死後の世界と贖罪「残酷で異常」

 

　こんばんはー

　うーん、夏休みが終わってしまう。あっただけでもありがたいとはいえ、日常に戻るのはちょっとしんどく感じる最後の夜、足掻くように最後のおうちmovieを観ました。

　夏休み・・そしてお盆最後の夜は、死後の世界を描いた「残酷で異常」。

　メルリン・デルヴィセヴィッチ監督・脚本。デヴィッド・リッチモンド＝ペック主演。

　

　【あらすじ】

　エドガーは、妻と自分が死んだ当日の夕方から夜中までを、何度もタイムループするようになった。そして、なぜか自宅のドアはある施設のドアとつながっており、そこで自分の罪を告解するように強制される。同じように罪を犯したものたちとグループセッションをすることも・・。事態の異常さに戸惑うエドガー。自分は死んだのか？　妻を殺したのか？　そして何度も繰り返される残酷な殺人。だが、次第にここが死後の世界であること、罪を受け入れない限り罰を受けられないという掟を知ることとなるのだが・・　

　初めは妻を殺したことも覚えていない、ただ時間がループし、迷宮のような薄暗い施設に突然ワープする、というわけのわからない始まり。自分がここにいるのは何かの間違いだ、と抵抗するエドガーですが、次第に（何度も繰り返されるうちに）、本当に自分が妻を殺したこと、自分が妻に殺されたこと、などが断片的なシーンから明らかになっていきます。

　施設では、死んだものが自らの贖罪のために、何度も殺人シーンを再体験させて、なぜ自分が殺してしまったのか、その時どのような感情が生まれたのか、を審判するもの、もしくは裁判官のような施設の支配者に告解をしていかなくてはなりません。もしくはグループセッションで話し合わなくてはなりません。そして繰り返される殺人。

　何度も自分の罪を再体験せざるをえない、残酷で異常な世界。

　・・地獄というのはこんなものなのかな、とふと思いましたが、これは地獄ではなくて、地獄部屋は別にあるんですよね。（４３７７という逆さまにするとhellと読む部屋）なので、天国の入り口、みたいな感じかしら。いや、地獄の入り口かな？

　面白かったのは、なぜ殺したのか、死んだのかの謎解きに終わらず、この世界を脱出する試みがなされるところ。え？　死んだのにどこに行くの？　よみがえりなてあり？　と興味津々で見させていただきましたよ。

　脱出したことはしたんですが、地獄部屋からの脱出だけあって、その真相はまさに地獄だったんですけどね、笑

　なぜ殺したのか、ばかりを告解していた彼は、なぜ殺されたのかをついに知ることになるのです。

　自分の罪をついに知るエドガー。

　そして物語は大詰めに。

　

　ループと施設からの脱出は失敗に終わりましたが、別の可能性を発見したエドガー。彼のループの時間に、仲間のドリスのボタンを偶然持ち込むことができたことに気付きました。ボタンが可能ならば、ドリス本人も連れてこれるんじゃない？？　ということで、ドリスを説得。なんと殺人ループシーンに施設の仲間ドリスが一緒にループ。彼女に彼の殺人を止めてもらおう、と試みます。

　エドガーの死。妻の死。ドリスの死はそれによりどう変わっていくのか。彼は贖罪を遂げられるのか。誰かの罪を救えるのか。信仰的な観点からも、謎解きものとしてもとても興味深い、面白い展開でした。

　最後に・・・（写真下）ブサイク男の代表のような男だったエドガー、満面の笑みです。

　見事にイケメンに早変わり、笑

　自らの罪を知り、罪人を二人救い、罪と罰を受け入れて、なんとも自慢げな、清々しい表情です。

　「後悔しているだけじゃ救われない」

　私は自殺も殺人にあることには変わりはないと今でも信じています。

　しかし、「この映画のような自殺」、相手の罪を救うための自殺ならばアリかなぁ、と思ってしまう自分がいます。二人を救ったことによって、エドガー自身も救われた（贖われた）はずなのですから。

　そして、その告解ならば、エドガーのように胸を張って言えるものかもしれないなぁ、なんて。

　死後の世界に興味のある方、見てみるのも良いかもしれません。

　１時間半で短いので見やすいですよー

　では、素敵な時間を過ごされますよう。

　願いを込めて。