春の気配と、静かに朽ちていた命。

 

 粉雪の降る今日、泉の森を歩きました。

 先週は青空に蝋梅が映え、

 春の足音を感じたばかりでしたが、

 今週は一転して粉雪の舞う寒空。

 季節の急な揺れに、少し戸惑いながら歩きました。




 池の氷はすっかり溶けていて、

 そういう風景を見ると、やはり季節は移ろっているのだと感じさせられます。

 ふと、池のそばの敷地に、大きな伐採木が横たわっているのに気がつきました。


 


 あ、ピンクリボンの木がまた一本ーー。
 
 そう思った瞬間、胸の奥にぽっかりと穴が空いたような感覚が広がりました。

 幹は立派で、まだ元気そうにも見えたのに、

 近付いてみると中は空洞。

 素人目には分かりませんが、やはり老木だったようで、

 根も腐りかけていたようでした。




 ならば、仕方がない。

 樹命が尽きたのだ。

 そう言い聞かせながらも、やはりその存在の大きさは消せません。

 一本の大木があるかないかで、景色はまるで違うものになる。





 もし伐った木あとすぐに持ち去られていれば、

 気づかずに、通り過ぎていたかもしれません。

 けれど、ああして無造作に晒された木の幹を見ると、

 どこか寂しさが込み上げてきました。




 この木は、去年の6月。

 一眼レフカメラを買い直して間もない頃、真っ先に撮影した木でもあります。

 サイズが小さな写真ですが、最後に載せておきます。




 スマホで撮った絵とは違い、ぼけ方や色味が絶妙に異なるようで、

 その差にもまた懐かしさを感じました。


 あのとき、シャッターを切っておいて、良かったーー。

 

 木が生きていた頃の姿を、誰かが残していたということが、

 その木のためにも、自分のためにもなった気がしました。

 その写真があったおかげで、

 ほんの少し、気持ちの整理がついたような思いもありました。


 白レンズは、もともと被写体を寄せて撮るものだとばかり思っていたのですが、

 ふと今日、あの風景写真を見直して思ったのです。

 「意外と風景に向いているのかもしれない」と。


 気候変動は激しさを増し、

 また戦後の植樹たちが一斉に寿命を迎えるこの時代ーー

 変わりゆく街や自然の姿を、

 この白レンズで記録していくのも面白いかもしれない。


 最近は持ち歩くのが億劫で、

 またスマホカメラばかりになっていましたが、

 今日の出会いで、ほんの少し気持ちが変わったように思います。


 また来週から、

 少しずつ、大切な景色を記録していこうかな。



 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 今日もどうか、皆さまの一日が穏やかなものでありますように。

 小さな祈りを込めて。




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