はた迷惑な夫婦が、日々の愛しい日常を売ります。「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」
こんばんは!
暑くなりましたね。元気でお過ごしでしょうか。
今日のmovieは「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」。
リチャード・ロンクレイン監督。モーガン・フリーマン、ダイアン・キートン主演。
ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります
「人生も、リノベーションしてみませんか?」というコピーの通り、人種の違う仲のいい夫婦が、40年間ともに暮らした住み慣れた我が家を、未来のために売りに出す物語。
なぜなら、その部屋はブルックリンの素晴らしい景色が一望できるものの、エレベーターのない、5階の部屋だったから。
妻は夫の体を気遣い、未来への不安を減らすために、愛しい記憶の詰まった部屋を人手に渡すことを決意します。
老後や死への配慮や恐怖は、その人の歩んできた人生の愛しい記憶と相殺され得るものなのか。リノベーションは本当に必要なのか。もしくは、両者を天秤にかけて、現状と記憶を選ぶ場合の代償はどうなるのか、を問いかける作品です。
ニューヨークに旅行に行きたいなぁ、と思っていたので、見ました。景色だけでも堪能したい、そこに暮らす人々ってどんなだか知りたい、という不純な動機?です。
ダイアン・キートンというと、私の中では、アニーホールで。いや、あのファッションのカッコよかったこと。ずいぶん年老いたなぁ、というのが正直な感想でした。
モーガン・フリーマンとともに、年老いた魅力もありますし、(皆さんのレビューにあったように)自然体の演技がとても素敵ですし、歳取ることも悪いことではないと思うものの、舞台が同じニューヨークだったために、どうしても若い頃のダイアンと比較して、残酷に感じてしまう自分がいました。
ましてや、映画の主人公は5階の階段を登ることが辛く感じる年代と直面し、今でもとても気に入っている、思い出の詰まった我が家を手放そうというのですから、感慨も一入です。私だったら絶対に、住み慣れた愛しい、愛しい我が家を、他人に譲りたくなんてありませんもの。
案の定、夫婦は、紆余曲折の末、約束を反故にして、現状のまま暮らすという選択をします。眺めのいい部屋は、売りに出すことをやめました。
これがまた自分勝手な言い分でしてね・・・名役者台無しのヒールっぷりでしたよ。
(映画の中でも、事件を起こす外国人が出てくるのですが、その犯人の彼と、主人公夫婦が重なってしまいます)
不安や恐怖というものは、時として、はた迷惑な事件を巻き起こすものなのだな、としみじみと実感いたしました。
老いって怖いですね。今の幸せも、過去の幸せも、全てを投げ捨てそうになってしまう。私も未来の不安と戦う一人として、気をつけて生きていかなくてはいけないなぁ、と思ったりしました・・・
まぁ、ちょっと辛口に書きましたが、ブルックリン橋のふもとのベンチに二人でたたずむ一時とかね、眺めのいい屋上で野菜を育てているところとか、あとワンコのエピソードとかもね、何気ない景色の中で、人生の日々の愛おしさを感じられるシーンがたくさんありました。そういうところは、歳をとるのも悪くないなぁ、と思わされましたよ。
何気ない日常が愛おしいですよね。
だからそれを手放すということは余程のことだったのだろうなぁ、と。
不安や、恐怖だけではなく、その行動の底辺にはもちろん愛情あったのだろうけれど、・・ちょっと難しいですね。何がその人に対する究極の愛になるのか。
私的には、現在の住み心地のよさは、未来のために手放しても良いとは思うんですよね。本当に、もう少しでも歳をとったら、5階の階段と戦うことはできなくなるのですから。でも、その代償は、愛と呼べるのか、少し疑問に感じました。
あ、またしても愚痴に戻っちゃいました。
まぁ、ニューヨークの景色を楽しみたい方はとても素敵な映画ですよ!
オススメです。あんな部屋に住んでみたいなぁと思わされました。小さくても、古くても、たとえエレベーターがなくて辛くても、愛情たっぷりで、素敵な時間がぎっしりと詰まったマイホーム。居るだけで心が落ち着きそうです。
日々の暮らしに小さな幸せを見つけたいときに見ると元気になると思います。あと老後の計画を立てたいときなんかもね・・・(ある意味、40年も同じ家に住んでしまうというのは、年取ったときに残酷なのかもしれない。愛着が大きくならないうちに家を住み替えるのもアリですね!)
ではでは、今日はこの辺で。
素敵な時間を過ごされますよう。
願いを込めて。