正義の名においた無益な戦いを見る「関ヶ原」とゲイの芝浜「億男」



 こんばんはー

 来週からついに種苗法改定の審議が始まるそうです。心配だなぁ。
 日本の未来はどうなってしまうのだろう。

 また東大の鈴木教授がおっしゃっていますよ。今回は東京新聞です。

 東京大の鈴木宣弘教授(農業経済学)は「国内品種の海外流出を防ぐという大義は理解できる。しかし、日本でも世界的流れと同様に、多国籍企業が種苗を独占していく手段として悪用される危険がある」と指摘する。

  「種苗法改正案」農家に打撃懸念 地域農業守る「在来種保全法案」を より

 大義は理解できるが、世界的流れに流されて、同様の末路をたどるとのことです。思い止まってほしいものです・・

 さて、悶々とする中、映画を2本見ました。日本映画の「億男」と「関ヶ原」。


 億男 (アマゾンプライムで無料です)


 関ヶ原 (アマゾンプライムで無料です)


 まずは、「億男」。
 大友啓史監督。佐藤健、高橋一生主演。
 現代版、落語の「芝浜」です。借金まみれで金の価値にとことん苦しめられていた男が、突然、3億円の宝くじに当選する。人生逆転なるか、と思いきや、金は何の解決策にもならない、ということを痛感させられるまでの物語。




 これねー。金の価値を否定して、友情や愛という価値観を肯定するのか、と想像しながら見ていたんですけれど、どうも中途半端で・・・
 お金の正体を見つけたい、と願っていた旧友の高橋一生が、主人公の宝くじの一件で、ついに答えを見つけた、と言っていたんですが、はて・・・と言った感じ。
 無価値だということをついに暴いた、と言いたいんですかね。
 良かったところはモロッコの風景。モロッコの街並み。もうツボすぎて旅行に行きたいと熱烈に思いました。この風景を見るだけで、人生の美しさを実感できます。(金ではない方の価値をね)映画を作った価値があるかも。




 それと、脇役がいいですね。もうキワモノ、ゲテモノにしか見えない、藤原竜也や北村一輝さんがたまりません。彼らの演技を見るだけでも見る価値あるかも。
 あと、最後は高橋一生さんね。一途に、お金のことを考え続ける友人。この方がどう見ても、ゲイにしか見えません。落語・芝浜の女房役と重なる役どころですしね。ラストシーンでは、億男を思い馳せながら旅に出る、といった、ちょっとした甘酸っぱさまで感じさせてくれました。ちょっと勘弁してくれよ、的でしたが、まぁ、彼と黒木華さんもね、人生や青春の美しさを感じるには十分な設定と物語。お金に振り回されるばかりの人生だけれど、それ以外にいいものもたくさんあったな、と思い出させてくれます。




 人生にちょっと疲れ気味の方にはいいかも・・・


 次は、「関ヶ原」。
 歴史物を見ると、記憶力が良くなる、勉強がはかどるというのでせっせと見ました。
 原田眞人監督。岡田准一、有村架純主演。言わずと知れた関ヶ原の合戦の物語。

 何をしゃべってるのかよく聞き取れないんですが、不思議と物語は理解できます。
 岡田くんが良かったというレビューがありましたが、うーん・・・私は彼から石田三成の人間的魅力をさっぱり感じることができませんでした。戦国大名が一目おく才覚があったのか、それとも人情に厚かったのか、どちらもさっぱり・・
 だって、味方を裏切って家康側に付きそうな疑惑のある小早川秀秋に「もしも西軍が勝ったら、私は何もいりません、好きな女を探しに旅に出ます」とか真面目な顔で言うんですよ。それで、小早川の疑心暗鬼を晴らして、彼の心を引きとめようとしているんです。もうバカにしか見えなかった・・・  



 また、この岡田くん(石田三成)が正義のための戦いと何度も言うのです。ラストシーンも、「これぞ我が正義」と誇りを持って死んでいくのですが・・・
 その正義がよくわかりません。おそらく豊臣の大義を裏切るものを不義として、自らは正義と位置付けているのでしょうが、その割に西軍はバラバラで、豊臣の影は一切なしです。新しい世を作ろうとしているのは、徳川ではなくて、石田三成でもあるように見える。そもそもの正義が怪しいのです。(だからこその「女を追って旅に出る・・・」という発言になるのでしょうが・・)もうちょっと「我が正義」を裏付けるエピソードはなかったものか?? 自分を拾ってくれた太閤に命をかけた思いはいま一つ見えず・・・ 言葉だけが空回りしている感じです。役者が岡田くんじゃなかったら、石田三成の人間像ももう少しリアルにわかったように思いますが、どうでしょう。脚本のせいなのかなぁ。

 おうち時間の映画三昧で、正義について、考えさせられる機会が多かった。その最後の締めが、この正義の名においた無益な戦い、を見せつけられた感じです。
 関ヶ原の戦いのシーンは、血が滴り残虐極まりなく、不毛な戦いにしか見えません。

 身勝手な男の、「正義」という信念が、どれだけ多くの人間の命を無駄に奪ったのか、事実を叩きつけられるような気持ちでした。

 もうあれですね、正義という言葉は、私の辞書から省きたいですね。正義は真実にはかないません。誰かが正義と持ち出したら、一目散に逃げることにしよう・・・

 岡田くんファンの方すみません。おうち時間のある方は見てみていただけると、天下分け目の合戦の歴史的な美しさよりも、不毛さの方をよくよく感じていただけると思います。平和のありがたさを実感できると思いますので、お時間のあるときに是非どうぞ。



 さて、ということで、私の種苗法にまつわる戦い(そんなものがあるならばの話ですが、一応)・・・戦いは、正義ではなくて、真実を追い求める戦いです。役人や多国籍企業は別の正義を説くでしょうが、そんなまやかしを信じてはいけないってことですよね・・・エビデンスが命。世界的な流れでみたら、訴訟の数々でも、多国籍企業の非情さ、鬼畜さ加減はみなさんご存知かと・・また、日本の食料自給力の低さが全てを物語っていると思うのですが、どうでしょう。
 来週からの審議入りが不安だなぁ・・・(冒頭に戻る)



 というわけで、素敵な時間を過ごされていますように・・・
 そろそろ不二家に行きたいわたしより 願いを込めて。








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