求することができるのか、と問われると、答えは絶対ノーですからね。


 だからこの映画はホームレスの映画というよりは、惚れたものにどこまで一途になれるのか、という決意を描いた作品だと思った方がいいかもしれませんね。本当にホームレスの方が見るとかなり憤りを感じることでしょう。好きでホームレスになったわけじゃない方にはね・・


 マークは生活やお金のことで不安になったり心労することすべて捨ててしまった。家より自由を選んだ。自分のホームを捨ててしまった。その代わりのサバイバーとしての心労は増えたけれど、ニューヨークという街に本当に惚れ込んでしまったら、多分そこまでしないと凡人は生き残れないんだろうなぁ。

 凡人は・・と言いました。マークのようなルックスが良くてチャーミングで言葉が巧みで写真の才能がある方でも凡人。あああ、本当にニューヨークは恐ろしい街だなぁ。

 旅行か体験留学かで、外見をちらりと知って楽しんで、満足するくらいにしておかないととやばいですよね。本当に知ろうとしてしまったら懐が深すぎます。ましてや愛してしまったならば・・




 ラストでマークはこのニューヨークのホームレス生活がもうすぐ終わりであるような示唆をします。ちょっと寂しいような気もしますが、でも、いいんじゃないですかね。この映画の収入を利用して、どうかもうニューヨークと寝ることは諦めて頂きたいと心より願います。それなりの覚悟はもう十分見せていただいたのでね、(5年もやれば十分でしょう!)これからは心の豊かさを求めてみたりね、家族とともに、田舎でのんびり余生を過ごすのも良いかもしれません。どうかオム・レスから卒業できますように。



 
 というわけでまとめです。
 ニューヨークの惚れ込んだ男がその街と心中する物語を見たら、その方法論のホームレスという生活と、愛情を欠いてしまった人生に、少なからず戦慄を覚えた!
 ニューヨークは怖い街だなぁ。はたから見ている分にはいいが、中心に近づこうとすればするほど火傷を負うな、と思った。
 だが、それでも、生活苦の不安と決別した生き方は羨ましい一面もある。また人間として大切なものをなくしてさえ、自分の好きな生き方を追求する男の物語としては、ロマンや決意を感じてしまう。
 そして、ホームレスとしてスタイリッシュに生き抜く知恵と技は卓越していて、単純に面白いものがあるので、興味深い方はぜひ見てみるいいのではないかと思う。



 今日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございます。

 素敵な時間を過ごせますよう。

 笑顔の1日になりますように。

 願いを込めて。




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