「ゲリラ戦のすすめ」ネタバレ、僕は君たちに武器を配りたい。



 本書は、(略)非常で残酷な日本社会を生き抜くための、「ゲリラ戦」のすすめである。

 日本で生きることを「ゲリラ戦」、と例えたことで非常に有名な、投資家のベストセラー作家、瀧本哲史さんが、先月、8月10日にお亡くなりになった。


 今日は唐突に、ゲリラ戦ですか・・・

 いや、わたくし、お恥ずかしながら、「僕は君たちに武器を配りたい」を読んだことがなかったんですよね。瀧本さんの2012年度ビジネス書大賞を受賞したベストセラーですよ。いつでも武器はもらえるから、後でいいか、と思ったんです。
 ところが先月、武器をくださる方が、急に死んでしまった。
 もう私たちに、日本社会を生き抜くために尊い武器を配ってくださる方がいなくなってしまった。病気で(恐らく。死因は非公表のようです)で死んでしまったんです。

 いえ、もちろん、瀧本さんみたいに大々的に宣伝はしていませんが、私たちに武器をくださる方はまだまだたくさんいらっしゃいます。けれど、日本で初めて、それを公に宣言した瀧本さんは、唐突に47歳の若さでお亡くなりになってしまった。そのことに非常にショックを受けたんですね。

 瀧本さんはゲリラ戦に負けたんでしょうか。それとも私たちに武器を配さろうとしたことが何かまずかったのでしょうか。

 悶々としました。それで、遅ればせながら、「僕は君たちに武器を配りたい」を読んでみることにしました。分厚いビジネス書を読むのは、最近老眼の私には辛い。なので、短いエッセンシャル版です。ネタバレのところがありますので、これから読む予定の方は、この記事を読むのをご遠慮いただきたければ幸いです。


 

 
 今日は読書感想文です。それと並行して、今日は、4月に迷子になってしまったうちの猫の画像を宣伝(拡散)させていただきたいと思います。
 3匹目の猫を家族に迎え入れたんですが、保護して1週間で逃げられてしまいました。知らない町に連れてきて、また野良に戻してしまった。以前は横浜市で、地域猫として大事に育てられていた子です。こんなことなら保護されなかった方がよかった、という話ですよね。あまりにもかわいそうなので、ずっと探しているのですが、まだ見つかっていません。どうか、見かけた方がいらしたら、コメントいただけると幸いです。



 エイトといいます。何卒よろしくお願いいたします。

 
 さて、「僕は君たちに武器を配りたい」エッセンシャル版です。短いのでとても読みやすかったです。瀧本さんが言うには、過酷な日本社会を生き抜くためには、私たちはコモディティ化してはならず、次の6つのタイプにならなくてはならない、ということです。

 トレーダーか、エキスパートか、マーケターか、イノベーダーか、リーダーか、インベスターか・・・

 各タイプについては後で記述させていただきます。ここで大切なのは、コモディティ化という単語で、なんだかよくわかりませんよね。瀧本さんもあらゆる角度からいろいろな定義をされていますが、私が思ったのは、こういうことかな、という感じです。(私たち人で言えば)社会で働く上で、何の付加価値も産み出せない、消耗品の部品としてだけの存在。どれだけ一生懸命働いても、単なる労働力としてしかみなされず、人並み以上に儲けることは決してできない。

 そして、現在の「過酷な日本社会」は、その「人並み」の水準がどんどん下がっているので、コモディティ化した人たちは生き抜くのが辛くなっている、だからコモディティ化を抜け出して、6つのタイプになれ、(正確に言うと4つのタイプです、トレーダーとエキスパートは瀧本氏により後ほど除外されています)というのが本の趣旨です。




 エイトをよろしくお願いいたします。・・・サブリミナル効果的に写真を入れていきたいと思います。

(私は猫たちのために、この日本社会を生きています。旦那や子供を「選ばない」という選択肢を選んだ私にとっては、猫は唯一の大切な家族であり、日々瀧本さんが言うような過酷な日本社会を生き抜くための力の源です)


 続きです。結論を言わせて貰えば、この本で言いたいことはずばりこれです。

 ゲリラ戦の世の中の幕開けだ。「本物の資本主義」に覆われた現在の日本で生きる我々は、自分の頭でものを考えなくてはならない。だが、忘れるな。決して、希望を。 

 ラストに瀧本さんは吉野源三郎著の「君たちはどう生きるか」を引用して、こんなことを書いています。
 お金をめぐっての争い、商売の争いは1日も絶えないし、国と国のあいだでさえ、利害が衝突すれば武力によって争う。(略)「それはまちがっている」と君はいうにちがいない。そうだ、たしかにまちがっている。だが、それならば、ほんとうに人間らしい関係とは、どんな関係だろう。コペル君、ひとつよく考えてみたまえ。
 吉野源三郎はこの本を通じて、軍国主義に向かう日本に生きていかざるをえない少年少女たちに、「自分の頭でじっくりと物事を考える大人になり、決して希望を忘れるな」というメッセージを残したと私は考えている。
 (引用終了)


