日本を変えるのはこの一言から。逆説の「記憶にございません!」

 

 こんばんはー

 コロナの感染者、ちょっと落ち着いてきたようですね。とはいえども、今日もおうちmovie。

 今日は、総理大臣が主役のホームドラマ、三谷幸喜監督の「記憶にございません!」という邦画を観ました。

 久しぶりの邦画。うん、邦画っていうのはどうしてこう奥ゆかしいんですかね。日本の政治を変えたい、そして日本を変えたいという壮大なテーマを、コメディとホームドラマで覆い隠して婉曲に伝えようとするテクニック。

 そんなんで伝わるのかなぁ、と思いながら、その技に脱帽しながら堪能させていただきました。


 「記憶にございません!」

 三谷幸喜監督。中井貴一、ディーン・フジオカ、石田ゆり子出演。


 【あらすじ】

 支持率2.3%、国民に忌み嫌われている史上最悪の内閣総理大臣、黒田啓介。暴言、セクハラ、女性蔑視、動物虐待、なんでもありの型にはまらない男が、ある日突然一般市民の投げた石が頭に当たり、記憶喪失になってしまう。まるで借りてきた猫のように、おとなしく誠実な普通の人に変貌して、一般市民目線で、政治の世界を変えていこうと奮闘する。立ちはだかるのは、総理大臣よりも権力を持っている官房長官の鶴丸。そして、過去の間違いだらけの自分が犯した政策(方針)と過ち。記憶をなくしたことで、まっさらな政治家として、一からやり直しを遂げたかに見えた矢先、鶴丸の画策したスキャンダルで、政治生命の危機・・・ならぬ一家の危機に見舞われてしまう。




 うーん、なんですかねぇ。誰でも変身願望とかありますが、この総理大臣さん、本当は誠実な政治家になりたかったようなんですね。記憶をなくしたことで、一からやり直しを図ろうとする。失うものはない、執着もない。しがらみもなくなった。なんでもできる!ということで、これ以上最強の政治家はいなくなったということなんですが・・・




 まぁ、夢ですよ。こんな政治家いたらいいなぁ、という・・誰もの願い。それを実現しちゃうわけです。

 腐った日本の政治の構造とか、対米従属のダメダメ日本とか、もう根本から変えたいという私たちの願いを、記憶喪失の夢の総理を持ち出して書いちゃうわけですが、大事なところで、ホームドラマなのね。

 政治ドラマだと思っていると、いい線いったところで、ホームドラマなの。微妙に論点がすり替わってくる。(ような気がします)
 
 まったく、惜しい!という感じ。



 はじめは、政治の世界にあまり切り込むと三谷ドラマにならないから、わざとコメディにしているのかなぁ、と思って見ていたんですが、最後まで見終わってみると、なるほどね、と。
 
 きっと、こういう手法なんだなぁ、と納得いたしました。




 本当に言いたいことは(政治の世界に切り込むところ)はオブラードに包んで、コメディとホームドラマで覆い隠して、さりげなく伝えているんだなぁ、と。




 まぁ、三谷幸喜監督の作風からしたら、ど真面目なシリアス政治ドラマは作れないでしょうけど、でも、コメディの力でいくら隠しても、ちょっと幼稚にはなったとはいえ、言いたいことは伝わってきましたよ。
 日本の政治、変わらないとダメですよね。はいはい。

 それにしても、もう少し直球にできないものなのかなぁ。
 セリフは直球だけれど・・・
 ラスト肝心なところで、夫婦の愛と、親子の信頼関係みたいな、ホームドラマになっちゃうところが、ちょっと消化不良でした。

 それともこの監督、本当に、政治より、夫婦や家族の愛と感動にしか興味がないんでしょうか。コメディとホームドラマこそが描きたいもので、政治ドラマはそれを盛り上げるためのネタでしかないのかなぁ。

 ・・・・・・・。


 以下、豪華な出演陣の写真です。







 いや、やっぱり今の日本に危機感を持っているんだと信じたいです。
 それを三谷流の伝え方で伝えているんだと。なにせあの真田丸を書いた方ですものね。

 そうだとするならば、繰り返しになりますが、日本を変えたい熱意はよく伝わりました。でも、婉曲すぎて、ちょっと残念。もっとドロドロの政治コメディにしちゃっても良かったんではないでしょうか。
 ですが、こういうきわどいテーマをヒューマンドラマのコメディ映画という形にして、娯楽作品として提供してくれるという三谷監督の手法には脱帽いたします。
 こんな技、誰にもできないですよね・・・めちゃくちゃ笑わせてもらいました。

 面白い、でも残念、でも言いたいことはわかる、でも消化不良・・という複雑な思いのせめぎ合いで、感想の方も、貶したり褒めたり、同じことを繰り返して申し訳ありません。

 まぁ、でもね。やっぱり三谷監督はうまいですよ。記憶にございません! という逃げゼリフ。政治=汚い世界という象徴の言葉を、日本の政治家の常套手段的決め台詞を、理想の政治家の誕生という夢物語の逆説的セリフにした下り、もう圧巻としか言えません。

 ホームドラマの体を装った理想の政治ドラマですね。



 この奥ゆかしさに、多くの国民が気がついてくれて、日本を変えなきゃ〜と思ってくれるといいのですが・・・

 しかし、うまいけど、なんでこう奥ゆかしいんですかねぇ。

 韓国みたいにど直球でドロドロに書けばいいのにねぇ。

 (またしても繰り返してしまいすみません・・・)


 というわけで、まとめです。

 三谷幸喜監督の記憶にございません!というコメディ映画を見たら、やけに政治に切り込んでいて、面白かった! この国の政治と構造を変えるのは至難の技。そのドロドロの肝心なところをコメディとホームドラマにして、笑いと感動に変えて、逃げ切った手腕がお見事だった!

 お見事・・・とは思うのだが、やはり少し、三谷路線のままでいつものように終わってしまったところが残念と言うか消化不良だった。

 個人的な感想だが、三谷監督はもっと伝えたいことが深くあるように思うので、次回作では、コメディとホームドラマ(娯楽映画)路線から離れてもいいのではないだろうか。

 などと思いました!


 気になる方は、アマゾンプライムで無料なので、お楽しみください。



 ではでは、素敵な時間を過ごされますよう。

 願いを込めて。


 



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