今年も登ってまいりました。蛭ヶ岳登山の長い夏の1日。



 山に登るのが好きだったんですが、ここ1年ほど天候やコロナの影響もあり、出かけていません。思い返せば、山には辛い思い出が多い。なんであんな苦しい思いをして登っていたんだろう、と思い返すこともしばしば。マゾだったに違いない。そろそろ登山が趣味というのを返上しようか、と思い始めていた矢先、今年も山の日がやってきました。

 去年、山の日に蛭ヶ岳に登ったんですね。若い時からずっと、あそこには日帰りでは行けないと思っていて、でも歳をとって経験も積んで、これは行けそうだな、と思えてきた。むしろ簡単なのではないか、と。なので、行ったら普通に行けた、という記事を去年書いたのです。あの達成感はなかなか良かった。なので、今年も山の日に蛭ヶ岳にだけは行こう、とずっと思っていました。
 
 


 去年の記事です。
 主峰蛭ヶ岳縦走、39KM歩いた長い夏の1日。


 蛭ヶ岳には4つの登山コースがあるのですが、今回は・・というか今回も、大倉バス停から塔の岳、丹沢山と、表丹沢をめぐって、蛭ヶ岳に行くコースでした。

 
 蛭ヶ岳|つなげ方はあなた次第!神奈川県最高峰へ挑む4つの登山ルート


 上の記事の一つ目のコースですね。
 違うのは、大倉尾根(通称バカ尾根)を使わないというマイルールを今年も守って、鍋割山登山に使う訓練所尾根コースから、塔の岳、丹沢山、と丹沢主脈線を通って、蛭ヶ岳に向かったということくらいです。




 去年の記事を読んで復習してから行けば良かったんですが、何時に出たか忘れてしまった。日が昇る前から登り始めないと間に合いません。そこで、今回は1時に起きて2時に家を出ました。大倉バス停に着いたのは、3時半。登り始めたのが3時45分です。
 
 4時に西山林道に到着。暗い中を懐中電灯を持って歩きます。(写真上)
 西山林道から鍋割山登山コースの訓練所尾根の視点となる二俣に到着したのが5時です。
 去年もそうだったんですが、この林道がとても感慨深い。世が明ける頃になると、遠くでひぐらしが一匹鳴き始める。次第に耳の近くで一匹、また一匹、と増えていき、最後は大合唱のハーモニーになります。そして夜が明ける。自然の神秘を初めに感じる一瞬です。




 二俣(写真上)に着いた時は、すっかり明るくなっていました。
 本格的な登山はここから始まります。ここから約2時間の行程、小丸までの2000mの道のりが、私の中では一番の難所でした。過去形なのは今年はちょっと変化があって、意外とあれは楽だな、と思ったからです。(それより蛭ヶ岳〜塔の岳の縦走の方が辛いかもしれません)それでも、この時は、この2時間の登りを終えたら蛭ヶ岳登山の80%は終えたも同然、などと思いながら先を急いでいました。



 登りが平坦になると材木が転がっている場所がよくあるので、そこで休憩します。


 訓練所尾根は階段がほとんどない。なのでとても登りやすいです。



 小丸まで1000m、ここからが登りの本番。まだ暑さは感じませんが、結構辛くなってきました。去年は丹沢山までは楽勝だったんですが、今年はスタミナも体力も落ちているなぁ、と実感しました。



 ブナが現れ始めました。丹沢ではだいたい標高1000mを超えるとブナが見え始めます。今年初めてのブナにご挨拶。

 この辺りから息が荒くなってきました。途中で休憩を入れながら、やっとの事で、7時に小丸分岐に到着。ここは見晴らしがいいので、大山から富士山まで一望できます。

 左端の山が大山、右端が富士山です。恒例のパノラマで撮りました。




 富士山綺麗ですねー 今年は登れないんでしたっけ。コロナの影響で。


 秦野の街み見渡せます。盆地だというのがありありとわかる様子。


 小丸分岐から金冷シを通って塔の岳に到着。7時45分です。
 着くなり、私は尊仏山荘に向かいます。こんなこと初めてなんですが、何をするのかというと、飲み物を購入しました。ペットボトル1本500円ですが!
 今年はハイドレーションを購入して使ったんです。飲み物をチューブで登山しながら飲めるやつですね。あれね、便利なんですが、残量がさっぱりわからない。水筒だと飲み物の管理も簡単なんですが、ダメですねハイドレーションは。足りなくなったら困るなぁ、と思って、実際喉の渇きが尋常じゃなく(去年より)水分を必要としていたようですので、ペットボトル2本購入しました。水とコーラ。

 全く冷えてなかったんですが、(冷えたの売ってるはずなんですけど・・女だから舐められたのかなぁ)これが美味しかった! 特にコーラ。炭酸ものを登山で飲んだのは生まれて初めて。(いつもポカリとかアクエリアス)しゅわしゅわがこんなにハマるとは意外でした。登山に炭酸は最高ですね。

 コーラ半分と水は大切に温存して、次は丹沢山に登ります。
 塔の岳と丹沢山はほとんど標高差がないんですが(100mくらい)平らな道の縦走とならないところが丹沢の醍醐味なのか・・アップダウンが激しくて、丹沢山にたどり着くまで「こぶ」(偽ピーク?)を二つほど超えます。