 軍国主義・・・時代を感じますが、現代がゲリラ戦だと言っているんだから、同じですよね。今はもはや戦時中に突入する(もしくはしている)のです。だから、その中で、自分で頭を使って生き抜いて行けと瀧本氏は繰り返し解いているわけです。
 ぶっちゃけ、言っていることの根幹は、何も目新しくありません。斬新な書物と扱われた割には、この本旨だけ書いてしまうと、以前どこかの自己啓発本で読んだ「おすすめ」です。自分の頭で考えろ。
 (ちなみに、瀧本氏は福沢諭吉の学問のすすめも引用していて、現代は学問ではなくて、ゲリラ戦のすすめだ、という趣旨のことを書いていらっしゃいました)

 まとめると、現代は「本物の資本主義」の時代だ。だから4つのタイプになって戦わなくてはならない。そのタイプになるには、自分の頭でものを考えるんだ。

 ということですね。



 さて、ここでまた大切なのが「本物の資本主義」ってなんだろう、ということです。ゲリラ戦をしなければいけないほと、何が悪いのか?
 そこで、書物を戻って、「本物の資本主義」を説明している項目を読み返しました。

 (引用開始)
 最近、正体不明の外国人が日本の山林を買い占めているという報道がされたことをご存知の方もいるだろう。(略)つまり、我々が長年住み続けてきた、この日本の国土すらも、資本主義の市場の中で商品として売られるようになってしまったのである。(略)10年の間に、日本に押し寄せている「本物の資本主義」の波は、多くの日本人が考えている以上に激烈で、すべてを押し流すほど容赦のない勢いであることを、この報道ひとつからもうかがい知ることができるだろう。
 (引用終了)

 
 なるほど・・・国土さえも投資の商品にされているんですね。

 でも、私から言わせると、瀧本さんの著書の後に、容赦ない勢いはさらに深まっているように思います。今の政権は、日本が独立国家として再生した象徴だった「種子法」も廃止し、インフラという日本システムの根幹の「水道法」も改正して、商品にしてしまいました。
 そして、TPPよりひどい結果となった日米貿易交渉。それ(その準備)により、一昨日のニュースでは、遺伝子切断食品のゲノム編集食品の食品表示の義務さえなくしてしまいました。

 もはや、国土だけではないんです。独立国家としての尊厳も、システムも、国民の安全や健康ですら、商品とされているんです。それらは「本物の資本主義」の中で、すべてお金に換算されて、外国に、あっけなく売り渡されているんです・・・
 カジノ法案のことも忘れてはいけませんしね・・・

 奇しくも、瀧本さんは著書の中で水の資源の大切さを訴えています。全世界規模の新しいビジネスプランのコンテストで次のようなプレゼンを行ったと経験を書きました。周りは優秀な海外の学生ばかり、スピーチも英語です。

 世界で最も貴重でなりつつあり、私たちが生きていく上で欠かせない資源は何でしょうか。石油でも、ガスでも、レアメタルでもありません。それは、水です。

 彼は海水を淡水化するビジネスプランを論じます。水不足がなくなれば、世界から戦争の原因をなくすことができると説きました。スピーチが終わった後、会場は割れんばかりの拍手喝采に見舞われ、優勝こそは逃しましたが最先端の技術プランであることを世界に知らしめることができたことを誇らしげに書いていました。「これで世界のビジネスプランコンテストのレベルの高さがわかってもらえるだろうか」と言った具合に、です。

 つまりこういうことですよね。国際社会では、2010年以前(著書より)に、すでに水は何よりも大切な資源だと認識されていた。戦争を避け得るものだとも認識していた。だから海水の淡水化技術に拍手喝采を浴びたのです。

 それを知ってて、日本は水という資本、日本の水道システムを市場にして外資に牛耳られることをあえて許してしまった。サクッと法律を変えてしまいました。

 私が「日本が貧乏で、臓器を売る人みたいだ」というのは、こういう瀧本さんのいうような「激烈で、容赦ない勢い」の「本物の資本主義」の中で翻弄される日本を揶揄しているんですよね・・・・ 今の政権は今まで日本がギリギリのところで死守していた堰止めをためらいもなく壊してしまっている。仕方ないだろう、もはやそれしか売るものがないのだ、とばかりに・・・です。恐らくこれには瀧本さんも天国でびっくりされていると思います。

 国富消尽。日本の国富がどんどん失われていく、と思ったあの時代ははるかマシだった。あの頃嘆いていたのは甘かったのです。今は国であるために必要なものすべてが、商品化されて切り売りされているんです。もちろんそれには私たちの安全と健康も含めて。

