こんにちはー
台風12号が近づいていますね。連休明けに台風って、余計仕事に行きたくなくなります。
まぁ、連休中に働いてくれていた方も多いと思いますので、わがまま言えませんがね。
さて、今日のおうちmovie、本国イタリアで動員数40万人越え、54週ロングランの大ヒットとなった「人生ここにあり」。
イタリアでは1978年のバザーリア法制定により、世界で初めて精神病院が廃止されました。精神病院を追い出された元患者たちが、どのようにして社会に溶け込んでいくのか、様々な社会的実験がなされた時代の実話を元にしたヒューマンコメディです。
「人生ここにあり」
ジュリオ・マンフレドニア監督。クラウディオ・ビジオ、アニタ・カプリオーリ、ジュゼッペ・バッティストン出演。
【あらすじ】
舞台は1983年のミラノ。労働組合の異端児ネッロは、自著が災いして、精神病院を追い出された元患者たちで作る協同組合に左遷させられてしまう。仕事に対して無気力な元患者らを前に驚くネッロだったが、彼らのアートと執着心にふと興味を覚え、これを社会貢献に前向きに活かせないかと考え始める。床板張りの会社を作ると、案の定、彼らは「アウトサイダー・アート(アール・ブリュット)」の才能を開花させ、次第に人間らしい感情や希望を取り戻していくのだが・・
アウトサイダー・アート(伝統的な芸術の訓練を受けていない人の作ったアート作品)というと、ジミー大西を思い出して仕方ないんですけどね。総合失調症や強迫観念ある方などにその才能があった場合、それは見事なデザインや複雑怪奇な模様を描いたりするそうです。
この映画の元患者らの職人も、アウトサイダー・アートの才能を開花させてから、ベンチャー企業が軌道に乗り、仕事がガゼン楽しくなってきます。
不思議なもので、仕事が楽しくなり、お金も入り、一度仕事に対する達成感や責任感を覚えてしまうと、精神病の症状はみるみるうちに改善されてしまうのですね。
ついに精神病院を飛び出して、自分たちの住処と事務所を構える彼ら。組合強し。元精神病者に対して、このような自由な取り組みをしていた当時のイタリアに驚かされます。
お金や性の問題も乗り越えて、イケイケの彼ら(写真上)。ですが、私はこれからやばいことが起こる布石としか見られません。というのも、このストーリー展開、「カッコーの巣の上で」という昔の映画によく似ているんですよね。
あれも一人の異端児が、精神を患った人々の自由を取り戻そうとして、社会の抵抗に直面し、最後には自己崩壊したという悲しい物語で。
いやー、やだなぁ。来るかな、来るかな。これはコメディだからこのまま平和でいくかな、と自分の心配性を笑おうとした矢先に、来てしまいました。
元患者で職人の男の子が恋をしたことから事件が起きます。
落ち込んで、会社も、他の患者らも放棄してしまうネッロ。他の仕事につき、何もかもが終わりを告げたように見えましたが、しかし、ここはイタリア映画。人間賛歌とコメディーの力で乗り越えます。
元患者たち、組合員は、ある決断をして、全員でネッロを迎えに行くのです。
いやー面白かったですね。役者さんたちのうまいこと。本当に精神病の方達を使ったのかと思ったくらいです。彼らは精神病院や精神医療施設に研修に行ったりして、勉強されたそうです。
印象的なセリフは、組合会議でのこと。ネッロの提案にいつも賛成していた彼らが、ある議題に関して、全員でノーと言ったとき。
ネッロが落ち込み、苛立ちを覚えていると、友人の医師がこう言います。
「彼らの反対は、君の最大の勝利じゃないか」
そうですよね。ネッロは、元精神病患者たちの自由意志を取り戻す、という功績を成し遂げたのですね。素晴らしいことです。
「カッコーの巣の上で」と同じように、社会の圧力に負けてしまいそうになった後も、全員で乗り越えていく姿が描かれていて、とても後味の良い映画でした。また、手柄も悪いことの責任も誰か一人のものではなくて、皆で分かち合うのものだ、という組合の考え方も、彼らの仲間思いの情を育てる上で良いものだったのではないか、と感じました。
協同組合が精神病院を廃止させた歴史を持つイタリア。なんて素晴らしい取り組みでしょうこれはいろんな国で真似して欲しいですね。
ではでは、素敵な時間を過ごされますよう。
願いを込めて。
☆出展☆
スクリーンの向こうに故郷が見える 第12回 「人生、ここにあり!」
Yahoo! JAPAN 映画 人生、ここにあり!