 平らな道もあるんですけどね。こんな感じの歩きやすいところ。
 丹沢主脈線と書いてある、歩いていて気持ちのいいところ。



 こういうところを進んでいると、山に来てよかったなぁと実感します。
 縦走っぽい。登山がとても楽しいですね。
 鹿なんて出てくると最高なんですけれど、丹沢では鹿が増えすぎたようで、近年ハンターによってかなり殺されてしまったそうです。(帰りに出会った方から教えてもらいました)
 塔の岳にも山荘で餌付けしている塔太郎という鹿がいたんですが、この鹿、オス鹿のリーダーだからという理由で、山荘の登山者の眼の前で撃ち殺されてしまいました。餌付けしといて、そりゃないだろう、という感じですが・・
 人間ってひどいですよね。「せめて、登山者から見えないところで、影で殺せなかったものか・・」(前述の方の弁)本当に。



 西手には富士山がくっきり見えています。



 9時に丹沢山に到着しました。
 丹沢山から富士山を見れるのも珍しいです。塔の岳ではほぼ見られるんですけど、丹沢山に着く頃にはなぜか雲に覆われてしまうことがほとんど。
 この日は快晴でよかったです。さて、ここからが3.6kmが蛭ヶ岳への道。結構スタミナ的にも体力的も厳しいですね。朝はおにぎり、塔の岳でまたおにぎり、丹沢山ではチーズにパン、と燃料を補給しているのですが、やっぱり去年より辛く感じます。歳かなぁ。




 右端のぽっこりした山が蛭ヶ岳です。まだまだ遠いですね。
 小丸までの2000mの登りはもはや問題外。本番はここからという気になります。よほど丹沢山で帰りたく感じましたが、ここまで来たら行くしかないでしょう。



 のんびり行こうと言い聞かせて進みますが、女性の登山者に出会ってしまった。彼女が私より少しペースが早いくらいで、前にチラチラ見えているんです。これはついていかないとなぁ、と休憩なしでどんどん進みました。



 途中の鬼が岩の岩場。確か去年は足が痛くだるく感じて、この岩場に座って、足(膝下)をぶらぶらして癒しましたっけ。よく考えると、この自然の岩場にすわりこむって、不謹慎でしたよね。
 今年は体力的には厳しいけれど、足はまだ大丈夫。膝も痛くなっていません。筋トレしていたから効いてるのかな。悪いことばかりじゃないと言い聞かせて、どんどん行きます。
 それにしてもアップダウンが多い。もう登りたくないから降りたくないのに、どんどん下ってしまうのね。丹沢はこれだから嫌ですよ・・本当アップダウンの鬼。トレーニングしたい方にはいいかも。トレランの方もいっぱいいらしたし。体を鍛えたい方は是非丹沢の縦走をお勧めします・・




 あと少しです。山頂の山荘が見えています。蛭ヶ岳山荘。小さく遠く見えるなぁ。まだあれだけあるのか、とゾッとしながら・・けど歩いていると意外と近いんですけどね。

 10時35分。やっと到着しました。丹沢最高峰、蛭ヶ岳です。


 あらー。今年も富士山は見えません。普通ならこの後ろに綺麗に見えるんですが。


 蛭ヶ岳山荘に一直線。名物のカレーとしゅわしゅわのコーラを頼みます。


 これが最後のエネルギー補給。このあとの帰りの行程をこのカレーで乗り切らさせていただきます。
 福神漬けとらっきょうは自分のスプーンでお好みでよそいます。



 美味しそう! と言ったら、管理人さんに「美味しいですよ」と笑われました。

 「初めてですか?」
 「二回目です」

 ちょっと誇らしげに答えてしまいました。山荘に何百回と来ている方もいる中で、決して威張れたものではないんですが、今日も無事この山荘に辿り着けたことは、私にとっての小さな自信に繋がったようでした。




 蛭ヶ岳山荘さん。ごちそうさまでした。無事たどり着けて本当によかった。諦めて帰ろうかと何度か思いました。

 さて、帰り道はちょっとガスり始めました。涼しくていいんですけどね。
 猫が待っている、熱中症になったら大変、早く帰ってあげなきゃ、と思って、必死に歩きました。




 一眼レフをなくしてしまったので、スマホでぼけぼけながら花の写真を撮りました。

シモツケソウ 

ヤマハココ

ウスユキソウ

 はー。それにしても、思えば遠くに来たもんだ、という感じです。蛭ヶ岳という山は丹沢山塊のほぼ真ん中に位置するので、なかなか一筋縄ではいけないんですよね。

 でもおかげで、今回も、丹沢の奥深さを味わうことができました。
 北アルプスもいいけど、丹沢も楽しいですよ。みなさん遊びに来てくださいね。




 さて、帰りの塔の岳ですが、下の写真の右端の山ですよ。
 どんだけーと悲鳴が出るほど遠く感じますよね。
 丹沢山と、こぶを何個も超えないといけません。振り向けば、こぶの何個も先に蛭ヶ岳。両方の遠さを見比べて、これはマゾ確定だと思いました。
 そして、来年はもう来たくないなぁ、とも。




 そう思ってもまた行ってしまうんでしょうか。
 それとも本当に、もう山は卒業するんでしょうか。

 時間が経ってみないとわからないかなぁ。もしかしたら、またひょこっと行きたくなるかもしれません。



 隠れていた富士山がまた見えてきました。
 富士山、今年もありがとう。丹沢から見る富士はまた格別の美しさですよ。

 よかったら、是非、あなたも登ってみませんか。
 (マゾ確定ですが、笑) 




 今日の帰りは、バカ尾根を通ってきました。
 お仲間さんができたので、帰り道は気も引き締まったし、また違う楽しさがありました。去年とコースが違うので、距離的には少し短くなりましたが、それでも37km歩きましたね。今年も、長い、長い、夏の1日でした。

 歩いているときは辛いけれど、終わってみると楽しく感じるから不思議な登山。
 無事に、今年も終えられたことに、神に感謝です。
 



 では毎日暑いですが、熱中症に気をつけて。

 素敵な時間を過ごされますよう。
 願いを込めて。





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