 瀧本さんに会ってご報告したい。武器をください。でないと日本は当時よりもっとひどい状況になっているんですよ。どうか生き返ってください。お願いします・・・




 さて、泣き言を言いましたが、瀧本さんのメッセージは、決して希望を忘れるな、です。そんな酷い状況の中でもやり方次第で生き残ることができるのだ、と教えてくれています。彼の著書が普通の自己啓発本と一味違うのは、この方法論をとてもたくさんの例を挙げて紹介してくれていることだと思います。誰でも、その中で何かしらひとつくらいは、自分ならできるかも、とピンとくる例があるのではないかと思うのです。生き抜くならこうなれ、と。

 なので、彼が主張する「本物の資本主義」のゲリラ戦を生き残れる4タイプをご紹介したいと思います。(著書より)

 まずは、マーケター。商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人。
 次は、イノベーダー。まったく新しい仕組みをイノベーションできる人。
 3つ目は、リーダー。自分が起業家となり、みんなをマネージ(管理)してリーダーとして行動する人。
 最後は、インベスター。投資家です。投資家として市場に参加している人。

 この4種類の中で、瀧本さんがページを割いているのは、マーケターとインベスターです。ラストに来ることから、これが本当に言いたいことであり、生き残るためには、インベスターになったらいいよ、と言っているのかもしれません。
 でも、マーケターにも溢れる想いを熱く記述なさっています。例えばこんな具合に・・
 iMacシリーズである。(略)この新しいコンピュータは世界中で大ヒットし、みごとにアップルの復活を強く印象づけた。アップルの苦境を救ったのもスペックや機能ではなく、「色」や「デザイン」なのである。

 ちなみにマーケターの定義はこうです。
 新しくない要素の組み合わせで差異を作り出せる人。
 これからのビジネスは差異が左右する。
 
 ジョブズを褒めるのは目新しくもありませんが、「色」や「デザイン」を差異と強調するくだりに私はどきりとしました。なぜなら、4つのタイプの中で私たちが一番、まだなれるかも、と感じたのは、唯一マーケターだけなのです。リーダーもイノベーターもダメです。リーダーは不在だし、発明はできないし、リスクを抱えるインベスターなんてなれません。
 けれど、スペックや機能(実力)で勝負するのではなく、人との差異から付加価値を生み出すマーケターならまだなれるかもしれない。
 自分を商品にする人です。

 そう、これから、凡人の、コモディティ化された私たちもなれる可能性があると思いませんか? 色やデザインというのは、アイマックのことではなくて、自分のことだと思えばわかりやすいですよね。私たちの色(特色)や、デザイン(設計、意匠)を、自分の頭で考え抜いて、強く印象付けるのです。そう、復活を。
 私たち人間が、部品じゃなくて、確かな人間だという見事な復活を。
 そして、人間だけではなくて、日本の国がそれにより救われる道を。

 付加価値を作り、ストーリーを一緒に売るのだそうです。
 各国と、本当の関係を作っていくのです。

 「それはまちがっている」と君はいうにちがいない。そうだ、たしかにまちがっている。だが、それならば、ほんとうに人間らしい関係とは、どんな関係だろう。コペル君、ひとつよく考えてみたまえ。

 もっとよく考えてみなくてはなりませんね。この本はスタート地点です。


 ・・・ああ、もっとこの本の良さを詳しく説明したいんですけど、あまり書くと、本を読む楽しみがなくなってしまうと思います。
 続きはどうぞ、あなたも「僕は君たちに武器を配りたい」を読んでいただきたい。
 亡き、戦士の瀧本氏から、ぜひ現代を生き抜く武器を受け取っていただきたいと思います。
 



 写真上は2匹目の猫です。東北から連れてきた彼女は、日々元気に暮らしています。

 この子が少し病気がちなので、実はエイトを迎えることを躊躇していた面もありました。この子への世話や気遣いがおろそかになってしまいそうで・・・居場所も奪われて少なくなるでしょうし。
 そんな戸惑いを神様に見透かされたように、エイトはいなくなってしまいました。

 私の本当の幸せは、3匹の猫たちが揃って、家族が全員揃った時にやっとやってくるのです。
 だから、エイトを探し続けます。そして、頑張ってこのひどい日本社会を生き抜いていかなくては、と決意を新たにするのです。

 
 エイトの情報
 4歳、オス、白黒猫。ハチワレ。左足に模様あり。右耳がサクラ耳です。
 似た猫を見かけた方はコメントください。(希望があればコメントは非表示にできます)
 よろしくお願いいたします。


 今日も読んでいただきありがとうございます。
 しり切れとんぼみたいでごめんなさい。
 どうか、続きは瀧本氏の本でお楽しみくださいね!!





 ではまた。今日はこの辺で。
 決して、希望を忘れるな!








 

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