殺人者同士の友情と人間の本性を否定する「友罪」
こんばんはー。
日曜の夜から数回に分けて、「友罪」という少し重たい映画を見ました。
もしも、あなたの友人がかつての猟奇殺人犯だったら?
もしも、あなたが過去に贖いようのない罪を犯したら、その後の人生はどうやって生きていく?
人間は幸せになるために生きる動物と言っても過言ではないと思うんですが(そういう哲学的な解釈も多い)、その前提を真っ向から否定する本作。なんだかなぁ。アマゾンの評価いまいちな割りに、随分考えさせていただきました。
今日は、「友罪」というmovieのお話です。(有罪と同音なのね)
瀬々敬久監督。生田斗真、瑛太、夏帆主演。
【あらすじ】
元ジャーナリストの益田は、雑誌社の方針や上司のやり方と決裂して以来、あちこちを転々とする生活をしている。たどり着いたのは住み込みで働く田舎の工場だ。1ヶ月後、二人に一人を雇用する条件で、益田と、もう一人の鈴木が職にありついた。この鈴木、資格を持っていて仕事はできる。沈着冷静で、意外と頭がいい。そして意外と友人想いだ。だが、自分の話を一切語らず、喋り方が不気味である。そんな中起きた児童殺人事件。過去に日本を震撼させた猟奇殺人事件の手口と似ていると巷で話題になり、元同僚から事件の意見を求められた益田は猟奇殺人事件の少年Aが鈴木であることに気づいてしまう。
この猟奇殺人事件の犯人(瑛太演じる鈴木)、少年Aって、神戸児童連続殺傷事件の酒鬼薔薇をモデルにしているようなんですよね。
いやいや、酒鬼薔薇かと思うと、絶対自分は友達なんて無理、と思いますが、この映画の鈴木は、意外と好感持てる青年でした。
猟奇殺人事件の描写をオブラートに包んでいるからだと思うんですけどね。それ以外に、彼の徹底した非暴力の行動や、冷静沈着なところ、・・特に益田が指を切り落としてしまった時に、彼の指を拾って氷に入れて渡すんです。おかげで指が繋がったところとか・・ 他人想いのところが、嫌われ者のわりに人を愛している姿勢が感じられて、なんとも言えずにじんとするんです。
「死んで償わなきゃと思う。でも、生きたいんだ。無性に、生きたいんだよ」
そういう鈴木のセリフが印象的でした。
たとえ、世間がいうような幸福とは一生無縁であっても、生きるということの価値がね。もうものすごい価値が、圧倒的な存在の、魂と肉体の尊さが感じられるというのか。
他人の命を奪ったものが、その価値を思い知るというのは皮肉としか言いようないんですけれど・・・
私はその価値を思い知ることができるならば、たとえ家族を持てなくても、恋人がいなくても、いいような気がしてしまったんです。世間的な意味で幸せじゃないとしても、人間の本性に背いていたとしても、それはそれでものすごい価値のあることだと。
物語のラストに、益田は自分の罪を(自殺ほう助罪のような・・まるで殺人を犯した人と同罪でした)カミングアウトするんです。そして、今度は友人を失いたくないと決意する。
有罪の友人を救いに行くことを心に決めます。
そして、その益田の意識と繋がって、ハッとする鈴木。そこでエンドロール。
まぁ、くだらない映画だったのかな。本当アマゾンレビューは最低。
でも、私は結構面白いと思ってしまいました。
私の人生も世間的な幸福とは程遠いんですが、この魂と肉体があるだけで、十分幸せなことなんだなぁ、とつくづく思ったりしました。誰からも奪われてないですからね。
「でも、生きたいんだ。無性に、生きたいんだよ」
鈴木のこれからの人生が無事に続くことを願って。
(酒鬼薔薇はどうか知りませんよ、あくまで物語の鈴木)
ではでは、素敵な時間を過ごされますよう。
願いを込めて。