鯨山登山日記 シングル・マンを聴きながらの一人山登りが何とも言えず楽しかった!
大槌町波板地区と山田町の境にある鯨山に行ってきました。
下、鯨山山頂からの眺めです。(遠野、大槌町方面)
鯨山は船越湾、吉里吉里湾、山田湾からよく見える山です。その鯨に似た特徴的な山容から、古くから三陸沖の羅針盤として親しまれてきました。
かつてこの地で流行病があったときに、大槌湾に打ちあがった鯨を食べて流行病が治った旅人が、高くて目立つ山のあるところ(に打ちあがった)の鯨を食べて治ったと人々に伝えたことから、鯨山と呼ばれるようになったと言われています。
羅針盤とか、高くて目立つ山、とか出てきましたが、実はこの鯨山、標高610m、と小さいのですね。表参道や裏参道から1時間~2時間で登れるハイキングに適した山です。
山頂には鯨山神社があり、(山小屋風の小屋の中に)権現様がいらっしゃいます。
むくむくっと興味の出てきた方、いらっしゃいませんか? 地元では遠足で登る山ですので、誰でも簡単に上れます。ちょっとした運動をして、自然の景色を堪能するには最適です。良かったら、行き方を教えますので、ぜひどうぞ。
鯨山に登るには、幾つかの道があります。一番登山道らしく整備された道は、「青少年の家」から。山田線(現在休止中)の岩手船越駅と浪板海岸駅の中間にある県立陸中海岸青少年の家からハイキングコースが始まります。
大沢川コース(1時間強)、リアス・コース(1時間40分)とあるそうです。普通の登山が好きな方はこちらの方※がいいかもしれません。
※こちらの登山日記が大変わかりやすかったです。
今回私が登ったのは、車でも行ける裏参道から、途中で表参道へと進むコースです。
まずは浪板海岸駅から内陸部(波板簡易郵便局のすぐそば)に進みます。すぐ前方に下の写真の鯨山神社鳥居が見えます。
鳥居を抜けると、前方に鯨山の全貌が見えますので、山頂を見ながらてくてく歩いていきます。
前方のとがった山が鯨山です |
途中で大きな採石場が現れます。この採石場まではダンプカーが後から後から来ますので、気を付けましょう。てか、自分も車で行けますが、もっとずっと上まで車で行けばいいのですが、目的は適度な運動と自然と触れ合うこと、ですので、車は郵便局付近の駐車場に(地元の方の許可を得て)置いていきました。サイクリングがてらに登っても楽しそうです。
上が採石場です。山をバンバン削っています。削った土を海の中に埋めて、堤防の下に敷いているのだとか。海の中以外にもいろいろ使っているそうですが、上手く答えられなかったので(帰りに出会った地元のおじさんが教えてくれました)、復興事業ということで納得して帰ってきました。
採石場を過ぎると、不動の滝と鯨山で道が分岐します。鯨山方面に進むと、こんな感じの道が続きます。
そうそう、蝶が多いのも特徴です。裏参道、やはり車で一気に登ってしまうにはもったいないくらいの蝶がいます。白いのから黄色いのから小さな紫のもの・・。蝶だけではなく、足元には羽を広げるフンコロガシ。トカゲも道の右から左へと、シャッシャと駆け抜けていきます。
私は熊鈴を忘れてしまったので、この裏参道を音楽を響かせながら歩いていきました。iPhoneに入っていた、「シングル・マン」、初期の・・というか後期の、RCサクセションのサードアルバムです。このアルバムを最後に、メンバーの一人が脱退、RCサクセションは、自我ではなく、エロでエネルギーを噴出させるという別のバンドに変わってしまいました。ありがちな楽な道を選んじゃったなぁ。
一本道なので、昆虫を眺めながら、音楽のリズムに乗りながら、こんなくそまじめな精神性エネルギーの大噴出する音楽を聴きながら、そんな自分を面白く思いながら、鯨山の裏参道を楽しく進んでいきます。
道の脇にはまだ穂の開いていない赤いすすきが並んでいます。
もちょっと登ると、あら、穂が開きましたね。
上に行くほど、綺麗になびいてますよ~ 箱根みたいになってきた!
樹木も綺麗に伸びています。標高が低いからブナはないけれど、白くて綺麗な木が見ごたえあります。楓かケヤキかなぁ。どんぐりが落ちていたので、ブナ科コナラ属も多かったと思います。
松も多かったですね。松ぼっくりがいっぱい足元に落ちています。斜面のコンクリからもハイマツみたいな可愛い松が伸びています。
小鯨山のすぐ横を下の表参道への標識が見えたら、斜め後ろの道に入り、裏参道から表参道へ向かいます。
わかりづらいけど、これが表参道への登山道です。うっかり見逃して、裏参道を(車で)登って行ってしまいそう。
表参道から道が本格的な登山道に。6合目~9合目の標識も現れます。
けっこうじめじめしていて、きのこが足元にいっぱい生えてる。帰りに地元のおじさんに出会ったのですが、何と松茸を取りに来たのだそうです。鯨山は松茸が取れるので、地元の方は今頃のシーズンになると、真夜中に登りに来たりもするそうです。(松茸を求めて!)
木肌が向けた木も結構あった。鹿がいるのかな? と想像。
ちなみに、松茸取りに来たご老人、以前この鯨山で熊と遭遇したそうです。とっさに山側にポジションを取り、持っていた木の棒で突いたそうです。「熊は爪が鋭いから、あれでかっちゃかられたらひとたまりもない、一瞬だからね」とのこと。かっちゃかれる、というのが方言?かわかりませんでしたが、「爪で肉を持っていかれる」と言っていたので、ニュアンス的に恐ろしさは伝わってきました。
あまり怖かったので、帰りに、木の棒を買って帰りました。
「何でもいいから武器を持っていた方がいいですよ。あと棒は、横に切ったり、振り下したりしてはダメ。逃げられるからね。必ず正面から、突くこと」、とのことでした。
9合目を登りきると、視界が開けて、やませのような雲が流れて、そうしてふいに楽園が現れます。
遠野、大槌町の山々に、眼下にはリアス式海岸の青い海がばぁーっと広がって、見事な景観。おまけに萩のまるでお花畑に。やっぱりここも半端ない数の蝶がいます。上の写真はマニアに人気の可愛いセセリチョウに、大きめのキアゲハです。キアゲハは3頭で一緒になって飛んで行ったりしていました。その桃源郷的な眺めの尾根の中心に、でんと、鯨山神社が立っているんだから、まぁなんと日本的というか、自然信仰的でカッコいいというか。
いや~子供が遠足で登る山だというから、実はあまり期待していなかったのですが、古(いにしえ)からこの地方の羅針盤とされるだけのことはあります。やはり。この小さな標高からは信じられないほどの、豊かな自然の景観を堪能させていただきました。上の写真もわかります?海に浮かんでいるみたいなんですよ。ほんといい眺めでした。
ショートムービーも是非お楽しみください。両方とも40秒ほどで終わります♪
山頂で記念撮影。lineカメラのセルフタイマーで。
山頂で記念撮影。lineカメラのセルフタイマーで。
この後、時間があったので、美容院に行って、髪も染めてもらいました。(そのお話、次回しますのでお楽しみに♪)
気持ちも体もリフレッシュ、元気になったので、心の余裕が生じたみたいです。
皆様も鯨山で、最も近くて小さい、この世の楽園をぜひ体験してみてくださいね。
☆彡おまけ☆彡
初期のRCサクセション。ホーンセクションないけど、いいわぁ♪